オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

人事異動の効果的な決め方とは?メリット・デメリットや注意点も解説

2023.02.15
オフィスのミカタ編集部

人事異動は企業内の適材適所を進め、業務の改善や業績の向上を図る有効な手段だ。しかし、メリットだけでなくデメリットや注意したいことも存在する。本記事では人事異動の種類を含めて網羅的に解説する。

人事異動の概要とメリット・デメリット

人事異動とは企業の人事権により、従業員の配属先や勤務先を変更したりすることを指す。以下ではその種類や、人事異動を行うことによるメリット・デメリットを紹介する。

人事異動の種類
人事異動の種類は主に以下の通りだ。

・配置転換
同一企業内での業務内容の変化を伴う異動を指す。具体的には企画部から営業部への異動などだ。

・転勤
勤務地の異動を伴う人事異動を転勤という。業務内容も変わるケースが多く、職場環境が大きく変化する。

・出向
現在所属している企業にあるポジションはそのままに、他の企業(出向先)で業務を行う。出向前に出向期間が決められていることが多い。

・転籍
現在所属する企業との労働契約関係を終了させ、他企業との労働契約関係を成立させて新たな企業での業務にあたることを転籍という。一見転職と同じようだが、会社指示による異動の場合、転籍となる。

・退職
自己都合や会社都合、または定年による退職も人事異動の一つだ。

・昇進や降格
課長から部長になるなど、地位の異動である昇進、逆に地位が下がる降格も人事異動に該当する。

業務効率アップや業績拡大に寄与する人事異動
人事異動をすることのメリットの一つが、適材適所の人材配置をすることで業務効率をアップできることだ。さらに、業務効率アップにより長期的には業績向上も期待できるだろう。

適正でない人事異動は、離職者が出る危険性がある
デメリットとしては、異動により新しい業務や環境に慣れるまでは一時的に生産性が低下することだ。さらには、大幅な変化によりストレスを抱えた従業員が最悪の場合、離職してしまう可能性がある。人事異動をする際は人事異動の計画から辞令交付後に至るまで、該当する従業員をきめ細やかにフォローすることが求められる。

以下の記事では離職者を減らすために取り組みたい離職防止策について紹介している。離職者に悩む企業担当者にぜひ一読してほしい。
企業成長に欠かせない離職防止対策。離職防止ツール利用のメリットやおすすめのサービスを解説

人事異動を進める手順

人事異動の流れについて、時系列に沿って解説する。

1.人事異動の目的や理由の明確化
まずはなぜ人事異動をするのかを明らかにする必要がある。やみくもに人事異動を行なってもメリットを生かせず、デメリットの面が強くなってしまうからだ。

・新たな商品開発に注力したい
・業務効率を上げたい

など、事業計画を具体化する上で人事異動が必要など、しっかりと人事異動の目的・理由を明確化しておきたい。

2.候補者をリストアップ
新たな組織を編成するために必要な候補者を複数人リストアップする。職務に適した人材選びには能力だけでなく、他の職務従事者との相性など多角的に評価する必要があるため、さまざまな人の意見を聞くようにしてほしい。

3.候補者に内示を出して同意を得る
内示とは、人事異動に際して事前に本人や一部の関係者にその内容を伝えること。候補者に対して内示を出して、同意を得る必要がある。その際に、なぜ選ばれたのか、この人事異動の目的、期待していることなどを伝え、納得を得られるようにしておきたい。

4.辞令を交付する
人事異動の辞令を全社員に対して交付する。その際、できる限り人事異動の目的や理由も一緒に公表したい。それにより、人事異動対象者以外の人にも辞令の意味を理解してもらうことができる。

人事異動の決め方は大きく分けて2種類

人事異動の決め方は大きく分けて2種類ある。それぞれのタイプを見ていこう。

ジェネラリストの育成をする企業に採用される中央集権型
決められた時期に人事異動を行う中央集権型は、金融関連企業や官公庁で採用されている方法だ。定期的なジョブローテーションによってジェネラリストを育成するために取り入れることが多い。

スペシャリストの育成にぴったりな現場主導型
部署ごとに必要なタイミングで行われるのが現場主導型。従業員個々のスキルや能力に合わせながら人事異動を行うため候補者の納得感が高く、スペシャリストの育成にも最適だ。

従業員の希望を反映させる企業も増えている
人事異動には従業員の希望を反映させるという決まりはないが、中央集権型の決め方は一方的で不満を抱きやすい。現場主導型のように個々のスキルや能力を考えながら候補者を選定することで本人の希望も反映させやすくなり、モチベーションを高めることも可能だ。

人事異動を成功させる鍵

効果的な人事異動をするために心がけるべきポイントを紹介する。

人材データを蓄積・把握して適材適所の人事異動を行う
適材適所の人材配置をするためには、従業員の情報が欠かせない。自社にいる人材の業績や評価、保有資格などの情報を集約し蓄積、把握しておくことで人事異動の際に迅速な判断が可能となる。

ジョブローテーションでキャリアの幅を広げるきっかけを作る
従業員にさまざまな経験を積んでもらい、業務経験やスキルアップを促すジョブローテーションは人事異動の制度の一つだが、さまざまな職種を経験することで意外な才能や適性を見いだせる可能性がある。また、従業員にとってもキャリアの幅を広げる良いキッカケになるだろう。

本人の意思も可能な限り反映してモチベーションアップを狙う
従来から行われている中央集権型は、転職が当たり前になった世の中ではあまりそぐわない方法になりつつある。本人が望まない人事異動は離職につながる可能性が高いからだ。自己申告制度などを取り入れて本人の希望をできる限り反映させることで、会社側・従業員側どちらにとっても有益となる人事異動を行えるようにしてほしい。

人事異動を進める上での注意点

人事異動を行う際には性別による差別や不当な理由による出向などは認められない。他にもいくつか注意すべき点を紹介する。

従業員に配慮すべき事情がないか事前に確認しておく
育児中の従業員や介護を担っている人に対して、人事異動によって育児や介護が難しくなるようなことがないように、事前に配慮すべき事情を把握しておくよう心がけたい。

異動の目的を伝え、納得感が得られる異動を実現する
ここまで伝えてきた通り、人事異動をする上でもっと重要なのが候補者の納得感だ。異動の目的や期待していることをしっかりと伝え、候補者に納得して異動してもらえるように心がけてほしい。

まとめ

人事異動は企業成長に欠かせない業務だが、候補者となる従業員にとっては負担が大きい。できる限り納得してもらいながら人事異動を進められるように、適材適所の配置と事前の準備をしてほしい。