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【2024年版】安否確認システムを比較 BCP策定にもお役立ち 目的に応じたおすすめシステムを紹介

2024.01.03
オフィスのミカタ編集部

安否確認システムは、災害発生時に従業員の安否確認を効率的に行い、事業継続性を保証するためのシステムである。東日本大震災後、多くの企業がBCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)に積極的に取り組んできた。とくに、南海トラフ地震や首都直下地震といった大地震発生の可能性が高まっているいま、迅速な対応体制の構築が急務となっている。本記事では、安否確認システムの比較を行い、企業の規模や目的に応じたおすすめのシステムを紹介していく。

事業継続性を担保するための安否確認システム

企業は安否確認システムを導入することで、災害時に従業員の安否確認を迅速かつ正確に行うことが可能になる。従来はマンパワーで行っていた安全確認を、システムの導入により効率的に行うことで、防災管理者の負担を軽減し、BCPの策定にも活用ができる。

災害や事故などの非常事態が発生した場合でも、適切な対応をすることが事業の継続につながるという意味で、安否確認システムを導入はどんな企業においても喫緊の課題と言える。

東日本大震災以降BCPに積極的に取り組む企業が増える
2011年に起きた東日本大震災は、日本の経済にも大打撃を与えた。震災後の2011年から2019年までの間の倒産企業数は2021件にも達した。特筆すべきは、直接地震の被害を受けた企業の倒産が11.5%であったのに対し、取引先や仕入れ先の被災による倒産が88.4%を占めることだ。つまり、BCPへの取り組みが不十分な企業は、被災地でなくても大きな影響を受けたということがわかるだろう。こういった経験から、BCPの策定に積極的に取り組む企業が増えている。

危機迫る中での事業の再開は従業員だけではなくその家族の安全も必要
東日本大震災の経験から、従業員本人だけでなく、その家族の安否確認も重要であることが明らかになった。従業員本人が無事でも、家族が被害を負っていれば出社や業務遂行は難しいからだ。しかし、全従業員の家族に対し、緊急時に家族の状況をメールや電話で一人ずつ確認をするのは現実的ではないだろう。
そこで注目されたのが、従業員同様に家族の連絡先を登録できる安否確認システムである。こういったシステムを活用することで、従業員の家族の安否も速やかに確認できるようになった。家族の安否が確認できれば、従業員も安心して業務を行えるだろう。

「未曾有の被害」と表現された、東日本大震災から12年が経過したが、それ以上の被害も予測されている南海トラフ地震や首都直下地震の発生確率が高まっている。とくに南海トラフ巨大地震は30年以内に70%から80%の確率で発生するといわれており、従業員とその家族の安全確認のための体制整備についても企業は真剣に取り組むべき時期にある。大規模な災害が起こった際に、迅速に業務を再開できるかどうかが企業の命運を決める。BCPを実施し、被災を最小限に抑えることは、企業存続において必要不可欠であると言っても過言ではない。

以下の記事では、震災対策サービスについて紹介してる。企業がとるべき対策の参考にしてほしい。

●内部リンク
オフィスのミカタ おすすめ 震災対策サービス 4選

形だけで何も守ることのできない計画にならないように

企業においてBCPの策定は、自然災害や緊急事態が発生した際に業務を継続し、経済損失を最小限に抑えるために重要なのは先述のとおりだ。しかし、単にBCPを策定しただけでは、何も守れないことも理解しておく必要がある。
形だけのBCPは、現場の状況が変化し、想定外の事態が発生した際には対応力を発揮できず、結果的に企業を守ることができないからだ。そのため、計画書を作成するだけでなく、現場の意見を取り入れ、適宜計画を見直し、運用を繰り返すことが求められる。

BCPを活用するには、前提として、全従業員がBCPについて理解し、実際に緊急時にどのような行動が求められるかを把握していることが重要である。また、定期的に訓練やシミュレーションを行い、計画の有効性や適用性を確認し、必要に応じて改善を行っていくべきである。
さらに、経営層から現場までの連携を強化し、情報共有や意思疎通を円滑に行う体制を整えることが不可欠である。これらの条件がそろって、いざという時に迅速かつ効果的な対応が可能となる。

また、BCPに柔軟性を持たせることも大切だ。なぜなら「未曾有の被害」が起こるような災害では、人間が予測するシミュレーションで対応できない場合があるからである。常に変化する状況に対応できる計画こそが、企業を守り、事業の継続性を確保するための鍵となるのである。

