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ボーナス・賞与は税務会計に影響大。事業所規模・業界別の支給状況や適正額の便利な計算システムを紹介

2022.09.29
オフィスのミカタ編集部

ボーナス・賞与は従業員のモチベーションアップに大きな影響を与えるが、企業側にとっても税務会計に大きな影響を与えるイベントだ。今回は事業所規模・業界別の平均支給額や支給の方法についてなどを紹介していく。

ボーナス・賞与の支給と不支給、減額における法的根拠

ボーナスや賞与を支給している企業は多いが、業績によっては減額、不支給としたいときもあるだろう。ここではボーナス・賞与の法的根拠について詳しく解説する。

ボーナス・賞与とは固定給を支払っている従業員に対して支給する一時金
ボーナスとは固定給を支払っている従業員に対して、月々の給与とは別に支給する一時金のことを指す。会社によってボーナスや賞与、特別手当など、呼び方が違う場合がある。

ボーナス・賞与支給の法的根拠はなく、労働契約上の決まりに基づき支給
ボーナスは賃金の一種ではあるものの、月々の給与と違って支払いについての法的根拠はない。ただ、会社の労働契約や就業規則、賃金規定においてボーナスや賞与の支給を記している場合は、支払い義務が生じることになる。

ボーナス・賞与の減額・不支給に関しても原則として違法ではない
ボーナスや賞与の支給に関する法的根拠がないことから、減額や不支給となった場合にも違法となることは原則としてない。しかし、賞与は従業員のモチベーションに大きな影響を持つことから、安易な不支給や減額は避けたい。最悪の場合、優秀な人材の離職にもつながることを念頭に置いておくべきだろう。

社会保険料と税金にもかかわる社員の年収におけるボーナス・賞与

月々の給与と賞与・ボーナスでは社会保険料や所得税の計算方法が異なる。給与では標準報酬月額により、社会保険料の控除額が決められているが、ボーナス・賞与の場合は支給額の1000円未満を切り捨てた標準賞与額に保険料率を乗じた額を支払わなければならない。

なお、標準賞与額には上限があり、厚生年金の場合はひと月で150万円とされおり、150万円を超過した金額には保険料がかからない。健康保険は4月1日から翌3月末までを対象とした1年間の累計額が573万円となっており、累計額が573万を上回る場合は保険料がかからないということになる。

厚労省が実施する毎月勤労統計調査における賞与の支給状況

厚生労働省が実施している毎月勤労統計調査(2019年)において、賞与の支給状況を調査したデータがある。データからボーナス・賞与の事業・業界別の支給状況を読み解いていこう。

参照:厚労省「毎月勤労統計調査 令和2年夏季賞与の支給状況

事業規模別にみた平均ボーナス・賞与支給額
まずは事業規模別に平均ボーナス・賞与支給額を見ていこう。5人〜29人規模の平均賞与支給額が27万4523円であるのに対し、500人以上の規模では63万3853円となっており、基本的には事業所の規模が大きくなればなるほど、平均賞与支給額が高くなっていることが分かる。

業種別に見た平均ボーナス・賞与支給額
業種別に見てみると、最も高額になったのは電気・ガス業の77万8997円で、次いで情報通信業の67万1221円、学術研究等の64万3092円と続いている。最も低かったのが、飲食サービス業等の5万5296円で他業種と比べて群を抜いての低さとなった。今回の調査は2019年に行われたもので、コロナ禍で景気が悪化していたこともあり、景気に左右されない電気・ガス業がトップになったという側面がある。同じく情報通信業、学術研究等も他産業と比べてコロナ禍でも影響が少なかった業種といえる。
以下の記事では最新の2022年度夏のボーナス・賞与実態調査を実施した結果を紹介している。ぜひ最新の情報を参考にしてほしい。
中小企業/零細企業の従業員・代表取締役393人を対象「2022年度 夏のボーナス・賞与実態調査を実施」

