オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

請求書の発行・書き方ガイド。作り方・マナーから保存・ルールをわかりやすく解説

2022.03.24
オフィスのミカタ編集部

取引先に対して請求金額を知らせる請求書の発行は、企業活動をする上で大切な業務のひとつ。今回は請求書の作成方法から保存方法、ルールについてわかりやすく解説する。

請求書に関する法務

請求書の発行には法律上の規定はない。しかし請求書を発行することで、自社・取引先どちらにとっても請求した事実を証明することができる。請求書を発行する意義を紹介していこう。

口頭による意思の合致でも契約が成立する

書面が必要と定められている特別なケースもあるが、基本的には仕事の契約に関して、口頭による意志の合致があれば契約が成立することを覚えておいてほしい。軽い口約束のつもりでも契約が成立するため、後になって一方的に取り消すことはできない。

しかし、口頭での契約にはトラブルがつきもの。契約内容について証拠が残らないため、書面に落とすようにしたい。

請求書は民法により債権の時効の立証につながる

あまり知られていないが、請求書には時効がある。順調な取引をしているうちは意識することがないだろうが、万が一、未払いが起きた場合には対策を講じる必要がある。その際に必要になるのが請求書の存在だ。

2020年4月1日に新民法が施行され、請求書の有効期限が2年だったところが業種問わず支払い期日の翌日から5年へと改正された。請求書を発行してから5年は支払い義務が生じるというわけだ。

この期限を延ばすには、2通りの方法がある。1つは請求書を送る際に配達証明付きの内容証明郵便にして、債務者に請求書が届いていることを立証できるようにすること。

もう1つは未払い者に対して、支払いを求める訴訟を起こして裁判所から取引先に対して「訴状」などが通達され、書類が届くことにより時効が中断される方法だ。詳しい方法については顧問弁護士などに相談するようにしてほしい。

請求書は受発注業務及び会計業務のトラブル防止に必須

請求書は取引の証拠となる信憑書類であるため、請求書の発行は受発注業務や会計業務で生じるトラブルの防止には欠かせない。契約書と共に、しっかりと管理・発行するようにしよう。

請求書に記載すべき項目

法律で定められたルールはないが、一般的に記載すべき項目は決まっている。ここでは簡単に項目別に紹介していく。

題目
どういった書類であるかを明白にするために、書類上部に「請求書」と記しておく。

発行日
書類を発行した日付を記載するのが原則だが、取引先との契約で、設定されている日付を発行日とする場合もある。発行日に関する問題は詳しく後述する。

発行者
請求書を発行した会社、住所、電話番号、担当者名などを記載する。個人事業主の場合は屋号や名前が必要だ。さらに、社判や担当者印を捺印する。

請求先
基本的には請求先の社名、住所等を記載するが、その他にも請求先から依頼のあった情報を記載する。依頼は親会社で請求は子会社などのイレギュラーな対応を求められることもあるため、しっかりと確認したい。

取引内容(商材・単価・数量)
取引した商材、数量、単価、金額などを詳しく記載する。

請求金額(消費税込み)
取引額をすべて合わせた小計に、消費税をプラスした合計金額を分かりやすく大きく記載する。

振込先
銀行名、支店名、預金種別、口座番号、口座名義の振込先の情報を銀行コード、支店コードと共に記載する。

支払期日
契約の際に取り交わした支払いサイクルでの支払い期日を記載する。

請求書に押印は必要か?

結論から申し上げると、法的には押印は不要だ。押印がなくても法的書類として有効とされている。しかし、偽造防止やビジネスマナーという観点で、押印しておいた方が無難だろう。

請求書発行に関わるタイミング

請求書の発行は自社だけで決められない。先方と事前に発行日などの取り決めを行う必要がある。どういったことを取り決める必要があるか見ていきたい。

請求書の支払い日は会計支払いサイクルに合わせて決める

取引先ごとに決済ルールが違うため、支払日は先方の決済ルールに合わせて決めることが多い。具体的には、月末締め翌月末払いの取引先であれば、請求月の翌月末を支払い日とするなど、柔軟な対応が求められる。

請求書の発行日はサービスの報酬支払いにより変わる

請求書の発行日がサービスの提供もしくは納品の前後どちらになるかは、契約で決められた支払いのタイミングによって変わる。

・前金払い(着手金など):サービスの提供・納品前に発行
サービスの提供・納品前に着手金などの前払金を受け取る契約の場合は、納品前に請求書を発行する。

・後払い:サービスの提供・納品後か同時に発行
サービスの提供や納品後、もしくは納品と同時に請求書を発行する契約が後払い。一般的には後払いの契約であることが多い。

請求書の発行サイクル

請求書の発行サイクルは2つのパターンに大別される。それぞれを詳しくみていこう。

都度方式
1つずつの取引が完了するごとに請求書を発行することを都度方式という。入金が確認でき次第、納品する形式を取りたい場合や新規の取引先などはこちらを選ぶとよいだろう。

掛売方式
1カ月単位など、決められたサイクルで「締め日」を設定して毎月同じタイミングで請求書を発行する方式だ。毎月取引がある場合や信用のある取引先の場合は売掛方式が向いている。

発行した請求書の保存義務

請求書には税法により保存の義務があり、発行した側も控えがある場合は保存しなければならない。法人と個人事業主で保存期間が違うためそれぞれで見ていこう。

法人は原則7年
法人は会社の規模に関わらず、7年間の保管が義務付けられている。この7年というのは、発行日からの起算ではなく、事業年度の確定申告の提出期限翌日から7年間となるので注意してほしい。また、欠損金の繰越控除を適用した場合は10年間の保管が義務付けられている。

個人事業主は原則5年
個人事業主の場合、青色申告・白色申告どちらでも5年間の保管が義務付けられている。こちらも法人と同じく、確定申告提出期限翌日からの期間だ。課税売上高が1000万円を上回る場合は課税事業者となり、7年間の保管義務が課されるため注意が必要だ。

請求書をクラウド管理する請求書発行システム

請求書の保存義務は紙で受け取った書類、自社が発行して写しが手元に残る請求書に発生する。しかし2022年1月から施行された電子帳簿保存法により、電子化保存の要件が緩和され、電子保存へのハードルが一気に下がった。それにより、電子取引化に舵を切る会社が増えている。

電子保存することにより、紙の書類の保存スペース、印刷コスト、書類整理の作業時間などの削減が可能となる。

しかし、請求書は発行形式や保存方法などが煩雑で会計も絡むことから、自社でシステムを構築することは現実的ではない。請求書の発行から記帳まで一貫して行ってくれるサービスが数多く存在するため、自社にあったサービスを選んで導入するとスムーズに電子化を進められるだろう。

請求書発行システムのサービス比較・無料資料ダウンロード

まとめ

電子帳簿保存法の改正など、国を挙げて電子帳簿化を推進している中、多くの会社では徐々に紙の請求書から電子請求書へと移行し始めている。2023年10月にはインボイス制度の導入も始まり、請求書の記載項目の増加や消費税納税の仕組みも変わるため、更なる業務フローの見直しが余儀なくされるだろう。
インボイス制度に対応する請求書発行システムを導入すれば、スムーズな導入が可能となり、担当者の業務負担も大幅に軽減することができる。クラウドサービスであれば初期費用も最小限に抑えることができるため、ぜひ導入を検討してみてほしい。