仕事とランニングを融合 ニューバランスが提案する次世代オフィスとは
健康管理のひとつとして、日常にランニングを取り入れていたり、今後取り入れたいと考えているオフィスワーカーは多い。だがその大きな障壁となっているのが、「走りたいのに時間がない」「仕事終わりは疲れて走れない」労働環境だ。こうした日常のリアルな課題に着目したニューバランスジャパンは、オフィス環境そのものにランニングを組み込む体験型施設「New Balance Run Office」を2026年8月24日から8月28日までの期間限定で、原宿・明治神宮前のフレキシブルオフィス「WeWorkアイスバーグ」1階にオープンした。オフィスで働き、隙間時間に走る……そんな新しい働き方を目指す、新たなオフィスのかたちとは?
ランニングと仕事をシームレスにつなぐ体験型施設
株式会社ニューバランスジャパンは2026年8月24日から8月28日までの5日間、WeWork Japanが運営するフレキシブルオフィス「WeWorkアイスバーグ」(原宿・明治神宮前)1階に、ランニングと仕事をシームレスにつなぐ体験型施設「New Balance Run Office」をオープンした。
「New Balance Run Office」は、オフィスワーカーが仕事の前後や合間にランニングを取り入れることで、「走る」と「働く」を分断しない新しい日常を体験するという、実験的な取り組みだ。会場となったのは、ビル1棟全体がフレキシブルオフィス「WeWork」として運用されている「WeWorkアイスバーグ」の1階。通常のワークスペースとしても利用できつつ、ランニングに必要なさまざまなサービスが提供され、仕事をしながらその日のスケジュールに合わせてランニングを取り入れることができる環境が整えられている。
「次世代の働き方を検証し、その社会実装を目指す」(WeWork Japan)
今回の試みの場として会場を提供したのは、国内約40拠点で展開するフレキシブルオフィス(シェアオフィス・コワーキングスペース)を運営しているWeWork Japan。WeWorkは世界では600拠点以上のフレキシブルオフィスを展開、日本国内でも8都市で40拠点以上を運営し、東京都内のシェアオフィスの面積では約40%のシェアを占めている。各拠点の規模が非常に大きいことも特徴で、例えば今回のニューバランスとの協業による実証実験の会場となったアイスバーグは、ビル1棟全体がWeWorkとして運用されている。
2026年8月24日に開催されたメディア内覧会でWeWork Japan代表取締役社長 兼 CEOの熊谷 慶太郎氏は、今回のニューバランスとの協業による実証実験を「次世代の働き方を検証し、その社会実装を目指す取り組み」であると語った。
「従来、『働く』という行為は日常の中で運動や健康と切り離されがちでした。しかしワークライフバランスやウェルビーイング、さらにはスポーツといった観点から、『走る』と『働く』を結びつけることで、新たな働き方の可能性が提示されるのではと考えました。今ご覧いただいているNew Balance Run Officeの空間は、普段は通常のワークスペースとして利用されているスペースであり、このように日常と運動をシームレスにつなぐ試みを行うことに、大きな意味があると考えています」(熊谷氏)
「走るという行為を、よりランナー側の視点から捉え直したい」(ニューバランス)
ニューバランスは、1906年にボストンで誕生した老舗スポーツブランドであり、120年以上の歴史を持つ。近年は「RUN YOUR WAY」というテーマを掲げ、一人ひとりが自分らしい走り方、自分に合ったスタイルでランニングを楽しむことを尊重する思想を提唱している。
ニューバランスジャパン マーケティング本部 ディレクター 鈴木健氏は、「今回の実証実験は単なるランニングシューズのプロモーションだけでなく、走るという行為を、よりランナー側の視点から捉え直したいという考えから始まった」と語った。その背景にあったのは、同社が独自に実施した「日常生活の中でランニングの障害となっている要因」についての調査結果だ。
多くのランナーを対象にしたヒアリングでは、社会人にとっては「働くこと」が生活の中心であり、走るための時間を確保することや、そのための準備を整えること自体が大きな負担となっている実態が明らかになった。この課題を踏まえ、いかにしてランニングしやすい環境を整備するかが重要なテーマとして浮かび上がった。そこであらためてランナーの立場に立ち、「走れる環境そのものをより良くしていく」ことを追求するなかで着目したのが、「働く」という日常の時間軸だった。
「ランニングと働く時間の距離をいかに縮めていくか、あるいはランニングそのものを働くことも含めた生活全体の充実やウェルビーイングへとつなげていくかが、最も重要な視点でした。さらに、働く人々のコミュニティを、走ることとより自然に結びつく形で活性化させていくことも重視しました。今回の取り組みはそうした考え方のもと、ランナーの生活全体をより豊かにすることを目指して実施しました」(鈴木氏)
「生活と仕事が近接する渋谷だからこそ実現できた挑戦」(渋谷近未来デザイン)
今回、「New Balance Run Office」実現のために、ニューバランスやWeWorkと連携したのが「渋谷未来デザイン」だ。同組織は産官学民が連携しながら街の未来を共創することを目的として2018年、渋谷区によって設立された。その取り組みの一環として、ニューバランスとは2019年頃から協働を重ね、コロナ禍においても新たな価値提供を模索してきた。2023年には同社と「ソーシャルアクションパートナーズ協定」を締結し、「ランシティ渋谷」の実現に向けた動きを本格化させている。
「多様な人々が集い、生活と仕事が近接する渋谷だからこそ実現できるこの挑戦は、都市の在り方そのものをアップデートする可能性を秘めています。今後は参加者の声を取り入れながら進化を重ね、全国へと広がるモデルケースにしていきたい」(渋谷未来デザイン 理事・事務局長 長田 新子氏)
近年、バックオフィスが担う役割は効率化だけでなく“働く体験の質”を高める方向へと広がっており、New Balance Run Officeの試みは、それを端的に示しているようにも見える。今後、企業が従業員の健康を支える取り組みは、制度設計から空間設計へとシフトしていくかもしれない。








