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経理と財務の違いを主な業務内容や企業経営での重要性を通して解説。業務効率化を推進するシステムも紹介

2022.11.03
オフィスのミカタ編集部

中小企業において経理と財務を兼任しているケースが多いことから、業務内容を混同しがちな経理と財務。管理対象が「お金」という共通点を持つが、その業務内容はまったく異なる。今回はそんな経理と財務の違い、具体的な業務内容について解説しつつ、それぞれの業務を効率化するシステムの紹介までをお届けする。

経理と財務の違いは管理対象のお金

まずは経理と財務の違いについて、それぞれの特徴を踏まえて説明する。

使ったお金を管理する経理とこれから使うお金を見極める財務
経理も財務も、どちらもお金を管理する業務だが、その対象がまったく異なる。経理では会社に入出金したお金を記録・管理するのに対し、財務はこれから使うお金を予測し、管理する。財務業務の際に経理が作成した資料を使うため、業務が混同されることがある。

中小企業では経理と財務を兼任しているケースも
中小企業においてはバックオフィス業務に割ける人材が限られているため、経理と財務を兼任しているケースも多く、さらには1人で両業務を担当していることも少なくない。

企業の運営に欠かせない経理業務の目的と具体的な業務内容

経理業務について、具体的な業務内容を見ていこう。

事業における売上や経費などお金の流れで経営状況を可視化
事業を行う上で必要な売上や経費などのお金の流れをすべて記録・管理し、経営状況を可視化することが経理業務の目的だ。取締役会などが会社の経営判断をすばやく行うために必要かつ重要な業務となる。

会社経営に不可欠な経理担当者の具体的な業務内容
企業規模によって業務内容は多少異なるが、多くの経理担当者が担っている具体的な業務および内容は以下の通りとなる。

・貸借対照表の作成
「資産」「負債」「純資産」の3つの部で構成され、それぞれの状態を表して会社の財務状況を把握するために役立つ表の作成。財務三表と呼ばれる重要書類で、期末決算時期に提出する義務がある。

・損益計算表の作成
決算期の会社の利益と支出を示す表の作成も経理の担当業務。「収益」「費用」「利益」の3つで構成され、業績の良し悪しを判断する材料となる。貸借対照表と同じく財務三表の一つで、期末決算時期の必要書類だ。

・経費管理
従業員が立て替えた経費を精算したり、仮払いをしたりする。

・売上管理
事業活動によって得た売上や売掛金の記録・管理をする。

・仕入管理
事業にかかる仕入れや買掛金が発生した際に書類の管理や支払い業務を行う。

・現金管理
毎日の入出金を現金出納帳に記録し、実際の現金残高と帳簿の残高が同じになっているか確認する。

・税金管理
法人税や所得税などの計算、納付も経理の業務。税率の改定に対応し、支払い期限までに納付するように配慮が必要だ。

・決算報告 など
経理業務の中で、一年でもっとも忙しく業務量が多いのが年次決算報告書の作成。貸借対照表と損益計算表も決算報告書作成の一部となる。年次決算は実施が義務付けられている業務だが、年次以外に任意で月次決算を行う会社もある。

経理業務に関する詳しい仕事内容や必要スキルは以下の記事で紹介している。参考にしてほしい。
市場価値を高めるための経理の仕事内容とキャリア形成のための必要スキルを解説

企業の成長に欠かせない財務の目的と具体的な業務内容

会社の成長を支える資金を生み出す財務業務について紹介する。

資金の動きを社内外で調整し事業の拡大・発展のための資本体力を作る
企業の成長を見据え、予算管理や資金調達を行うのが財務の主な目的。銀行融資や株式発行などその都度、最善の方法を判断しながら資金調達を行う。余剰資金を、投資など適切に資産運用し、さらなる利益を生むことで、事業拡大するための資本体力をつけることも重要だ。

事業展開に不可欠な財務担当者が担う具体的な業務内容
分析力と先を読む先見性を問われる財務業務の具体的な内容は以下のとおりだ。

・経営会議への参加
財務の大切な業務の一つが「財務戦略の立案」。経営目標に対して必要な資金を調達する方法などを経営会議に参加して提案する。

・顧問税理士との打ち合わせ
過去の実績を基に今後の売上予算・利益予算を設定し財務計画を立てるが、整合性を高めたり会社としての方向性を確認したりするために顧問税理士と打ち合わせを行う。

