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外国人留学生採用の“今”を伝えるリュウカツニュースをオリジネーターが発行

2020.03.25
新卒生
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 株式会社オリジネーターが発行する、外国人留学生の日本における採用動向等を伝えるレポート「リュウカツニュース」は、留学生の採用から定着・活用に成功している企業が、取り組んでいることについて発表した。
 
 理工系留学生を強みとした外国人材就職支援事業を行うオリジネーターは、2006年の事業開始以来、日本企業のグローバル化をサポートしていると言う。企業のグローバル化や多様性の進展等の要因から、優秀な外国人留学生を採用したいという日本企業が増えているが、その一方で、定着や活用に悩む企業も多い。日本で働きたい留学生の活躍の場を広げていくことを目的に、リュウカツニュースVol.4では、留学生の採用から定着・活用に成功している企業の事例を紹介している。今回は、海外に複数の拠点を持ちグローバルに展開する、菱洋エレクトロ株式会社の人事担当者と外国人社員へのインタビューを発表した。

■人事担当者・外国人社員のインタビュー要点

●留学生はグローバルな視野を持ち、語学力もある優秀な人材

 留学生は現地採用に比べ、日本で働きたいという熱意が強い。グローバルな視野を持ち、母国と日本それぞれの文化・慣習を理解し語学力もある、優秀な人材。

●留学生採用のコツは、明確な「採用目的」と「キャリアイメージ」の提示

 留学生は、日本人よりも明確なキャリアプランを持っているため、「なぜ留学生を採用するのか」をきちんと説明し、予定している配属先や具体的な活躍イメージを提示する。

●マニュアルや形式にとらわれない対応が、留学生に安心感を与える
 就職活動をする留学生には、マニュアルや形式にとらわれない普段通りのコミュニケーションの方が安心感を与える。複数内定をもらっている場合、それが入社の決め手となることも。

●外国人社員の定着で大切なことは、現場で一緒に働く社員の理解と協力

 社内においても「なぜ留学生を採用するのか」という理解促進が大切。新入社員研修やメンター制度などのフォロー体制や、他部署の社員とも交流できる社内サークル活動は有用。

■インタビュー概要

■インタビュー概要

 1961年設立・東証一部上場。半導体・ICT・組み込み製品などIoTに関連するあらゆるソリューションと技術サポートを提供するエレクトロニクス商社。今後ますます多様化する顧客のニーズに応えるべく、事業領域を拡大しているという、菱洋エレクトロ株式会社の人事部、人事担グループの五十嵐歩氏のインタビュー内容を、以下に紹介する。

■留学生はグローバルな視野を持ち、語学力もある優秀な人材

 外国人採用の背景・目的として、「エンジニア人材の不足」や「グローバル対応」「ダイバーシティ対応」が挙げられるが、特別に「留学生枠」を設けているわけではない。留学生だから採用するのではなく、日本人学生も留学生も区別なく、優秀な学生に内定を出している。

 留学生はグローバルな視野を持ち、母国と日本それぞれの文化・慣習を理解し、語学力もある、優秀な人材と言える。配属先は、基本的には商社の総合職になるので、顧客との折衝が必要となる。「理系でエンジニアだから日本語力やコミュニケーション能力が低くてもよい」ということはない。インターンシップのグループワークを見ていると、日本語が堪能な留学生でも、自分の日本語力に自信がなく発言を遠慮してしまう学生がいるので、「完璧な日本語を求めているわけではなく、アウトプットすることの方が大事」と伝えている。

■自社の強みに気づき、留学生にアピール

 初めて留学生を採用した2009年卒から約10年間は、特に施策を打っていたわけではなく、たまたま留学生を採用することができた。しかし、理系人材の不足やグローバル企業が増える中、これからは確度を高めて採用していく方針になり、2020年卒から本格的にオリジネーターの就職イベントに参加。多くの優秀な留学生に会えるようになったと言う。同社は海外拠点があって外国人採用の実績もあり、エンジニア職の採用もあることが武器になるので、話す機会さえあれば興味を持ってもらえるそうだ。 初めて留学生を採用した2009年卒から約10年間は、特に施策を打っていたわけではなく、たまたま留学生を採用することができた。しかし、理系人材の不足やグローバル企業が増える中、これからは確度を高めて採用していく方針になり、2020年卒から本格的にオリジネーターの就職イベントに参加。多くの優秀な留学生に会えるようになったと言う。同社は海外拠点があって外国人採用の実績もあり、エンジニア職の採用もあることが武器になるので、話す機会さえあれば興味を持ってもらえるそうだ。

■留学生採用のコツは、明確な「採用目的」と「キャリアイメージ」の提示

 留学生採用において、明確な採用目的とキャリアイメージの提示はとても大事だ。日本人学生は内定をもらった企業を比較し、条件の良い企業に就職する学生が多いが、留学生は「なぜ留学生を採用するのか」、「自分のどこを評価したのか」、「入社したらどのような仕事を任されるのか」をとても気にしている。

 昨年、内定を辞退した留学生がいるが、商社よりも仕事内容が具体的で、活躍のイメージがしやすいメーカーへ行ってしまった。日本人学生の場合、文系よりも理系の方がより明確なキャリアプランを持っている傾向にあるが、留学生は文理問わず、明確なキャリアプランを持っている学生が多い。

■外国人社員の定着で大切なことは、現場で一緒に働く社員の理解と協力

 同社では、入社3年目までの全社員に対して、定期的に人事部の担当者と面談をしている。外国人社員がコミュニケーションで何か困っていることがあった場合、それが日本という国の問題なのか、企業の問題なのか、所属する部署の問題なのかを確認していると言う。「日本の企業はどこもそうだから仕方ない」と諦めている人もいるので、原因が部署にある場合は、直属の上司に話して改善を図っている。外国人社員の定着で大切なことは、人事部だけでなく現場で一緒に働く社員の理解や協力。「なぜ留学生を採用するのか」ということに対して理解のある部署とそうでない部署があるため、今後改善も必要。

