採用フローとは? 設計方法や構築時の注意点
労働人口が減少する中、採用難易度は年々増しており、優秀な人材の確保はあらゆる企業の経営課題の一つとなっている。「これまでの採用手法では通用しない」と感じている人事担当者も多いだろう。本記事では、優秀な人材を獲得するための採用フローについて、詳しく解説する。併せて効率的に採用活動を進めるためのポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
目次
●採用フローの概要とワークフロー化をするメリット
●採用フローを構成する4つのフェーズ
●新卒と中途の採用フローは明確に分けて考える
●中途採用フローを設計する際のコツ
●採用の新しい形としてのジョブ型雇用
●採用フローにおける主な課題
●採用フローの見直しの観点と改善方法
●採用フローの構築・改善におすすめの採用管理システム
●まとめ
採用フローの概要とワークフロー化をするメリット
まずは、採用フローとは何か、ワークフローを構築するメリットとは何かを説明する。
採用フローは採用活動全体の流れ
採用フローとは、応募者の募集から入社に至るまでの採用活動の一連の流れを指す。募集→選考→内定→研修のようにプロセスを分解することで、課題の発見やスムーズな採用活動の進行に役立つ。
採用フローで歩留まりの把握により採用活動の改善ができる
採用活動において、各プロセスを分解して管理する採用フローの運用は、歩留まりを把握・改善する上で重要だ。つまり、応募から面接に至った割合や面接から採用に至った割合といった各プロセスを通過した人数の割合を検証することで、どこに課題があるのかが明確になるわけだ。また、歩留まりを改善することで無駄なコストや労力の削減にもつながる。
採用フローを構成する4つのフェーズ
次に、採用フローを構成する4つのフェーズについて詳しく見ていこう。
募集
まずは募集をかけ、自社に興味を持つ母集団を形成することから採用活動は始まる。応募者数が少ないのであれば、より広く周知できる方法や、自社のターゲットに訴求できる方法、自社を魅力的にアピールできる方法を模索する必要がある。一方で、選考や内定に至る歩留まりの低さが課題であるなら、応募の時点で自社のターゲットをより明確に伝える情報提供の方法を検討する必要があるだろう。
選考
次のステップは選考だ。企業によって、書類選考や適性テスト、面接など、内容もステップの数も異なるだろう。選考のステップごとに分解して歩留まりを把握すれば、より課題も具体的になるだろう。
内定
次のステップは内定だ。内定率が低いのであれば、「自社が求めるターゲットに訴求できていない」「求める人物像が経営層や人事、現場で異なる」など、募集や選考の段階に課題がある。また新卒の場合、およそ3人に2人が内定辞退をしていると言われるが、辞退率があまりに高いのであれば、内定者フォローに力を入れる必要がある。
研修
最後のステップは研修だ。新卒であれば入社前研修を設けている企業も多いだろう。先輩社員や同期との交流などによって、相互理解や連帯感につながり、内定防止に役立つ一方で、「会社や同期との雰囲気が合わない」などの理由で内定辞退を招くケースもある。研修後の自体が多いようなら、研修の内容や研修以外の内定者フォローの内容などを見直す必要があるだろう。
新卒と中途の採用フローは明確に分けて考える
採用フローを運用する際は、新卒と中途で分けて考える必要がある。募集において、採用手法や利用メディアなどが異なる上、選考や内定後のフローにも違いがあるからだ。別物として運用しないと、歩留まりの改善にはつながらないだろう。
中途採用フローを設計する際のコツ
上述したフローは主に新卒向けのものだが、ここでは中途採用向けの採用フローについて紹介しよう。
一般的な採用フロー
一般的な採用フローとしては、上の図のような流れになる。新卒と中途ではステップが異なるケースも多いだろう。売り手市場が続いていることから、ステップを減らす傾向も見られる。各プロセスでどのようなポイントで見極めを行うかは社内ですり合わせておく必要があるだろう。また、中途の場合は会社説明会を行うことが少ないため、その分一次面接などで会社説明の時間を設けるなど、工夫も必要だ。
募集職種によって採用フローを使い分けターゲットを明確化
中途採用は即戦力を求められることが多く、職種やポジションによって求められるタイプは異なるだろう。事務職、営業職、幹部候補などをまとめて管理してしまうと正しく現状を把握するのが難しくなるため、募集内容に応じてターゲットも採用フローも分けて運用することが求められる。
採用の新しい形としてのジョブ型雇用
従来の新卒採用では総合職として採用するメンバーシップ型雇用が中心だったのに対し、最近では新卒でも中途のように職種に応じて適した人材を採用するジョブ型雇用が増えてきている。特にエンジニアなどの専門職の採用に適した手法と言える。採用時点で従事してもらう職種が決まっているため、募集や選考段階でターゲットを明確にしやすい点が大きな特徴だ。
採用フローにおける主な課題
次に、採用フローにおける主な課題を3つ紹介しよう。
母集団形成のための広告費の高騰
