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経理業務を効率化する見積書の発行方法。受発注管理におけるビジネスマナーも解説

2022.05.16
オフィスのミカタ編集部

取引先との契約前に欠かせない見積書。作成から相手の手に届くまでに多くの手間がかかり、経理業務を圧迫してはいないだろうか?ここでは経理担当者の業務を効率化する見積書の発行方法や受注管理のビジネスマナーについて解説していく。

見積書の定義と見積書を作成する目的

まずは見積書についてしっかりと理解しよう。請求書との違いや、定義について説明する。

見積書と請求書の違い
見積書と請求書には以下のような明確な違いがある。

見積書:提示条件から導き出された費用
請求書:契約締結に係る費用

もう少し具体的に説明すると、見積書とはある条件を基に経費や利益を計算した契約締結前に金額を提示する文書で、請求書では契約が決定し、両者の合意を得た金額が掲示された文書だということになる。

契約するサービスの価格や内容を書面で定義をするため
契約内容に関する「言った・言わない」をなくすために、書面で定義することが見積書の作成目的の一つだ。想定される条件を詳細に書面に書き示すことが大切で、数量や種類、サイズ、締め日など、後からトラブルにならないよう想定しうる内容は全て盛り込むようにしたい。

契約内容に対する認識齟齬をなくすため
見積書を発行する目的には、両者の認識のズレを埋めることも含まれている。たとえば、お互いの「これくらいの金額だろう」という認識がずれたまま契約が進んでしまうと、こんなはずじゃなかったという不満と不信感が生まれてしまう。事前にすり合わせをしておけばトラブルを未然に防ぐことができる。それは金額だけでなく、サービス提供日などあらゆることに適応される。

情報伝達与信調査に活用するため
見積書は取引先の信用調査にもなり得る。見積書があることで、発注側は契約内容に対する金額を把握することができ、不正の有無の確認が容易にできるようになる。見積書を提出する側からしても、自社の信用度を高めることができるだろう。

相見積を取ることで目的に最も合った要件を満たす選択ができる

見積もりを複数社から取り、価格や条件で比較することを相見積もりといい、発注先決定の大きな判断材料となっている。事前に取引先の要望をしっかりとヒアリングして、納得感を持ってもらえる見積書を提示して勝負してほしい。

受発注に伴う一般的な商取引の流れ

受発注があった際の一般的な商取引の流れについて説明していく。

見積書をもとに発注書を受け取る
取引先から伝えられた条件を基に見積書を作成し、契約へと進むことが決まると取引先から発注書(注文書)が交付される。この後、場合によっては注文を引き受ける旨を伝えるために注文請書を交付する場合もある。

納品とともに納品書を送付し受領書を受け取る
注文の商品を納品すると同時に納品書を送付し、取引先から受領書を受け取る。

受領書をもとに請求書を発行し指定口座に入金をしてもらう
請求書を発行し、取引先へと送付する。支払い期限までに指定口座へと入金してもらう。

入金を確認し領収書を発行し送付する
入金を確認後、領収書を発行し、取引先へと送付する。これで取引が完了だ。

見積書の作成の際に最低限記載する項目と注意点

見積書の作成時に記載すべき事項と注意点について細かく見ていこう。

タイトル・発行日
ひと目見て何の書類かわかるように「見積書」と大きく書くようにしたい。また、見積書は何度も提出することがあるため、必ず発行日を記述していつの時点の見積書なのか、わかるようにしておこう。

発注者の氏名または法人名、住所、電話番号
発注した担当者名や法人名を入れ、誰に宛てた見積書なのかわかるようにしたい。その際に住所、電話番号なども入れる場合もある。

取引を行う年月日
コンサルティング契約などであれば取引日が納品日と見なされ、取引日で即日契約が完了する。サービスを提供する場合などでは契約が成立した日を取引日として記載し、後日納品となる場合もあり、そうなった場合は後述する納品日も別途記載する必要がある。

取引の内容(商品名や業務内容、数量など)
取引に関する詳しい内容、商品名や業務内容、注文個数など、決定している事項をできるだけ具体的に記載する。

見積金額(小計、消費税額、総合計)
見積もり金額は合計だけではなく、小計、消費税額、総合計の3種類で書く。どの金額が最終的に払う金額なのかわかりやすくするために、総合計を1番目立つようにしてほしい。

受注者の氏名または法人名
見積書の発信元である自社の担当者名、法人名を記載する。問い合わせがしやすいように連絡先も一緒に掲載するとよいだろう。

納品日
取引日と納品日とのズレが生じてしまう場合は、納品日も別途記載する。
また、具体的な納品日が決まっていない場合は「受注後○日以内」といった表記をすることもある。

納品場所
「貴社指定場所」というように記載することが多いが、取引先の支社へ直接納品など、具体的な場所を指定されることもある。その場合も忘れずに見積書に記載しておこう。

