オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

経理業務のDX推進に役立つシステムと効果的な導入のワークフローを解説

2022.06.22
オフィスのミカタ編集部

経理業務は未だDX化が遅れている現状をご存知だろうか。経理の業務内容はシステムを導入することで、コスト・人的ミスの削減など複数のメリットを享受できる。この記事では経理業務のDX推進において役立つシステムや、効果的な導入のワークフローを解説していく。

経理の業務内容とDXの浸透率の現状

まずは経理の業務内容について、また、現状経理業務がどの程度DX化しているのかについて見ていこう。

経理は企業活動を数字から売上や資産を管理・運用する業務
経理とは企業の売上や取引など日々の金銭の流れについて数字で記録し管理することで、経営の判断材料を提供していく業務である。具体的な業務については以下が挙げられる。

・帳簿の作成
・現金管理
・給与・賞与計算、振込
・決算整理
・年次決算書作成

決算処理以外の経理業務におけるデジタル化はまだまだ進んでいない
経理は業務上領収書や請求書など、紙媒体の書類を使用することがほとんどだろう。決算処理については多くの企業でデジタル化が進んでいるが、未だ必要書類をファイルで管理していたり仕訳入力を人力で行なっていたりとアナログな作業に頼っている企業は少なくない。

以下のリンク先では、経理への業務の実態に関する調査について紹介している。ぜひ参考にしてみてほしい。
全国の企業に勤める経理800人に聞いた「経理の業務の実態に関する調査」

経産省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」への対応で経理DX化は急務

「2025年の崖」とは、経産省が「DXレポート」で発表した経済損失のリスクである。現状多くの企業では既存のシステムが事業部門ごとに独立していたり、過剰なカスタマイズにより複雑化していたりなど、データの活用がままならなくなっている。そのため、経営側がDXを推進しようとしても現場側の抵抗が大きく、どのようにDX化を実行していくかが課題となっている。

上記の課題が解決できない場合、2025年以降最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性をDXレポートでは示唆している。
DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

導入により経理業務のDX化が期待できるシステムと業務範囲

実際にシステムを導入することで経理業務のDX化が期待できる例を見ていこう。

ERPシステム
ERPシステムは会計・人事・販売・物流業務など複数の業務システムを統合し、データを一元管理することで効率化を図ることができる。経理だけでなく、各部署のデータと連携を強めたい場合におすすめだ。

会計管理システム
会計管理システムは帳簿・決算書の作成や取引記録などを管理するシステムだ。企業の経営状況をリアルタイムで可視化できるというメリットが挙げられる。

入金消込システム
入金消込システムは入金消込や債権管理業務を自動化できる。入金や売掛金を管理できるようになるため、請求ミスや未回収金などの把握を円滑に行えるようになる。

振込代行システム
振込代行システムは、銀行への振込業務を一括で依頼できるサービスだ。振込手数料を削減でき、振り込みに関する業務の効率化が期待できる。

経費精算システム
経費精算システムでは経費の申請・承認フローをデジタル化できるだけでなく、交通費の自動計算を行なってくれる。そのほかに経費の仕訳作業も自動化できることは大きなメリットだろう。

債権管理システム
債権管理システムは取引・契約によって生じた債務や債権の情報や業務を一括で管理できる。債権回収に関する人的ミスを削減でき、決算業務の効率を図ることが可能だ。

電子請求書発行システム
電子請求書発行システムは請求書をPDFなどの電子データで発行することができるため、経理業務のペーパーレス化の促進をサポートしてくれる。

AI-OCRシステム
AI-OCRシステムはAI技術とOCR(光学文字認識)を組み合わせた技術で、紙の領収書などをカメラで読み取ることで文字をデータとして登録できるシステムだ。AI-OCRシステムを導入することで、紙の書類を転記する業務を削減できる。

RPAシステム
RPAシステムはデータの入力や請求書・領収書の作成など、定期的に繰り返される業務を自動化できる。そのため、日々の業務の効率化が期待できる。

経理業務のDX推進を行う目的とメリット

経理業務において、DX化を推進することでどのようなメリットがあるのか見ていこう。

業務の効率化と人的ミスの削減が進む
経理業務は一定の周期で繰り返しの業務を行うことが多いため、システムの導入によって自動化することで業務の効率化を促進できる。

また、集計業務や帳簿作成などを手作業で行っている場合には、同様に自動化することで人的ミスやリソースの削減が見込める。

業務効率化とペーパーレス化によりコスト削減が叶う
先ほど紹介したように、今まで手入力で作業していた業務を自動化することで人的リソースを削減できる。また、書類をデータで管理することによりペーパーレス化が行えるため、印刷代や用紙代、郵送代などのコスト削減も合わせて実現できる。

ダイバーシティマネジメントが進み、優秀な人材が定着する
ダイバーシティマネジメントとは従業員の個性を受容し、多様性を活かして企業を成長させる手法である。多様化する働き方や雇用形態などの価値観に合わせることで、ESの向上・職場環境の改善などが見込まれ優秀な人材が定着することに繋がる。

SDGs活動への取り組みとして企業価値の向上が期待できる
前述したペーパーレス化により紙やインクの消費を削減することで、資源の節約することと廃棄に関する二酸化炭素排出量も抑えることが可能だ。このようなSDGs活動に取り組むことで企業価値の向上が期待できるだろう。

スムーズに経理業務のDX推進を行う手順とコツ

どのようにして経理業務のDX推進を行うのか、そのやり方やポイントについて解説する。

経理業務に関連する書類のペーパーレス化を行う
まずは紙でやりとりを行っている請求書や領収書などの書類を、全てペーパーレス化しよう。保管している書類のスキャン作業を行いつつ、取引先に今後紙でのやり取りを停止するよう連絡することで徐々にペーパーレス化に対応できるようになる。

他部署とのシステム連携にて業務基盤になるマスターデータを作る
部署ごとに使用しているシステムが独立状態の場合はシステム連携を行い、全部署のデータを統合して業務基盤となるマスターデータを作成しよう。

電子署名や契約管理・会計管理システムにマスターデータを統合する
上のステップで作成したマスターデータを各種システムに統合する。そうすることで必要なデータを参照し紐づけることで入力の手間や検索時間を削減できるだろう。

システムを活用した経理業務のワークフローを設計する
導入したシステムごとに経理業務のワークフローを設計する。特に経費精算など申請から処理までに複数のステップを挟む場合には、これを機に承認者の定義などを合わせて決定すると良いだろう。

まとめ

経理業務はDXと相性が良いにもかかわらず、未だ導入されている企業は少ない。今後自社の経理部のDX化を検討している方はぜひ参考にしてみてほしい。