ボーナス・賞与は大きく3つに分類される

ボーナス・賞与は大きく分けて3つに分類される。それぞれの特徴を見ていこう。

基本給の何カ月分という計算方法の「基本給連動型ボーナス・賞与」
日本の民間企業で最もスタンダードとされているのが「基本給連動型ボーナス・賞与」。基本給の何カ月分という形で支給額が決定する。

成果に応じた報酬を与える「業績連動型ボーナス・賞与」
成果型の支給方式が「業績連動型ボーナス・賞与」である。成果に応じて支給額が変動するため、モチベーションの維持につながるというメリットがある。

業績が好調な時に社員に還元される「決算賞与」
会社の業績が好調なときに決算月前後に還元されるのが「決算賞与」だ。決算賞与の支給時期は事業年度終了の翌日から1カ月以内が期限とされているので注意が必要だ。

節税に優位とされる業績連動型の決算賞与

ボーナスは「賞与」として経費に計上されるため、節税対策になることも忘れてはならない。決算期に大幅な利益が出る見通しである場合、法人税が高額になることが分かる。法人税額アップを回避するために決算賞与を支給することで、賞与を損金に計上し節税するという方法だ。

基本給連動型ボーナス・賞与の計算方法と一般的な支給時期

上記で紹介した「基本給連動型ボーナス・賞与」の計算方法と一般的な支給時期について紹介する。

額面は企業が定めた規定に基づいた「基本給×何カ月分」
前述した通り、基本給連動型ボーナス・賞与は基本給に連動するため、「基本給×何カ月分」と規定された額を支給する方式だ。多くの企業では毎年「何カ月分」かは同一なため、従業員は大体の支給額を予想することができるというメリットがある。

額面から社会保険料と所得税を差し引いた金額が手取り
ボーナス・賞与にも社会保険料と所得税がかかるため、事前に準備しておこう。上記で紹介した通り、月給とは社会保険料の計算方法が異なるため注意をしたい。

支給時期は企業により異なるが夏と冬の2回が一般的
支給時期は企業ごとに異なるが、一般的には夏と冬の2回が多い。また、国家公務員に関しては人事院規則により6月30日と12月10日と定められており、地方公務員も国家公務員に近いタイミングで支給されるパターンがほとんど。気をつけたいのが支給回数。4回以上になると賞与ではなく通常の給与と見なされ、社会保険料や所得税の計算方法も通常給与と同じようにする必要性が出てくるので賞与・ボーナスとする場合は年に3回までにする必要がある。

ボーナス・賞与計算の負担を軽くするおすすめの賞与計算システム

定期的に支給はするものの、忘れた頃にやってくるために、毎回賞与計算に苦労しているという給与担当者は多いのではないだろうか。ここでは、担当者が計算する負担が大幅に削減できる賞与計算システムについてしよう。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

ジョブカン給与計算
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https://payroll.jobcan.ne.jp/

マネーフォワード クラウド給与
法令に準拠した給与自動計算が可能なマネーフォワードクラウド給与は、法令改正や増税、社会保険料の料率変更なども無料で素早くアップデートするため、正確な給与・賞与計算で担当者の負担を軽減できる。マネーフォワードの他システムとの連携で、バックオフィス全体の業務効率化を進めることも可能だ。
https://biz.moneyforward.com/payroll/

人事労務freee
労務の人的ミスを0にすることを目指す人事労務freeeは、給与計算・給与明細・給与振込までの流れを丸ごとIT化して一気通貫で管理してミスの削減をはかっている。もちろん賞与も対応している。他社を含めさまざまなサービスとの連携が可能で、より効率的なバックオフィス業務を実現できるだろう。
https://www.freee.co.jp/hr/

まとめ

賞与・ボーナスは、企業にとっても従業員にとってもプラスになることが多いため、財務状況や業績が良ければ積極的に支給していきたい。その際に給与担当者の負担が増大しないよう、給与計算システムの導入も検討してほしい。