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【解説】オフィスにおける熱中症対策!熱中症が起こる要因とは

2022.08.23
オフィスのミカタ編集部

熱中症は、屋外での作業時だけでなく屋内での作業時にも発症する恐れがあるため、オフィスにおける熱中症対策も重要だ。オフィスでの熱中症対策をどのように行うべきか、気になる担当者もいるのではないだろうか。本記事では、熱中症の概要や熱中症が起こる要因、オフィスにおける熱中症対策について解説する。

目次

●熱中症とは?
●熱中症が起こる要因
●オフィスにおける熱中症対策
●まとめ

熱中症とは?

熱中症とは、高温多湿な環境下にいることで、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調節などの体内の重要な調整機能がうまく働かなくなったりして発症する障害の総称のこと。熱中症は、屋外にいるときだけでなく、室内にいるときにも発症する場合がある。そのため、企業は外での現場作業時だけでなく、オフィス内での作業時にも、従業員の体調に注意しなければならない。ここからは、熱中症を発症するとどのような症状が出るのかを具体的に見ていこう。

熱中症の症状
厚生労働省の資料によると、熱中症を発症すると、以下のような症状が現れるとされている。

めまい・失神
筋肉痛・筋肉の硬直
大量の発汗
頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐
倦怠感・虚脱感
意識障害・痙攣
手足の運動障害
高体温


熱中症の症状は、上記で記載した症状の重症度に従い、「軽症(Ⅰ度)」から「中等症(Ⅱ度)」、「重症(Ⅲ度)」に分類される。熱中症は、一つの症状のみが発生することは少なく、混在して発生するケースが多いことを把握しておくとよいだろう。

熱中症の症状は、短時間のうちに刻々と変化する。「重症(Ⅲ度)」である場合には入院加療が必要となるため、重症化を防ぐためにも、「熱中症の症状をいち早く発見すること」「早期に治療をすること」が大切だ。

参考:厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課『職場における熱中症予防対策マニュアル』

熱中症が起こる要因

オフィス内で熱中症が起こる要因は、大きく分けると2つある。ここでは、オフィスにおける熱中症がどのような状況下において起こるのかを解説する。

【要因1】環境
まず1つ目の要因は、「周辺の温度や湿度が高い」といった環境的要因だ。具体的な要因は、以下の通り。

・直射日光が当たる場所にいる
・エアコンの無い部屋にいる
・OA機器が密集している場所にいる

夏場のオフィスでは、直射日光に当たる場所やOA機器の近くで作業をする場合などで注意が必要だ。エアコンの設備が無い部屋では、室温が屋外と同様炎天下に近い状況になっていることもあるため、従業員が涼しい部屋で作業を行えるよう工夫するとよいだろう。

【要因2】からだ
身体面や体調面など、からだが要因となって熱中症が起こることもある。以下で具体的な要因を見ていこう。

・高齢や肥満である
・糖尿病や精神疾患などの持病を抱えている
・二日酔いや寝不足のとき
・発熱や下痢時など脱水状態のとき
・栄養状態が低下しているとき
・涼しい室内から急に暑い屋外へ出たとき

体調が悪い場合は、汗がうまく体から排出されず、体内に熱がこもりやすい。そうすると急激な温度変化にからだが対応できなくなるため、熱中症が起こるリスクが高まるだろう。

参考:環境省『熱中症予防情報サイト 熱中症の予防方法と対処方法』

オフィスにおける熱中症対策

重度の熱中症になった場合、病院に救急搬送されたり死亡したりするケースもあり、従業員の熱中症を防ぐことは、企業の重要な課題となっている。ここからは、企業ができるオフィスでの熱中症対策について、詳しく見ていく。

こまめな水分補給の促進
オフィスにおける熱中症対策の1つは、管理者が、作業の前後や作業中に定期的に水分補給をするよう、従業員に働きかけることだ。夏場は体内の水分が不足しがちになるため、喉が渇いてからではなく、喉が渇く前に水分を補給する必要がある。イオン飲料、経口補水液などを用意し、従業員がいつでも気軽に水分を摂取できるようにしておこう。

快適な作業場所の確保
オフィス内に、エアコンなどの冷房を備えた作業場所を確保することも大切だ。断熱効果が期待できるガラスフィルムを窓に貼る、カーテンやブラインドを使うなどし、日差しを遮る工夫をするとよいだろう。

また、扇風機やサーキュレーター、冷たいおしぼりなど、涼感を得られる便利なグッズを準備しておくのもおすすめだ。

WBGT値(暑さ指数)の活用
WBGT値(暑さ指数)を活用することも、企業ができる対策だ。WBGT値とは、熱中症の予防を目的として、1954年にアメリカで提案された指標のこと。「気温」「湿度」「日射や輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境」の3つのリスクを分析することで、熱中症のリスクが存在する環境下であるかを評価できる。

WBGT値は環境ごとに異なる数値となるため、下記に記載の「熱中症予防情報サイト」などで確認するとよいだろう。なお、気温が28℃を超えると、熱中症の発症リスクが上がると言われているため、室内であっても温度を図ることが重要だ。WBGT値を定期的に確認し、オフィスの熱中症対策に役立てよう。

参考:環境省『熱中症予防情報サイト 暑さ指数とは?』

労働衛生教育の実施
熱中症の症状や予防対策、熱中症になった場合の処置について、従業員に共有する機会も設けよう。熱中症を予防するためには、熱中症に対して従業員が正しい知識を持つことが大切だ。事前に熱中症に対する知識を従業員に共有しておくことで、熱中症予防に対する従業員の意識が高まり、その結果、熱中症が起こるリスクを減らすことができるだろう。

また、企業には定期的に健康診断を実施する義務があり、従業員に自身の健康状態について認識してもらう必要もある。健康診断で異常が認められた従業員については、医師の判断に基づき、業務内容の変更などの措置をとる必要があることも知っておこう。

日常的な健康管理
先述したとおり、睡眠不足や二日酔い、風邪による発熱や下痢などからくる脱水症状といった体調不良は、熱中症に悪影響を与えることがある。そのため、日頃から従業員の体調管理に留意することが大切だ。

作業所に体温計を備えておき定期的に体温を計測する、業務開始前に睡眠不足や二日酔いの有無などを確認するなど、従業員の体調の変化をしっかり管理するようにしよう。

まとめ

熱中症が起こると、めまいや頭痛などの症状が出るだけでなく、場合によっては死に至るケースもある。そのため、従業員の熱中症を予防することは、企業にとって重要な課題だ。

オフィスにおいて熱中症が起こる要因には、主に「環境」と「からだ」の2つの要因がある。ここで紹介した熱中症対策を参考に、オフィスでの熱中症の発症リスクを抑え、熱中症を予防しよう。