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オフィスでできるSDGs4選!取り組み方やメリットを解説

2022.09.26
オフィスのミカタ編集部

SDGsの達成に向けた企業の取り組みが活性化している今、オフィスで取り組めるSDGsにも関心が高まっている。しかし、何から手を付けたら良いか悩ましさを感じている担当者も多いのではないだろうか。本記事ではオフィスで進められるSDGs施策や、取り組み方などを紹介するので、SDGsに取り組む担当者は参考にしてほしい。

目次

●企業はSDGsに取り組むべき?
●企業がSDGsに取り組むメリット
●SDGsの取り組み方
●オフィスでできるSDGsの取り組み4選
●社員に勧めたい手軽にできるSDGsへの取り組み例
●まとめ

企業はSDGsに取り組むべき?

2015年9月25日にニューヨークの国連本部で開催された国連サミットで「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」が採択され、日本でもSDGsへの取リ組みが活性化している。まずはSDGsの概要や企業で取り組む意義などを解説していく。

SDGsの目的とは
SDGsとは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のこと。17の目標と169のターゲットから構成され、「地球上の誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。世界中で「気候変動」をはじめ、「貧困」「紛争」または「人権問題」などさまざまな課題が浮き彫りとなっている中、世界各国が協力しそれらの課題を解決していくことがSDGsの目的だ。SDGsは開発途上国のみならず、先進国も取り組むべきものとされており、日本も積極的に取り組む姿勢を示し、国内企業にもSDGsの推進が強く求められている。

SDGs17の目標
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と構成をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

企業に求められるSDGsとは
SDGsはすでにビジネスの世界でも共通言語になりつつあり、企業は規模の大小にかかわらず市場や取引先からのニーズに応えるべく、SDGsへの対応が求められるようになった。例えば中小企業が取り組めるものとして、環境省は、節水・節電・福利厚生などを具体例に挙げている。SDGsに示された課題を解決するために、SDGs推進を掲げるだけでなく、企業としても持続的に発展し続けられる具体的な取り組みの推進が期待されているのだ。

企業がSDGsに取り組むメリット

手間やコストがかさむと思われがちなSDGsへの取り組みだが、実は取り組むことでさまざまなメリットが得られる。ここでは環境省が発行する「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」を基に、SDGsに取り組むことで得られる4つのメリットを紹介する。

<メリット1>企業価値の向上
SDGsに取り組むことで、企業価値向上につながるというメリットがある。SDGsは世界各国、社会全体で取り組みが進められており、ビジネスの世界でも経営リスクの回避や新たなビジネスチャンス獲得を追及するためのツールとして、関心が高まっている。SDGsへの取り組みを発信すれば、株主や顧客、取引先などのステークホルダーに社会的貢献性のある企業として評価されることにもつながるだろう。

<メリット2>採用力の強化
SDGsは特に、若年層の理解度が高い傾向にある。就職活動中の学生の中には、応募する企業選定にあたりSDGsへの取り組みを判断基準の一つとする人も増えており、ジェンダー平等や環境に配慮した企業経営は、学生の企業選定の上で重要な要素となっている。SDGsへの取り組みをアピールすることは、多様な人材確保に有効な手段となるだろう。

<メリット3>社会課題への対応で地域での信頼を獲得
SDGsに取り組むことで、地域での信頼を得やすくなることもメリットのひとつだ。SDGsの17の目標には、社会が抱えるさまざまな課題が網羅されている。SDGsに取り組むことで、社会課題への対応を行うことができ、地域における信頼獲得にもつながるだろう。

参考:環境省『持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド【第2版】』

SDGsの取り組み方

ここでは、国連などの3団体が共同で作成した「SDGsコンパス」を基に、具体的な取り組み方を紹介する。

<ステップ1>SDGsを理解する
まずは社内においてSDGsの推進に関わるメンバーを決めることが必要だ。SDGsの取り組みは中長期的な企業の戦略ともかかわるため、メンバーには経営者や経営者に意見できる役員などを加えることをおすすめする。メンバーが決まったら、チーム全員で共通の知識を増やすべく、外部講師や勉強会などを開催しSDGsの本質への理解を深めることが重要だ。その上で、自社事業とSDGsの17の目標との関係性を紐づけて整理しよう。