安否確認システム比較の選び方のポイント

あまたの安否確認システムが存在する中で、どのシステムが自社に適しているのかを見極めることが重要である。ここでは、安否確認システムを選ぶ際のポイントについて解説しよう。

司令塔にもなるデータセンターの分散化
災害発生時にも機能を維持できるデータセンターの分散は、安否確認システムの信頼性を高める重要な要素だ。たとえば、東日本と西日本、さらには海外にも拠点を持つデータセンターが分散されているシステムを選択することで、どのような状況下でも確実なサービス提供が期待できる。
「エマージェンシーコール」や「ALSOK安否確認サービス」は、国内の複数のデータセンターを利用しており、一つの地域が被災した場合でも、他の地域のデータセンターでサービスを継続的に提供できる仕組みになっている。

自動配信機能の有無
自動配信機能は、災害発生時に迅速に安否確認を開始できる機能である。大きな地震が発生した際には、気象庁からの情報や安否確認を自動で配信し、従業員にすばやく連絡ができるシステムだ。「一定の震度の地震が発生したら安否確認を行う」と事前設定しておけば、管理者が迅速に対応できない場合でも、安否確認を自動で配信できる。

マルチデバイス・連絡手段への対応の有無
災害発生時には、従業員が利用できるデバイスや通信手段が限られることがある。そのため、マルチデバイス対応や電話・SMS・メールなど複数の連絡手段に対応したシステムを選ぶことで、より多くの従業員との連絡が可能になり、安全確認の効率の向上が期待できる。

従業員家族の安否確認機能の有無
従業員だけでなく、その家族の安否確認機能を持つシステムは、従業員の不安を軽減し、事業再開へのスムーズな移行を促す効果がある。家族の安否も確認できるシステムを選ぶことにより、従業員は自分たちの家族の安全を確認し、安心して業務に専念できるようになる。従業員の家族の安否確認を企業が行うことで、組織全体の事業継続に対するレスポンスが向上し、早期の事業回復が期待できる。

主要な安否確認システム比較5選

ここでは、すでにさまざまな企業で導入実績がある主要な安否確認システム5つについて比較していこう。

大規模企業に適した安否確認システム比較

大規模企業に適した安否確認サービスとは、システムの堅牢性や連絡手段の多様性や災害時だけでなく平時にも利用可能な機能が充実しているものになる。ここでは、すでに多くの大規模企業が採用している2つのサービスの特徴を解説しよう。

平時にも利用可能で東日本大震災の運用実績があるBiz安否確認/一斉通報
NTTコミュニケーションズが提供する「Biz安否確認/一斉通報」は、東日本大震災の震度7の揺れにも耐える通信事業者ならではの堅牢性を誇っている。
設定した震度以上の地震が発生した際には、自動で安否確認依頼を配信し、回答も自動集計する機能が備わっている。連絡手段も、スマホアプリ、メール・電話による通知に対応しており、未回答者に自動で再送信を行い、回答も自動集計することで確実な安否確認を実現する。
また、災害時以外でも、豪雨や台風の注意喚起や健康管理アンケートも提供している。どれだけ使っても定額料金で利用できるため、大規模企業に適した安否確認システムである。

システムと共に人がいるからこその安心感セコム安否確認サービス
「セコム安否確認サービス」は、安否確認の一斉送信から集計まで一元管理が可能であり、地震・災害・インフラ障害発生時に、社員の安否確認や被災確認の初動を速やかに把握し、タイムリーな行動指示と状況把握ができるよう設計されている。また、災害時以外にも急な予定変更やアクシデント、応援要請など、日々発生するさまざまな緊急連絡に活用できるシステムである。

機械のみに頼らず、人間の持つ判断力・機動力・処置力を組み合わせた24時間365日体制のオペレーションで顧客の初動をサポートするのも大きな特徴だ。
災害の規模や気象庁から入手した情報の真偽を専門スタッフが独自ノウハウをもとに、スピーディーに確認し、迅速に災害の発生を管理者へ通知する。誤情報の発信や情報の混乱を防ぎ、正しい情報を伝えるのに有効だ。

「セコム安否確認サービス」は、2023年3月末時点の契約社数は約8,800社、利用者数約810万人の実績がある。大規模災害での対応実績が認められ、多くの企業で利用されている。

