オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

融資とは?ローンや出資との違いやメリット、融資の注意点を紹介!

2022.09.22
オフィスのミカタ編集部

融資とは、企業の資金調達に際して行う借入方法の一種だ。資金調達にはさまざまな方法があるため、それぞれの種類や特徴を理解しておく必要がある。本記事では、融資の概要や種類などを解説するので、資金調達方法を検討する際の参考にしてほしい。

目次

●融資とは
●「借金・ローン」および「出資・投資」との違い
●融資のメリット・デメリット
●融資には「公的融資」と「民間融資」の2種類がある
●融資の形態
●融資を受ける際の流れ
●まとめ

融資とは

企業における「融資」とは、資金調達方法の一つで、金融機関から事業に必要な資金を借入れることだ。新事業の開始時や事業拡大の際には、まとまった資金が必要になるが、事業から得られる収益を待っていては十分な資金繰りが行えないことも多い。融資を受けることで事業の開始前に資金を調達できれば、事業収益を待たずにスムーズに事業を開始できるだろう。

「借金・ローン」および「出資・投資」との違い

融資と似た言葉に「借金」や「ローン」「出資」「投資」がある。これらはいずれも資金援助を意味し、融資と混同しがちな面があるが、融資とは異なる意味合いを持つため注意しておきたい。ここでは、種類別に融資との違いを見ていこう。

「借金・ローン」との違い
「借金・ローン」との違いは、借り入れるお金の性質にある。「借金・ローン」とは一般的に、「消費」を意味し、生活費・住宅・車などの購入資金としてお金を借りることを示している。一方で、「融資」は、事業で利益を生むために借りるお金であり、消費目的とは異なる性質を持つ。「融資」は事業を目的とした借入れを指すことが「借金・ローン」とは異なることを覚えておきたい。

「出資・投資」との違い
「出資・投資」とは、返済義務があるかどうかが異なる。融資は、受けた側に返済義務が生じるが、出資・投資には返済の必要がない。また、出資・投資を行う側は、事業や企業の経営が成功した際に配当金を受け取る権利がある上に、株主総会において経営に参加する権利を持つことも特徴だ。場合によっては、株式を売却するなどし、出資・投資をした側が利益を得ることもある。

融資のメリット・デメリット

融資を受けるメリット・デメリットを押さえておこう。

融資のメリット
1.多額の資金の借入が可能
融資の最大のメリットは、融資元である銀行や信用金庫といった組織から、多くの資金を得られることだ。融資を受ける側は「資金を借りること」、融資をする側は「資金を貸して利息を得ること」が目的のため、効率的な資金調達方法としてメリットがある。

2.経営への第三者の介入がない
もう一つのメリットは、資金を借りた相手からの経営への介入がない点だ。投資・出資の場合には、株主として経営への関与があるが、融資では契約によって割り切った資金の貸し借りのみの関係となるため、融資元が経営に関与する権利を持たない。そのため、融資元への配慮等が不要な点もメリットとなる。

融資のデメリット
1.返済の義務がある
融資は返済負担が大きいというデメリットがある。投資・出資の場合は返済義務はなく、仮に事業が失敗した場合には、投資家や出資者に何も返せないこともある。しかし、融資の場合は、事業が失敗し最悪のケースとして倒産となってしまった場合にも返済義務が残る。さらに、資金の借入期間には利息の支払いも生じるため、その点を踏まえて資金計画を立てることが重要だ。

2.審査が厳しい
融資を受ける側は厳しい審査を通らなければならない。金融機関は貸し倒れのリスクを回避するため、資金回収リスクの有無について審査を行う。審査の結果によっては、十分な資金を得られなかったり、最悪の場合資金調達自体が行えなかったりする可能性もある。そのため、金融機関の審査基準を確認するなど、融資を受けられるかをしっかり確認する必要がある。

融資には「公的融資」と「民間融資」の2種類がある

融資は「公的融資」と「民間融資」の2つに大別される。ここではそれぞれの特徴を解説する。

公的融資の種類
公的融資は、以下の2種類が挙げられる。

・日本政策金融公庫
国が100%出資している金融機関で、低金利かつ中小企業やスタートアップが利用しやすい制度を整えている。そのため、設立したばかりの企業など、信用度に不安があるケースでも活用が期待できる。さらに、基本的には無担保・無保証人で利用ができ、返済額の減額交渉も可能だ。ただし、日本政策金融公庫からの融資を受ける際には、審査に時間がかかる点や、融資額に応じ自己資金も必要となること、民間金融機関からの借り換えには対応していないことなど注意点もある。

・制度融資
制度融資とは、地方自治体と民間金融機関、信用保証協会とが連携して行う融資の制度だ。融資を実行するのは民間金融機関だが、窓口は地方自治体となっており、低金利・無担保での融資を受けられるという特徴がある。中小企業やスタートアップ企業などは、企業の成長性を加味した審査が期待できることがメリットだ。ただし、制度融資には上限金額が設定されているため、大規模な資金調達には向かない側面もある。加えて、自治体ごとに要件や内容が異なり、自社に合う制度を探すのに時間を要するケースが多いため注意が必要だ。

民間融資
代表的な民間融資の種類は下記の3つがある。

・信用保証付融資
信用保証付融資は、信用保証協会が保証人となる融資だ。公的機関が保証してくれることで、融資を受けやすくなるメリットがある。一方で、信用保証協会との面談や、保証料の支払いが必要となる。