<ステップ1の行動例>
・SDGsの資料や本、動画などでSDGsを個人で理解する
・セミナーや社内研修を実施するなどし、担当者の理解を深める
・自社事業とSDGsの17のゴールを関連付けて整理する

<ステップ2>優先する課題を決定する
次は、SDGs17のゴールのうち優先する課題を決めるステップだ。SDGsコンパスのステップ2では「各企業の優先課題の所在を明らかにすること」が推奨されている。また、17の目標のうちすべてが各企業において重要であるとは言えず、どの目標を優先するかを決定することが重要だとされている。

優先する課題を決定する際にはまず、バリューチェーン(注)全体を通じ、自社の事業活動がSDGsに及ぼす、またはその可能性のある「正」と「負」の影響を把握することが重要だ。例えば、製造業の場合では自社が生産する商品の原材料の調達、生産、販売、廃棄などのバリューチェーン全体を図式化し、各段階で関わる企業などを特定していく。さらに、各段階において発生する「正」と「負」の課題を洗い出し、その課題の中から自社が取り組める優先課題を特定する。特定した優先課題をSDGsのターゲットを探して当てはめ、課題を決定するのが望ましい。

(注)バリューチェーン:自社の製品の製造・販売などを支える開発や労務管理などを含む全ての活動を「価値の連鎖」として捉える考え方。1985年にハーバード・ビジネススクール教授のマイケル・ポーターが著書『競争優位の戦略』において提唱した。

<ステップ2の行動例>
・SDGsの169のターゲットを理解する
・担当者個人および推進チームでバリューチェーンの図式化を行う
・バリューチェーンに関与する企業・団体を洗い出す
・バリューチェーンの各段階で発生する「正」「負」の影響を把握する
・自社の優先課題を決め、169のターゲットから特定する

<ステップ3>目標を設定する
続いて、ステップ2で決定した優先課題を基に目標を設定する。この際、具体的かつ計測可能であり、持続可能な目標を設定することが重要だ。また、目標を組織全体で共有することで、事業活動とSDGsとを連動させることができるだろう。SDGsコンパスでは、将来の「負」の影響を抑制するものであることのほか、SDGsに「正」の貢献ができる目標を設定することが推奨されている。加えて、ここで設定した目標が各企業の事業だけでなく、バリューチェーン全体を向上させる機会を提供することが望ましいとされている。そのため、目標を設定したら、目標を公表するなどし、意欲的に取り組む姿勢を表明することで、外部ステークホルダーなどとの建設的な対話の基盤ともなりえるだろう。

<ステップ3の行動例>
・自社の目標を協議し決定する
・自社の目標の公表の有無を検討し、施策を決め実行する

<ステップ4>経営へ統合する
ステップ3で目標が設定できたら、その目標を自社に浸透させていく。SDGsの取り組みにおいては、経営側の積極的な働きかけが重要とされており、経営側からSDGsの取り組み目標を事業として取り込む根拠を示してもらい、社員の理解を得ることが重要だ。そのため、部門や社員個人が目標に対し果たす役割を明示し、全社的に達成度を審査する機会を設け、報酬体系に組み込むなど企業風土や制度づくりを行う必要もあるだろう。会社全体で目標に取り組み、経営に統合していくことが重要となる。

<ステップ4の行動例>
・社員向けに啓発・研修を実施する
・部門横断のプロジェクトチームを作り、戦略を策定し実施する

<ステップ5>報告とコミュニケーションを行う
SDGsの取り組みは、特に大企業や多国籍企業に対し、取り組みの実施と定期報告が求められている。上場企業の場合は「統合報告書」を作成し、SDGsに関する目標や実績を開示する企業が多い。また、統合報告書の他にも「SDGsレポート」や「CSRレポート」、「サステナビリティレポート」などで取り組みの報告を行う企業も多い。これらのレポートは、組織発展の促進、達成度向上、ステークホルダーとの協働促進などを呼び込む効果があるとされ、戦略的ツールとして活用されているケースもある。

