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経理代行の費用相場とは?アウトソーシングできる内容と依頼時のポイント

2023.02.13
オフィスのミカタ編集部

経理代行の利用を検討する場合、その費用相場は確認したいポイントの一つだ。経理代行もさまざまな種類があるため、経理のどの業務を依頼するのか、どこに依頼するかによっても費用が変わってくる。今回は、経理代行に依頼できる内容と費用相場、業者を選定する際のポイントを紹介する。

目次

●経理代行で頼めるサービス内容
●経理代行の費用相場
●経理代行を利用するメリットとデメリット
●経理代行を選定する際のポイント
●まとめ

経理代行で頼めるサービス内容

自社の経理業務の一部または全部を、外部委託する経理代行。経理代行専門やアウトソーシングの業者、会計事務所、税理士事務所などに依頼するのが一般的だ。頼めるサービス内容は依頼先によって違いがあるものの、主なサービスは以下の通りだ。

記帳業務
自社で会計アプリ等を使用していても、データの分類と入力だけで多くの時間が取られる記帳業務を、外部に依頼することができる。取引が多く月の仕分け業務も多い場合は、記帳業務を外部委託すれば、経理担当者の負担軽減や人件費削減につながる。その結果、業務全体のコストを削減させるメリットも期待できる。尚、税理士が帳簿の記帳を代行しても税理士法違反とはならないため、税理士に依頼しても問題はない。

(参考:国税庁『税理士の使命等(税理士法違反行為Q&A)』

給与計算
従業員に支払う毎月の給与の計算や、銀行の手続きなど給与に関する業務を依頼できる。給与計算は、従業員ごとの勤務時間や出勤日数、時間外労働や手当など、細かな計算が必要な業務だ。ミスが許されないプレッシャーと、最低賃金の変更など最新の法改正に対応する必要もあり、神経をすり減らしている担当者も多いだろう。

企業によっては、「従業員に給与額を知られたくない」という理由で、経営者自ら給与計算を行っていることもある。煩雑な給与計算を外部に依頼することによって、経理担当や経営者は、本業に時間を使うことができるようになる。

決算書作成と税金の申告
決算仕訳の入力や、決算書作成や法人税の申告を外部に依頼することも可能だ。決算書の作成や決算申告は専門知識が必要で、社会的責任も伴うため担当者の負担が大きい。専門知識のあるプロに依頼することで正確な処理が可能となり、決算期の経理担当者の負担軽減につながる。ただし、税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士の独占業務である。決算申告や年末調整のような税務も依頼するのであれば、経理代行サービスも行っている税理士か、税理士と提携している業者を選ぶ必要がある。

(参考:国税庁『非税理士により行うことが禁止される税理士業務』

経理代行の費用相場

経理代行を依頼するにあたって、まず費用相場を知りたい人も多いだろう。経理代行の費用は、依頼する業務によって異なる。ここでは、業務ごとの費用の相場を解説する。

記帳代行の費用相場
記帳代行の費用は、1仕訳あたりの単価で設定されているケースが多い。1仕訳あたり50円〜100円ほどが相場となっているため、月の仕訳数が100件までなら費用は月1万円程度で、大きな企業では数万円になることが多い。自社の一カ月の仕訳数はどのぐらいかを調べて、試算してみるとよいだろう。

なお、税理士に記帳代行を依頼する場合は、顧問契約を結んで行うのが一般的だ。その場合は月額の顧問料に記帳代行費用が含まれていることが多く、法人で月4万円程度、個人事業主でも月3万円程度が相場だ。顧問契約によって、他の業務も依頼可能になる、定期的なアドバイスも受けることができるなどの魅力はあるが、記帳代行だけで考えると専門業者に依頼するよりは割高といえるだろう。

給与計算代行の費用相場
給与計算代行は、従業員規模によって費用が異なる。5人以下では従業員1人あたり1,000円〜2,000円程度である。ただし、給与計算代行に勤怠データの集計は含まれていないことがある。そのため、給与代行を利用するには自社で勤怠のデータを予めまとめておく必要があるのか、確認が必要だ。代行業者によっては基本料金が必要な場合や、給与明細の発行など計算以外の業務はオプションになっていることがある。いくつかの業者に見積もりを請求して、比較検討した方がいいだろう。