小規模企業で活用できる安否確認システム比較

小規模企業においても、従業員の安全確保や事業継続は極めて重要な課題である。ここでは、低コストでの導入でき、機能が充実しているシステムを紹介する。

産学連携で共同開発して低コストで運用ができるANPIC
ANPICは、静岡大学・静岡県立大学と共同開発されたこのシステムで月額5,130円から利用できる。産学連携で共同開発されたこのシステムは、開発費用を抑えることができたため、低コストで提供されている。すでに多くの小規模企業や学校などで使用されている。社員や学生の安否確認はもちろん、日常の連絡ツールとしても利用できる。

特徴としては、追加料金なしでLINE通知・簡単安否報告が可能であり、ANPICからの通知をLINEのメッセージでも受け取ることができる。使いなれたLINEを利用するため、安否報告やアンケートの回答をより簡単かつスムーズに行える。

また、規定値以上の地震が発生した際には、メール・アプリ・LINEで安否確認を自動配信できる。集計内容のグラフ化、ユーザー情報の一括登録、既存の人事システムなどとのデータ連携、手動メール機能やアンケート機能など、平時でも使いやすい機能も備わっている。
加えて、大災害を想定し、複数の通信経路を確保している。米国のAmazonサーバーを使用することで、日本で大地震が発生した場合でも安定稼働が期待できる。低コストで安否確認システムを導入したい小規模企業におすすめだ。

高い堅牢性を低コストで運用。無料トライアル付きCuenote安否確認サービス
「Cuenote安否確認サービス」は、地震や自然災害発生時、気象庁の発表に応じて自動で通知を行い、従業員・社員やスタッフの安否確認・緊急参集が可能な企業向けのサービスである。災害発生や気象情報と連動し、メール・SMSを自動配信するため、緊急時でも迅速な情報発信と安否確認が行える。
安否確認の通知は、メールに加えて、高い開封率を持つSMSによる通知も可能だ。複数手段で安否確認の通知が行えることから、より確実な安否確認が期待できる。スマートフォンやPCから安否状況の確認が素早く行え、有事の際の迅速な初動対応から事業継続対策までをサポートする。これらの充実したサービスを、月額3,500円から利用でき、無料トライアルも提供されているのも魅力だ。小規模企業や団体でも、安全確認システムの導入は今後必須となっていく。コストパフォーマンスに優れた、「Cuenote安否確認サービス」なら負担なく利用できるであろう。

特定の用途に強みを持つ安否確認システム比較

安否確認システムはさまざまな機能を備えたものがある。しかし、安否確認の迅速さや確実な返信のみを求める企業もあるだろう。ここでは安否回答率・連絡内容確認率100%達成を目標に掲げる「エマージェンシーコール」を紹介していこう。

とにかく速く確実に。緊急性を突き詰めたエマージェンシーコール
確実な安否回答・連絡内容確認率が目的なら「エマージェンシーコール」がおすすめだ。安否確認の手段として、メールアドレス・電話番号・アプリなどが対応している。回答またはメッセージ確認があるまで、最大100回まで繰り返し発信することで、災害時などで通信状況が悪い場合でも確認が取れるまで発信しつづけることができる。
また、サービスの安定稼働も強みのひとつで、24時間365日の監視体制を実施している。関東と関西の2つのデータセンターで同時稼働し、東日本大震災・熊本地震でも安定稼働と高い回答率を維持している。導入実績はすでに4,600社以上に及んでいる。

さらにこのサービスの特徴の一つとして、運用管理者に対しても、人数や組織階層に制限がないことがあげられる。大量の社員情報をCSVで一括登録できるためシステムの導入や社員の増減も管理がしやすい。さらに、グループ企業を含めた運用設定やさまざまなデバイスからの連絡発信ができるなど、運用管理者の負担を軽減する工夫が施されている。緊急時でも素早く確実に安否確認をしたいという企業は、ぜひ検討してほしいサービスだ。

まとめ

東日本大震災をきっかけに、企業は従業員の安全確認を迅速に行い、通常業務に速やかに戻ることが事業存続のために不可欠であることが再認識された。効率的に安全確認を行うために、安全確認システムの導入が進んでいる。しかし、システムを導入するだけでは緊急時の対応が万全だとは言えない。全従業員がBCPについて理解し、定期的に訓練やシミュレーションを行い、適宜計画を見直し、経営層から現場までの連携を強化することが求められる。
安全確認システムを導入する際には、データセンターの分散化、自動配信機能、マルチデバイス対応、従業員家族の安否確認機能など、自社に合ったサービスを選ぶことが重要となる。今回紹介した内容を参考に自社に適したシステムを導入し、事業継続計画を進めてほしい。