3Mジャパンが提案するコミュニケーションツールとしてのポスト・イット® の可能性
デジタル全盛の今、改めて「手書きのコミュニケーション」の価値が問い直されている。スリーエムジャパン株式会社(以下、3Mジャパン)は、2026年で「ポスト・イット®」製品の日本発売45周年を迎えた。これを記念し、渋谷ではメッセージを記したポスト・イット®とドリンクを交換する体験型イベントが開催された。本稿では、イベントに先駆けて7月2日に実施された先行取材会の様子をレポート。付箋業界の歴史的背景をはじめ、昭和から令和にかけてのユーザーニーズの変遷、付箋に関する最新アンケートの結果など、ビジネスや日常を支えるツールとしての進化に迫る。
文房具店やコンビニなどでもよく見かける「ポスト・イット®ノート」は、ある偶然から生まれた。研究者のスペンサー・シルバー氏が強力な接着剤を開発している最中に、「よくつくが、きれいに剥がれる」奇妙な粘着剤を発見。そのときは使い道が見つからなかったが、5年後、同僚のアート・フライ氏が「落ちないしおり」としての応用を思いつく。賛美歌集にしおりとして挟んでいた紙切れが落ちてしまうことにストレスを感じていたことから、ひらめいたという。2人は商品化を進める中で、オフィスで使える糊付きメモへとアイデアを転換していった。サンプルを製作すると多くの企業から好評を博し、1980年に全米、翌年に日本で発売された。
日本では、文書の目印に使う伝統的な付箋の文化に合わせ、顧客の要望から細いサイズや先端に色のついたタイプを独自に開発。これが官公庁や企業で大ヒットし、現在も世界100カ国以上で、地域のニーズに合わせて展開されている。
ペーパーレス時代に再発見された「手書きの価値」
2000年代以降、ペーパーレス化に向けた法整備が進むなどして、付箋の用途は大きく変わってきたという。職場での使用量が減少し、プライベートでの利用が目立つようになってきた。するとラベリングやマーキングなど、いわゆる管理ツールとしての用途が減り、コミュニケーション用途での利用に安定した需要が見られるようになった。お土産を渡すとき、一言添えたポスト・イットを品物に貼るといった使い方が広がってきたのだ。
なぜ、コミュニケーションツールとして付箋を選ぶのか。3Mジャパンの調査では、3人に1人以上が「気持ちが伝わる」「丁寧に伝わる」などの理由で、コミュニケーションツールとして付箋を選択している。
言葉を「贈り物」にする新製品「SUISAIふせん」
付箋がコミュニケーションツールとして利用される背景を踏まえ、3Mジャパンは「SUISAI ふせんコレクション」を開発。丸みのある四角いデザインは吹き出しをモチーフにしており、ピンクやスカイブルーといった淡い色合いが特徴だ。
道念氏は、開発の意図として「言葉を贈り物と捉え、記す人の気遣いや思いやりがデザインで表現できる付箋です。子どものお弁当、プチギフト、借りたノートの返却時などに、温かい一言を添えるシーンを想定しています」と述べた。
幸福度を高める「古くて新しい」コミュニケーションツールへ
3Mジャパンの調査によると、他人に付箋を使った理由を年代別に見たとき、高年齢層は「手軽」「確実」といった実用面を評価している。一方で、20代を中心とする若い層は「手書きの温かみが伝わる」といった感情的な面を評価している。デジタルネイティブ世代ほど、付箋を温かみのあるツールと捉えていることが伺える。
また、付箋の利用効果としてミス減少などの実用面が上位を占める中、人とのつながりを感じる人も一定数おり、中には「恋人ができた・結婚した」という人も全世代で1%強存在した。さらに幸福度の調査では、付箋でメッセージをもらった経験がある人の方が、幸福度が高かった。特に20代では約30ポイントもの大きな差が開いた。
渋谷ヒカリエの1階イベントスクエアでは、7月2日から4日まで「言葉を贈るコーヒースタンド」が設置され、ポスト・イットのメッセージと引き換えにドリンクが提供された。










