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【2022年】改正道路交通法の施行内容とは。対象の事業者や企業対応を解説

2022.06.24
オフィスのミカタ編集部

2022年の4月より改正道路交通法施行規則が施行され、安全運転管理者の業務が拡充されることとなった。運転する従業員のアルコールチェックを義務化する点が大きな改正点だが、これまでとの違いや、適切に業務を行うための注意点を知っておきたいという担当者もいるのではないだろうか。本記事では、2022年の道路交通法の改正点や対象となる事業者、改正時の対応において知っておきたいポイントを解説する。管理体制を見直す際の参考にしてほしい。

目次

●2022年・改正道路交通法の施行規則の概要とは
●法改正の対象は、安全運転管理者を選任している事業者
●改正時の対応で知っておきたいポイント
●まとめ

2022年・改正道路交通法の施行規則の概要とは

道路交通法とは、車や自転車、歩行者などが道路上を安全かつ円滑に走行・歩行するために定められた法律のこと。道路交通法はこれまでも少しずつ改正されてきたが、2022年の道路交通法施行規則改正では、安全運転管理者が行う業務が拡充となる。今回の法改正には、飲酒運転による悲惨な事故を防ぐという背景がある。まずは、道路交通法の具体的な改正点について見ていきたい。

2022年4月1日施行の改正点
2022年4月1日に施行された、道路交通法施行規則の改正点は以下の通りだ。

・運転前後の運転者に対して、酒気帯びの有無を目視などで確認すること
・酒気帯びの有無について、1年間記録を保存すること

このように、運転者に対しての酒気帯びの有無について目視などで確認し、その記録を保存することが義務化された。

2022年10月1日施行の改正点
2022年10月1日には、道路交通法施行規則が以下の通り改正となる。

・国家公安委員会が定めるアルコール検知器を用い、運転者の酒気帯びの有無の確認を行うこと
・アルコール検知器を常時有効に保持すること

10月1日の改正では、アルコール検知器を使い運転者の酒気帯びの有無を確認することが義務化される予定だ。

参考:『警察庁「道路交通方施行規則の一部を改正する内閣府等の施行に伴う安全運転管理者業務の拡充について(通達)」』

法改正の対象は、安全運転管理者を選任している事業者

今回の法改正は、「安全運転管理者」を専任する必要のある事業所を持つ事業者が対象となる。安全運転管理者とは、道路交通法令の遵守や交通事故の防止を図ることを目的とした「安全運転管理者制度」に基づき専任するもの。一定台数以上の自動車を使用する事業者は、自動車を使用する事業所ごとに「安全運転管理者」を選任する必要がある。ここからは、安全運転管理者の選任基準について見ていこう。

安全運転管理者の選任基準
安全運転管理者を選任する基準は、以下のように定められている。

・自動車5台以上の所有 ※自動二輪車(50cc以下の原付は除く)は1台を0.5台として計算
または、
・定員11人以上の自動車1台以上の所有

安全運転管理者を置く必要があるのかは、会社全体で自動車を何台所有しているのかではなく、事業所ごとに所有している自動車の台数で判断される。今回の法改正によりアルコールチェックが義務化となる事業者は、緑ナンバーの自動車(顧客の荷物を有償で運ぶ営業用トラック)を所有する事業者だけでなく、白ナンバーの自動車(自社の製品や荷物を運ぶ社用車や営業者)を所有する事業者まで対象が拡大された点を理解しておきたい

安全運転管理者の業務内容
今回の法改正により安全運転管理者の業務が拡充すると述べたが、改正後どのような業務が増えるのか、改正前と改正後に分けて紹介する。

【改正前】
運転者の状況把握
安全運転を確保するための運行計画の作成
長距離・夜間運転時の交替運転者の配置
異常気象時等の安全確保の措置
点呼と日常点検
運転日誌の備付けと記録管理
運転者に対する安全運転指導

【改正後 ※改正前の内容に追加される業務】
酒気帯びの有無の確認および記録の保存(1年間保存)※2022年4年4月1日施行
アルコール検知器の使用 ※2022年10月1日施行

改正後は安全運転管理者の業務内容が2つ追加となり、改正前の7つから9つに増えることを把握しておくとよいだろう。

改正時の対応で知っておきたいポイント

改正時の対応について、疑問が生じるケースもあるのではないだろうか。ここからは、改正時の対応で把握しておきたいポイントについて解説する。

直行直帰の場合など、対面での酒気帯び確認が困難な場合の対応
安全運転管理者は、運転者が直行直帰する場合でも酒気帯びの有無を確認する必要がある。確認方法は対面が原則となるが、対面での確認が困難なケースでは、以下のような方法で確認することができる。

・安全運転管理者が、運転者の顔色や応答の声、アルコール検知器による測定結果をカメラやモニターなどで確認する方法
・安全運転管理者を補助する者に、携帯電話や業務無線を使って運転者の応答の声やアルコール検知器による測定結果を報告してもらい、対面による確認と同等の確認をする方法

安全運転管理者の不在時など確認が難しい場合は、安全運転管理者を補助できる「副安全運転管理者」や「安全運転管理者の業務を補助する者」などに、酒気帯びの有無確認をお願いすることも可能だ。

酒気帯びの有無を記録する際の記録内容
酒気帯びの確認について記録する場合、どのような内容について記載すればよいのか紹介する。

【記録内容】
1.確認者氏名
2.運転者氏名
3.自動車のナンバー(番号または識別できる記号や番号など)
4.確認の日時
5.確認方法(対面でない場合は具体的方法)
  ※2022年10月1日からはアルコール検知器の使用の有無も記載
6.酒気帯びの有無
7.指示事項
8.その他必要な事項

酒気帯びの有無を記録する場合、記録簿の様式や保存方法についてのルールはない。紙媒体でも電子媒体でも問題がないため、運用しやすい方法を選択するとよいだろう。

アルコール検知器の選び方
先述した通り、2022年10月1日からはアルコール検知器を用いての酒気帯び確認が義務化される。「国家公安委員会が定めるアルコール検知器」を使いアルコールチェックを行う必要があるが、どのような性能のアルコール検知器を選べばよいのだろうか。

結論から言うと、使用するアルコール検知器の性能上の要件は設けられていないため、一般に流通しているものであればどれを選んでも良い。アルコール検知器には事務所に設置するタイプや持ち運びできるタイプ、データが保存できるタイプなど様々な種類がある。呼気中のアルコールを検知し、その有無や濃度に対して警告音・警告灯・数値などで示すことができる機能を有していれば、どれを選んでも特に問題はないだろう。

また、アルコール検知器は「常時有効に保持する義務」もある。アルコール検知器を正常に作動し、故障がない状態で保持するためにも、取扱説明書に基づき適切に使用・管理することが大切だ。

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まとめ

2022年の改正道路道路交通法施行規則の施行により、安全運転管理者の選任が必要である事業所に対して、アルコールのチェックが義務化される。自社が法改正の対象となるかは、安全運転管理者の選任基準を確認するとよいだろう。

今回の法改正には、飲酒運転根絶という社会的背景がある。改正点や改正時の対応で知っておきたいポイントなどを参考に、適切に業務を行える体制を構築してほしい。