BCP『策定意向あり』3年連続で5割未満【事業継続計画に対する企業の意識調査】
帝国データバンクは事業継続計画(BCP)に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2023年5月調査とともに行った。
調査概要
調査対象:全国2万7930社で、有効回答企業数は1万1420社(回答率40.9%)
調査期間:2023年5月18日~5月31日
調査機関:株式会社帝国データバンク
BCP『策定意向あり』は48.6%と3年連続で5割を下回る
自社における事業継続計画(以下、BCP)の策定状況について尋ねたところ、「策定している」企業の割合は18.4%となった。前回調査(2022年5月)から0.7ポイント増加し、2018年から6年連続で増加している。しかし、「現在、策定中」(7.5%、前年比0.1ポイント減)、「策定を検討している」(22.7%、同1.9ポイント減)はそれぞれ減少し、BCPに対して『策定意向あり』(「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」の合計)とする企業は48.6%(同1.3ポイント減)となった。新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年をピークに、2021年以降は3年連続で5割を下回っていた。
想定リスクは「自然災害」が7割でトップ
BCPについて『策定意向あり』とする企業に対して、どのようなリスクによって事業の継続が困難になると想定しているか尋ねたところ、地震や風水害、噴火などの「自然災害」が71.8%となり、最も高くなった(複数回答、以下同)。次いで、「設備の故障」(41.6%)が続いた。新型コロナ感染症の5類移行にともないインフルエンザ、新型ウイルス、SARSなど「感染症」(40.4%)は前回から13.1ポイントも低下した。
リスクへの備えは「従業員の安否確認手段の整備」が68.2%でトップ
BCPについて『策定意向あり』とする企業に対して、事業が中断するリスクに備えて実施あるいは検討している内容を尋ねたところ、「従業員の安否確認手段の整備」が68.2%で最も高かった。(複数回答、以下同)。以下、「情報システムのバックアップ」が57.1%、「緊急時の指揮・命令系統の構築」が41.0%で続いた。
BCPを策定していない理由
BCPを「策定していない」企業にその理由を尋ねたところ、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」が42.0%で最も高かった(複数回答、以下同)。次いで、「策定する人材を確保できない」が30.8%、「策定する時間を確保できない」が26.8%で続いた。
まとめ
ポストコロナに向けて経済活動が加速していくなか、BCP策定への取組みに対する意識や優先順位が下がる傾向がある。しかし、BCPの準備を怠ることで経済活動に与えるマイナスの影響は大きく、企業、行政が連携して対策を講じていくことが求められるだろう。