■留学生の素晴らしさに目を向けて

 外国人社員がいることで職場が活性化している。外国人社員は積極的に自分の意見を言うので、日本人社員も触発されて、活発な意見が出るようになった。

 日本で就職を希望する留学生の中には、自分が留学生であることがマイナスポイントだと思っている学生も多く、「採用するなら日本人の方がいい。留学生は採用しないと言われてしまって…」ということをよく聞く。私は、そもそも母国を離れ見知らぬ土地でチャレンジしようというその心意気だけで、十分評価に値すると思っている。

 さらに留学生は現地採用よりも、日本で働きたいという熱意が強いのも特長。留学生の素晴らしさに気づいていない企業もまだ多いので、特に中小・ベンチャー企業は、もっと目を向けるべきだと感じているそうだ。

■実際に外国人留学生として採用された実務経験者へのインタビュー

■実際に外国人留学生として採用された実務経験者へのインタビュー

2019年に同社に入社し、半導体・デバイス事業本部で営業担当をする王維維氏のインタビューを以下に掲載する。

 同氏は、中国の大学を卒業し、日本の文化を体験したいため来日。語学学校で日本語を1年勉強した後、大学院で経営学を2年学び、卒業後は日本と中国のどちらで就職するか迷ったが、総合的に考え、日本で就職することに。せっかく日本の大学院に入って日本で暮らした経験があるので、自分の強みを活かすことができると思ったからだ。

■入社の決め手は、マニュアルや形式にとらわれない社員の対応

 私は会社選びの条件として、日本だけでなく海外と積極的にやりとりをしている企業と決めていた。恐らく私だけでなく、多くの留学生が、「グローバルに進出している企業」に入りたいと思っている。給料で会社を選ぶ人もいるが、給料だけではその仕事が本当に自分に合うかはわからない。お金よりも、その仕事が「自分に合うか」、「楽しいか」、「長く続けられるか」が重要だと考えている。

 たくさんの面接を受け、内定もいくつかもらったが、同社が他の企業と違ったのは、「職場の雰囲気」と「社員の人間性」。面接はマニュアルや形式にとらわれず、普段通りのコミュニケーションがとれたので、このような会社で働きたいと感じた。また内定の通知も、形式的な電話やメールのやりとりが多い中、同社からは電話で温かい言葉をかけてもらい、「この会社に入ったら自分が独りにならない」と思い、安心した。

■日本企業に就職して感じた、中国との違い

 中国の大学に4年間在学した当時、教育センターや飲食店及び派遣会社など様々な中国企業でアルバイトをした。そこで感じたのは、中国人は「私はこう思っている」という個人の意思がハッキリしていること。一方、日本人は「チームでどのような成果を出したいのか」という協調性を重視している。良い面もあるが、色々な調整をしなくてはならないため、効率が良くないと感じることも。私は今の職場で仕事の進め方など疑問を持った際は、きちんと自分の意見を言うようにしている。そうすることで、他の社員からも自然と意見が出るようになった。

■新人研修とメンター体制で、飛躍的に成長。社内サークルでは他部署とも交流

 新入社員研修は充実していると思う。入社後1ヵ月間は、会社の制度やビジネスマナーなど社会人としての常識を学び、特にビジネスマナーやメールの書き方などは学生時代には教わらないので、勉強になった。また、専門知識として半導体に関する研修も1ヵ月近くあった。研修はすべて日本人の新入社員と一緒に行い、日本人と同等もしくはそれ以上のレベルを出さないと認められず大変だったが、一緒に研修して良かったと思う。

 実際の業務に就くと、営業担当は顧客との打合せが定期的にあり、最初は何を話せばよいか不安だったが、ロールプレイを繰り返し、しっかり準備ができた。また「メンター制度」があり、約1年間、同じ部署の先輩社員が私の行動をチェックし、細かくフィードバックしてくれたおかげで、大きく成長できたと思っている。

 社内サークル活動も活発で、私はサイクリング部とボルダリング部に入っている。社内サークル活動に参加し、違う部署やフロアなど普段関りのない社員ともコミュニケーションをとることで、仕事がしやすくなった。

■自分の成長だけでなく、後輩社員の成長にも貢献していきたい

 私は入社1年目にも関わらず、大企業を担当させてもらっている。この1年で多くのことを経験し、さらに今後は、国内の顧客だけでなく海外の顧客も担当することになり、モチベーションも上がっている。

 5年以内には中堅社員として成果を出し、その後は、自分の成長だけでなく後輩社員の成長において自分に何かできるか考えながら、会社に貢献していきたい。そして自分の強みである、日本人に対する理解と中国人としての文化を活かし、両国の懸け橋となる人材を目指して頑張りたい。

■まとめ

 企業のグローバル化や多様性により、外国人留学生の採用が活性化している。さらに最近は、誰もが知る有名企業や大企業だけでなく、中小企業においても、優秀な外国人材の採用が広がり、より売り手市場となっている。その一方で、早期離職してしまうケースもあり、定着・活用の施策に注目が集まっている。

 外国人材の採用で重要なのは、「なぜ採用するのか」という自社の採用目的をしっかり定め、それを経営陣や人事関連部署のみならず、現場も納得したうえで進めていくこと、さらに求職中の外国人材に向け、その採用目的をわかりやすく発信していくことだ。また入社後の活用についても、受け入れ体制を整備することで、外国人材が長く働きたいと思える環境を整えていくことが大切になるだろう。

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