労働人口は年々減少しているため、これまでのように応募者が集まらず、広告費が高騰している企業は多いだろう。母集団の形成に課題がある場合は、採用手法の見直し・拡大やターゲットの見直しが求められる。
専門性の高い希少人材へのアプローチ方法の模索
新卒・中途どちらの場合も、特に採用が難しいのが有資格者や専門性の高い分野の人材だ。特にIT系人材などは競争率が高く、採用が難航するだろう。希少人材の獲得に悩まれている場合は、他の職種とは分けて採用フローを構築していく必要があるだろう。
採用フローの管理の煩雑さ
効果的な採用活動を追求しようとすると、採用フローの細分化が必要となり、採用フローを管理するだけでも手間がかかってくる。採用管理システムを活用するなど、管理業務の効率化を計りながら、採用戦略の策定などのコア業務に注力して欲しい。
採用フローの見直しの観点と改善方法
母集団形成の見直しと改善
母集団形成において、下記のような状況は採用フローの改善が必要なサインだ。
・候補者の数がそもそも少ない
・ターゲットに合致しない候補者が多い
母集団形成が課題となる場合では、必要以上のスキルを採用要件としており、そもそも採用市場で人材が少ないことも考えられるため、現場との協議し採用市場を踏まえた現実的なラインで、採用したい人材像をあらためて引き直すことが必要だ。また、求職者に伝える自社の魅力を棚卸した上で、SNSでの情報発信を用いたダイレクトリクルーティングなどこれまでの採用チャネル以外への導線拡大が主な改善の方針だ。
選考通過率の見直しと改善
選考において、下記のような状況は採用フローの改善が必要なサインだ。
・選考を通過する候補者が少ない
・面接実施後に選考を辞退する候補者が多い
選考の通過率があまりにも低い場合には通過要件のハードルが高すぎる可能性がある。とはいえ、選考通過率を意識するあまり、ターゲットでない人材を通過させるメリットはないため、母集団形成の改善に立ち返るべきだ。また、面接実施後に選考を辞退する候補者が多い場合は、「無駄な選考プロセスがないか」「選考に日数をかけすぎていないか」「候補者とのコミュニケーションが途切れていないか」と選考フローそのもの見直しを図ることが改善の方針だ。
内定承諾率の見直しと改善
求職者は複数の企業に応募しているため、内定辞退が課題になるケースも多い。
内定承諾率が課題となる場合では、多くの場合内定後のフォロー不足が原因だ。人事には、候補者の入社意欲を保つためのコミュニケーションが必要になる。内定後のフォローとしては、会社訪問やランチミーティングといった場のセッティングで、採用担当者以外の社員とのコミュニケーション機会を作るなど、継続的なコンタクトを採用フローに組み込むことが改善の方針だ。
採用フローの構築・改善におすすめの採用管理システム
効率的に採用の成果を上げていく大きな助けとなるのが、採用管理システムの存在だ。ここでは、3つの採用管理システムを紹介しよう。自社に合うシステムを見つけて、管理や事務の手間を省き、スムーズな運用につなげて欲しい。
なお、以下のページでは、雇用形態や採用フロー別におすすめの採用管理システムを紹介している。自社に適した採用管理システムを導入したい場合には、合わせて読んでほしい。
2024年度版採用管理システムを徹底比較。おすすめサービスを紹介- オフィスのミカタ
HRMOS採用
詳細な採用レポート機能など、採用力を集めるためのデータ活用に強いのが「HRMOS採用」だ。選考通過率などのデータ活用で戦略的に採用フローを構築・改善することができる。さらに専任のコンサルタントが採用目標の達成に伴走してくれる点も魅力だ。
https://hrmos.co/
ジョブカン採用管理
応募者管理だけでなく、求人ページの作成や管理、エージェントの管理までまとめて行える「ジョブカン採用管理」。グラフや表で選考ステップごとのレポートなども確認できるため、各選考ステップの歩留まりから採用フローの課題の洗い出しや改善を行いやすい。
https://ats.jobcan.ne.jp/
一括採用かんりくん
新卒・中途などの採用活動のすべてをまとめて管理することができる「一括採用かんりくん」。LINEやZoom、Slack、Chartworkなどのコミュニケーションツールとの連携で候補者とシームレスにコミュニケーションが取れやすく、候補者のフォローアップを行いやすい。
https://www.career-cloud.asia/
まとめ
年々採用が難しくなる中で、採用目標を達成するには採用フローの運用・見直しが欠かせない。この記事を参考に、効果的かつ効率的な採用フローの構築を進めてほしい。まずは、自社に適した採用管理システムを見つけて、歩留まりの把握や課題発見から始めよう。
なお、以下 のページから、採用管理ツールの資料の一括請求が可能となっている。
ぜひこの機会に、自社にあった採用フローの整備を行ってほしい。
■テーマ内部リンク一覧
2024年度版採用管理システムの完全ガイド
採用フローで必要な書類とは?新卒・中途採用に必要な関連書類
採用管理システムが注目される理由とサービスの選び方
2024年度版採用管理システムを徹底比較。おすすめサービスを紹介