・プロパー融資
金融機関が直接融資を行う方法を「プロパー融資」と言う。プロパー融資では信用保証協会へ保証料を支払う必要がなく、限度額も決められていない。また、返済期間も信用保証付融資より短く済むメリットがある。ただし、公的保証がなく、金融機関が返済リスクを負うこととなるため、審査が厳しいのが特徴だ。事業の実績や資金が少ないスタートアップなどは、融資を受けにくい傾向があることを覚えておきたい。

・ビジネスローン
ビジネスローンは、消費者金融や信販会社およびクレジットカード会社などが行う法人・個人事業主向けの融資を指す。審査スピードが速いことや、商品によってはオンラインや郵送での申込も可能な点で、早く資金調達をしたい場合に適しているだろう。ただし、他の融資と比べ金利が高めであることや、借入限度額が少額になる場合もあるため、融資条件などをしっかりと確認する必要がある。

関連記事:『法人クレジットカードおすすめ5選を紹介!活用方法やメリットを解説』

融資の形態

ここでは、金融機関から融資を受ける際に覚えておきたい4つの形態を紹介する。

証書貸付
証書貸付とは、「金銭消費貸借契約書」という借入契約に基づき、融資を受ける方法だ。金融消費貸借契約書には、契約日・借入額・利率・遅延の賠償金・返済方法・返済期間などの融資情報が記載されている。契約書に融資を受ける人(企業の場合は法人の代表者)・連帯保証人の署名・捺印後、金融機関に提出し融資を申し込む。

証書貸付は、長期の融資(返済期間が1年以上)に用いられることが一般的で、金融機関が取り扱う融資制度や商品ごとに証書貸付が設けられていることが多い。ただし、返済期間が長期であることから、金融機関側にとっては高リスクな融資となるため、審査が厳しい傾向がある。

当座貸越
当座借越とは、設定された限度額の範囲内であれば、借入・返済を自由に行えることが特徴の融資方法だ。通常の融資では、金融機関から融資を受ける度に審査が必要だが、当座貸越の場合は限度額までの範囲内であれば自由に借入れできるため、スピーディーな資金調達が可能となる。ただし、金融機関側としては高リスクな融資という位置づけとなるため、融資審査は非常に厳しく、高い信用が必要とされている。

手形貸付
手形貸付は、金銭消費貸借契約書の変わりに「約束手形」を振り出し、融資を受ける方法だ。そもそも「約束手形」とは、期日までに所定の金額を支払うことを約束する、有価証券の一種だ。一般的に手形貸付は、短期の借入を目的としてることが多く、融資が受けやすいことが特徴だ。ただし、返済が遅れるなど、不渡りを出してしまうと信用低下に繋がるリスクがあるため、返済期日を厳守することが重要だ。

手形割引
手形割引は、取引先から受け取った手形を金融機関に買い取ってもらうという融資方法だ。簡単に言うと、これから回収予定の売上などを担保に、金融機関から融資を受けることを指す。手形貸付と同様に、融資を受けやすい傾向があるが、手形を発行している取引先の業績の影響を受けるため、場合によっては融資が受けられない可能性もある。

融資を受ける際の流れ

ここでは、融資を受ける際の流れをステップごとに見ていこう。

<ステップ1>金融機関を選ぶ
まずは融資を受ける金融機関の選定から取り掛かろう。融資は、商品ごとに、審査の厳しさ・金利・融資の上限金額などが異なる。そのため、自社にとって有利な資金調達ができるかや、返済しやすいかどうかなどを基準に選定するのが望ましい。例えば、設立間もない企業であれば、柔軟な審査や低金利が特徴の公的融資が向いているだろう。反対に、事業が発展しており、さらなる事業拡大を目指す場合には、審査は厳しくても上限額の大きい民間融資が向いているといえる。自社の現況や求める条件に合わせ見極めを行うことが重要だ。

<ステップ2>審査に必要な書類を揃える
融資審査では、決算書をはじめとし、多くの書類を提出しなければならない。代表的な必要書類は下記にまとめたので、参考にしてほしい。

・会社の登記簿謄本(又は「履歴事項全部証明書」、「現在事項全部証明書」)
・印鑑証明書
・定款の写し
・決算書類一式
・試算表
・資金使途資料
・商取引の履歴を証明する書類
・借入申込書
・納税証明書

これらの書類を滞りなく、正確に記載し提出することから審査は始まっていると考えよう。不足や不備のない書類作成がポイントとなるため、慎重に記載・準備を行うことが重要だ。

<ステップ3>融資担当に相談する
必要書類が準備できたら、金融機関の融資担当者に相談を行う。融資担当者に相談すれば、準備や適切な商品などのアドバイスを受けられる。良いアドバイスをもらうためには、担当者との信頼関係の構築も重要になる。偽りなく誠実な印象を与えておくことが望ましい。

<ステップ4>審査を申し込む
担当者への相談を経て、商品などが決まったら、審査を申し込む。審査に際しては、「健全な経営」を行っていること、「成長性」が期待できることをアピールできるかがカギとなる。融資元が不安なく融資できるよう、誠実な態度で審査に望むことが大切だ。

まとめ 

融資は企業の持続的成長のために有効活用したい資金調達方法だ。しかし、融資にはいくつもの種類があるため、融資を受ける際には自社に向いている商品を、それぞれの特徴を理解した上でしっかりと見極めることがポイントとなる。本記事を参考に、融資の種類や注意したいことなどへの理解を深め、自社にあった条件の融資を選択してほしい。