決算書作成代行の料金相場
決算代行を依頼する際の料金は、企業の事業規模にもよるが、料金相場も5万円〜20万円と幅広い。決算書の作成だけなのか、納税額の計算(決算申告)まで依頼するのか、依頼する範囲によっても料金が変わる。決算書作成を会計事務所や税理士事務所に依頼する場合は、15万円~25万円が相場だ。ただし税理士によっては、顧問料に決算書作成も含まれている、記帳代行とセットで割引になるケースもあるので、自社の状況と合わせて検討するとよい。

経理代行を利用するメリットとデメリット

経理代行サービスの利用には、メリットもデメリットもある。自社にとってメリットとデメリットのどちらが大きいか、参考にしてほしい。

経理代行を利用するメリット
経理代行を利用するメリットは、以下の通りだ。

・経理担当者の負担を削減して、コア業務に注力できる。
・経理専任の従業員を雇用する必要がなくなり、人件費を削減できる。
・プロに依頼することで時短となり入力ミスも防げる。
・経理担当者の急な退職や病気など、何かあったときのリスクを回避できる。

経理代行のデメリット
経理代行を利用するデメリットは、以下のようなものがある。

・経理代行のコストがかかる。
・従業員の経理スキルが向上しない。
・処理にタイムラグが発生するため、リアルタイムで状況を知ることができない。
・決算申告は税理士へ別途依頼する必要がある。(※代行業者に税理士がいない場合)

代行サービスを利用すれば、よりコア業務に注力し、売上や生産性アップも期待できる。しかし、その一方で自社にノウハウが溜まりづらいなどのデメリットも生まれる。メリットとデメリットを比較した上で、自社にとってより適当な方を選びたい。

経理代行を選定する際のポイント

業者を選定する際は、どこまでの業務を依頼するかを念頭に、以下の点にも注目しよう。

費用対効果の高さ
自社で負担の大きい経理業務は何か、どの業務を依頼するかを見極める必要がある。経理代行に依頼するのと自社で行うのと、どちらが費用対効果が高いかが重要だ。代行業者によっては、依頼したい業務がオプション扱いで別料金ということもあるため、いくつかの業者から見積もりを取り寄せて比較するとよいだろう。決算申告の期限が近いなど書類の作成を急ぐ場合は、通常料金にプラスして特別料金が発生することがあるので、依頼するタイミングも考慮したい。

質の高い専門性
代行サービスの質の高さは、チェックすべき重要ポイントである。経理代行の業者は多く、いずれも専門性をアピールしているが、実際のサービス品質は利用前は不透明である部分も多い。会計士や税理士などの専門家がいるかどうかや導入実績などを調べて、依頼したい業務について正確な作業が期待できるところを探すことが重要だ。

また、長く付き合うことを考えると、一つひとつのやり取りがスムーズかや、業務に対する姿勢や対応時の誠実さなども確認しておきたい。

万全のセキュリティ対策
経理代行を利用するということは、自社の機密情報や個人情報を渡すということでもある。そのため、万全のセキュリティ対策を行っている業者を選ぶことが重要だ。機密保持契約を締結できるか、どのようなセキュリティ対策をとっているのか、機密情報をどのように取り扱うのかなど契約前によく確認して、安心して任せられる業者に依頼しよう。

まとめ

経理業務は日々の記帳や給与の計算、決算前後は決算書の作成や法人税申告など、煩雑かつ正確性を求められるものが多い。経理代行を利用することによって、経理業務の軽減や入力ミスの削減になり、担当者あるいは経営者がコア業務に注力することができるなどのメリットがある。経理業務の負担が大きいと感じている企業は、依頼したい経理業務の範囲を明確にして、自社と合う経理代行の利用を検討してはいかがだろうか。