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健康経営とは?推進の背景やメリット、導入方法を解説

2022.09.06
オフィスのミカタ編集部

従業員等への健康投資を行い、企業の利益に繋げる「健康経営」。少子高齢化による「労働力不足」や政府が主導する「働き方改革」の推進に伴い、注目されている取り組みだ。健康経営の概要を知り、導入の参考にしたいと考える担当者もいるのではないだろうか。今回は、健康経営の推進背景やメリットのほか、知っておきたい導入のステップなどを解説する。

目次

●健康経営とは
●健康経営が推進されている背景
●健康経営のメリット
●健康経営を導入する際の4つのステップ
●まとめ

健康経営とは

経済産業省の資料によると、健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で捉え戦略的に実践することと定義されている。従業員の健康に配慮することで経営面において大きな成果が期待できるため、昨今、企業で注目されている取り組みだ。健康経営では、従業員の健康管理にかかる費用はコストではなく、将来への投資であると捉えられている。

参考:経済産業省『健康経営』

健康経営が推進されている背景

健康経営が推進されている背景には、主に日本が抱える「少子高齢化」の課題と、国が推進する「働き方改革」が関係している。それぞれ具体的に見ていこう。

少子高齢化による労働人口の減少
少子高齢化により、企業経営に及ぼす影響は以下の通り。

・深刻な人材不足
・医療費の増加による社会保険料負担の増加

少子高齢化により、労働人口が減少し、企業は深刻な人手不足に陥っている。また、病気や心身の不調を抱える従業員が増えることは医療費の増加・健康保険料の引き上げに繋がり、企業の社会保険料負担が増加していることも企業の課題だ。こうした日本の構造的な課題を背景に、従業員に長く健康で働いてもらう環境づくりが、企業活動の継続に不可欠と考える経営者が増えている。

働き方改革の推進
健康経営は、国を挙げて取り組んでいる施策でもある。例えば、日本再興戦略・未来投資戦略の一環として、東京証券取引所と共同で戦略的に健康経営に取り組む上場企業を選定・公表する「健康経営銘柄」がある。それ以外の取り組みとして、上場企業に限らず特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する「健康経営優良法人認定制度」などもあり、企業が社会的評価を受けられる環境を整備していることも、健康経営の推進に繋がっている。

参考:経済産業省『健康経営銘柄』
参考:経済産業省『健康経営優良法人認定制度』

健康経営のメリット

健康経営は企業にとってどのようなメリットがあるかを、具体的に見ていこう。

生産性の向上
従業員が心身ともに健康な状態で業務を行えれば、業務パフォーマンスが上がり、企業の生産性向上が期待できる。従業員が仕事に対して前向きに取り組めるようになることで集中力の向上といった効果もあり、その結果、正確で効率のよい仕事が望めるようになるだろう。

リスクマネジメント
健康経営は、企業のリスクマネジメントとしても有効だ。健康に不安のある状態で勤務し続けると、重大な病気にかかったり、事故を引き起したりするというリスクがある。それにより、従業員が病気や怪我で一定期間入院しなければならなくなった場合には、代わりの人材を確保する必要も生じるだろう。

健康経営を導入すれば、従業員の「欠勤」や「長期的な休業」などのリスクを減らすことができるほか、「体調不良による仕事中のミス」を減らすことにも繋がる。

企業イメージの向上
健康経営を行えば、企業イメージの向上に繋がることもメリットだ。先述したように、社会的評価を受けられる環境を整備し、「健康経営優良法人」として認定されれば、従業員が安心して働けるだけでなく、求職者からの評価も高くなる。金融機関や取引先からも評価されるなど、社会的な信用を得られるだろう。

健康経営を導入する際の4つのステップ

ここからは、健康経営を導入する際のステップについて詳しく解説する。

【ステップ1】健康経営の取り組み方針や重要性について告知する
最初のステップは、会社のトップが社内外に対し、健康経営の取り組み方針や重要性について告知することだ。社内広報やプレスリリースを通じて、社内外に告知するとよいだろう。会社のトップが健康経営に本気で取り組む姿勢が伝われば、健康経営の推進が期待できる。

【ステップ2】組織の体制づくりを行う
次に、健康経営を導入するための組織体制づくりを行おう。健康経営に取り組むには、責任者や担当者を設置したり、産業医や医療保険者などと連携したりする必要がある。外部研修などで健康経営について知識を深めなながら、実行力ある組織体制を構築することが大切だ。

【ステップ3】課題を把握する
次のステップとして、課題を把握するために、「健康診断」や「ストレスチェックテスト」の受診率や結果を活用しよう。

有給休暇の消化率や残業時間など労働環境に関するデータも役に立つ。これらのデータ結果から従業員の健康状態を把握し、課題に対して対策を検討しよう。

【ステップ4】計画を実行し評価する
課題に対して対策を検討したら、実際に計画を立てて実行に移そう。例えば、以下のような取り組みを行うことができる。

・ノー残業デーの設定
・ラジオ体操の実施
・保健師による健康指導
・社員食堂メニューへの栄養素・カロリーの表示
・スポーツクラブの利用補助

実行する際は、従業員が気軽に実行できるものから進めるのがおすすめだ。さらに、「どの程度計画を実行に移せたのか」「実行した結果はどうだったのか」など、取り組みに対して検証・評価し、次の計画を立てる際の参考にすることも重要となる。

まとめ

健康経営の導入には、企業にとって、「生産性向上」や「リスクマネジメント」、「企業イメージ向上」といったメリットがある。国を挙げて取り組んでいる施策でもあるため、従業員の心身の健康が向上するような取り組みを、検討してみるとよいだろう。今回紹介した導入時のステップなども参考に、企業の経営体制構築を進めてみてはいかがだろうか。