支払条件
代金の支払い方法に関する記載は主に2つ。支払い方法と支払い期限を設けることだ。支払い方法は振り込みであれば対応金融機関の情報を記載する。振込の場合は手数料が発生するため、どちらが負担をするのかあらかじめ決定して明記しておきたい。支払い期限に関しても事前協議で決定した日付を明記してほしい。

有効期限
見積書の有効期限も忘れずに明記する。有効期限がなくても見積書としては成立するが、有効期限がないと例えば原料の高騰で商品単価が上がることになっても過去の見積りに有効期限がないからと押し通されてしまう危険性がある。何日以内にするかは、法的制限はないため、自社で適切な期限を設定してほしい。

見積書には保管・保存期間の義務がある

見積書は証憑(しょうひょう)書類にあたり、取引があったことを証明するため、法人であれば7年間の保管・保存が義務付けられている(個人事業主の場合は5年)。この7年は、発行日起算ではなく、発行した年度の法人税申告期限日が起算日となるので注意が必要だ。

見積書を発行・送付する際のビジネスマナー

見積書の発行・送付に関するビジネスマナーは、相手にとって見やすいかということを念頭に置いたものになる。ここでは特に気をつけたいポイントに絞って解説する。

フォントの工夫やわかりやすい言葉で見やすい見積書を作る
相手にとって見やすい見積書を作ることが非常に重要だ。文字の大きさのバランスやフォントの工夫をするなど、パッと見てわかりやすいこと、内容が簡潔で理解しやすいことの2つが両立している書類作りを目指してほしい。

電子メールの添付ファイル容量に収まるようにファイルサイズの軽くする
見積書は電子メールに添付することが多いため、特に気をつけたいのがファイルサイズ。容量が大きすぎる場合は相手側のメールソフトによっては弾かれてしまう場合もある。さらに、容量が大きいことで開封や保管時にも負担を強いることになるため、適切なデータサイズを心がけたい。

見積書の品目の詳細内容を明確に記載する
取引において納品物がある場合は種類や個数、サイズなど、詳細を明確に記載することでトラブルが発生しにくくなる。サービスを提供する場合も想定される条件をできるだけ詳細に記載しておくことが大切だ。

原価の価格変動や市場の変化に対応できるように有効期限の設定をする
前述した通り、見積書の有効期限は忘れてはならない記載事項だ。材料価格の変動や市場のニーズの変化などによって販売価格も変わるため、有効期限をしっかりと記載してほしい。

押印は署名の最後のひと文字に少しだけかかるようにして行う
見積書に押印することへの法的効力はないため、押印がなくても問題はない。しかし、押印があると正式な書類としての信頼性が高まるため付与するケースが多い。押印する場合は署名の最後のひと文字に少しだけかかるようにするとよいだろう。

見積書作成サービスを会計・経理業務のワークフローに組み込み効率化

見積書の作成を効率化するだけでなく、会計・経理業務のワークフロー全体の業務削減ができるサービスについて紹介していく。

freee受発注管理
見積り、発注、請求の業務を効率化する「freee受発注管理」。見積書はもちろんのこと、発注書、発注請書、請求書の4つの書類が作成できるほか、作成した書類をクラウド上で共有・承認できる。電子帳簿保存法にも対応しているため、電子書類として管理可能だ。
https://www.freee.co.jp/deals/ninja/

マネーフォワードクラウド請求書
クラウドで見積書、納品書、請求書を作成して管理できる「マネーフォワードクラウド請求書」。テンプレートもあるため、簡単に書類作成ができることが強みだ。さらに、書類の進捗状況を「下書き」「送付済み」「受領済み」「入金済み」などのステータスで確認できる。
https://biz.moneyforward.com/invoice/

Misoca
見積書から納品書・請求書へ簡単に変換できる「Misoca」は各種帳票の発行や送付もワンクリック。確定申告ソフトへの仕訳自動送信などの自動化機能も備えており、経理業務の大幅な効率化が叶う。
https://www.misoca.jp/

楽楽明細
見積書はもちろんのこと、発注書、請求書などの他にも多種類の帳票が発行できる「楽楽明細」。経理担当1名でも簡単導入を謳うだけあって、帳票発行の手間を90%削減できる。もちろん電子帳簿保存法にも対応済みだ。
https://www.rakurakumeisai.jp/

MakeLeaps
見積書から請求書までをクラウド上で作成して共有することができる「MakeLeaps」。作成した書類は印刷・封入・投函までワンクリックででき、大幅な業務効率向上が見込まれる。入金管理もアプリを使って一元管理できる。
https://www.makeleaps.jp/

販売管理のサービスについては以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてほしい。

販売管理のサービス比較・無料資料ダウンロード

まとめ

取引先との契約に欠かせない見積書だが、作成や送付には手間がかかるため大量に作成する場合は担当者の大きな負担となる。見積書作成サービスを活用することで業務を大幅に効率化できるので、ぜひ活用を検討してみてほしい。