・資金調達
財務戦略によって提案した調達方法によって実際に資金調達するのも財務の仕事。銀行からの借入や株式・社債の発行などがその方法として取られるが、そのためには社会的信用を獲得しておく必要がある。いざというときのために、日頃から銀行や投資家と良好な関係を築くのも肝要だ。

・資金運用
余剰資金の運用も財務業務の範囲。投資やM&Aなど、最善の方法をシミュレーションしながら利益の創出を図る。

・予算管理 など
各部署に割り振られた予算の管理も財務が行うべき仕事。資金不足は事業拡大のチャンスを逃し、会社の信用問題に関わる。こうした問題が起きないよう資金不足の部署のフォローや適切な使用状況にあるのかチェックを行う。

経理で過去のお金を整理し財務で資本を作りWebサービスでバックオフィスのDX

経理にも財務にもいえることだが、最近は業務を効率的に行うためにDXが進み、多くの企業でWebサービスの導入が進んでいる。バックオフィス業務を網羅的に管理するERPやSaaSの導入で単純作業を比較的低予算で自動化し、人的資源を有効活用できるのが魅力だ。無料で利用できるサービスもあり、導入障壁も低いのが特徴。以下では経理・財務それぞれにおすすめしたいサービスを紹介するので、ぜひ導入を検討する際の参考にしてほしい。

出納データの入力や試算表の作成も自動化する会計管理サービス

経理業務を効率化し、担当者の負担を軽減するサービスを紹介する。

マネーフォワード クラウド会計
個人事業主から中小規模企業、大企業まで、規模を問わずバックオフィス業務の効率化を推進するマネーフォワードのクラウド会計は、取引データの自動入力・自動仕訳をAIが学習し、使えば使うほど精度が向上して業務が効率化するのが特徴。決算書も自動作成され、経営状況をリアルタイムに把握することが可能だ。
https://biz.moneyforward.com/

会計ソフトfreee
バックオフィス業務の内容や目的別にさまざまなシステムを提供している「freee」の会計ソフトは、個人向け、IPO準備企業、中堅企業、中堅から大企業、上場企業向けとそれぞれの状況に合わせてきめ細やかなサービスを提供している。経理業務の経験がなくても操作可能なユーザビリティの高さも魅力のひとつだ。
https://www.freee.co.jp/

弥生会計 オンライン
「経理をもっとかんたんに」を掲げて展開している「弥生会計オンライン」は、簿記の知識0でも簡単に使える操作性が魅力のシステム。起業から2年以内の人は2年間、2年を超える人は1年間無料ですべての機能が使えるサービスを展開している。
https://www.yayoi-kk.co.jp/products/account-ol/index.html

財務情報の分析から戦略判断を支援する財務管理サービス

財務情報の分析までを担い、業務担当者が戦略の立案に注力できるよう支援する財務管理サービスを紹介する。

NetSuite/財務管理ソリューション
会計業務をサポートするために提供されている「NetSuite/財務管理ソリューション」。請求管理、収益管理、予算管理、財務報告まで網羅的に経理・財務担当者をサポートし、業務の合理化を促す。グローバル展開する企業にも強く、多通貨管理・多言語対応も強みだ。
https://www.netsuite.co.jp/products/erp/financial-management.shtml

DivaSystem FBX(ディーヴァシステムFBX)
国内大手企業での採用が多い「DivaSystem FBX」は、グループ会計や連結会計に強みを持つシステム。関連組織からの報告を収集し一元管理する機能に優れ、集計・履歴管理、進捗管理、権限管理などが充実している。
https://www.diva.co.jp/product/fbx/

IPKNOWLEDGE 財務情報
予算の編成・執行、決算統計業務のほか、契約管理、行政経営支援・分析、など財務業務をトータルでサポートする「IPKNOWLEDGE 財務情報」。精度の高い資金計画で効率的な資産運用ができるほか、地方公会計制度に対応しているため、地方自治体の利用が多い。
https://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/public-sector/local-government/solutions/ipknowledge/finance/

まとめ

経理と財務には明確な違いがあるとお分かりいただけただろうか。どちらも専門知識・経験を強みとして会社の発展へと貢献できるが、業務を支援するシステムを活用することでより効率的な業務遂行が可能となる。社内のDXを進め、さらなる会社の成長へと役立ててほしい。