<ステップ5の行動例>
・SDGsへの取り組みを報告する方法と時期および頻度を決める
・報告に向けたスケジュールを組み、担当部門や担当者を決め実行する

参考:『SDGs の企業行動指針』

オフィスでできるSDGsの取り組み4選

多くの企業でSDGsの取り組み方を模索し、さまざまな施策が取り入れられている。ここでは、どのオフィスでも取り入れることが可能な全般的な取り組みを4つ紹介する。

「環境」に対する意識を向上させる
オフィスで最も取り組みたいのは、目標13の「気候変動に具体的な対策を」に紐づけられる「環境」に対する取り組みだ。例えば、リサイクル材で作られた文房具類や製品を使用することや、ペーパーレス化による紙の使用量削減などで地球温暖化を防ぐための環境への意識を向上させられるだろう。

働き方を見直す
働き方の見直しは、目標8の「働きがいも経済成長も」に関連する取り組みだ。新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが普及する今、以前より増して「働き方」の見直しが求められている。テレワークなどの多様な働き方を取り入れることで、通勤で使用されるエネルギー消費削減に取り組むことも可能だ。また、多様な働き方を推進している姿勢をアピールすれば、優秀な人材確保にもつながるだろう。

平等に働ける環境を整備する
目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」を実現する取り組みとして、女性が能力を発揮でき、平等なチャンスが得られる組織作りが効果的だ。フレックスタイム制や時短勤務枠の拡大など、個人のライフステージの変化に柔軟に対応できる働き方を推進するなどして、男女を問わず働きやすい職場環境を構築するべく、具体的な施策を取り入れられるとよいだろう。

地域に貢献する施策を取り入れる
目標11の「住み続けられるまちづくりを」に紐づけられる、地域活動への参加なども有効だ。具体的には、事業ゴミの削減や地域行事への参加など、地域に配慮した取り組みを行うことで、地域の中での企業イメージを向上させられるといった効果も期待できる。また、地域からの信頼を得ることで、社員のモチベーション向上やモラルの向上にもつながるだろう。

社員に勧めたい手軽にできるSDGsへの取り組み例

最後に、自社の社員に推奨したい個人レベルで行えるSDGsの取り組みを紹介する。

マイボトル・マイカップの使用を推奨する
マイボトルやマイカップの使用を推奨することで、プラスチックの消費を抑制することが可能だ。休憩時にコーヒーやお茶などを自動販売機で購入したり、ウォーターサーバーから水を注ぐプラスチックカップを使用したりする人もいるだろう。社員へマイボトルやマイカップの持参を推奨し、ペットボトルや缶、使い捨て容器の削減に取り組み、毎日の生活の中で「省資源化」への意識を向上させよう。社員に手軽に推奨できる取り組みのひとつで、取り掛かりやすい取り組みと言えるだろう。

社内のゴミ分別を見直す
身近なゴミの分別を意識してもらうことで、社員の「環境」への意識向上を促すことも可能だ。社内のゴミ分別ルールを自治体に沿った分別ルールに合わせるよう啓蒙を行いたい。分別が不十分な場合は、分別するゴミのイラストを掲示するなどし、正しくゴミの処分を行ってもらおう。この際、誰が見ても分かりやすくルールを伝えられるよう、分別ゴミごとのイラストを掲示するなどの工夫をするのがよいだろう。

ペーパーレス化を推進する
業務で発生する紙の削減も推奨できる取り組みだ。取引先との契約書や請求書など、紙でのやりとりが多い会社も多いだろう。しかし、これらはシステムなどを活用することでペーパーレス化し、データをクラウド上で保管することもできる。紙やインクを使用しないことで環境に配慮できるほか、保管場所が必要なくなるというメリットもある。

関連記事:『ペーパーレス化の必要性とは?メリットや導入方法・2022年度の法改正についてもわかりやすく解説 - オフィスのミカタ』

まとめ

オフィスでのSDGsの取り組みは、経営戦略から手軽に取り組めるものまでさまざまなものがある。SDGsは難しく考える必要はなく、まずはオフィスでの省エネやペーパーレス化などから取り組めることもできる。小さな活動から少しずつ広げていき、企業として環境や人権問題について取り組める施策を検討してみてはいかがだろうか。