「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」 中小企業の人手不足は過去最大

日本商工会議所ならびに東京商工会議所(ともに小林健会頭)は、中小企業における人手不足の状況と対策、女性のキャリアアップ支援、仕事と育児の両立、外国人材の受入れについて実態を把握し、今後の要望活動に活かしていくために「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」を実施した。
人手不足の状況と対策

「人手不足」との回答が68.0%で、2015年の調査実施以降、最大。そのうち6割以上が「非常に深刻」または「深刻」と回答した。人材確保に向けた取組は、「賃上げの実施、募集賃金の引上げ」(72.5%)が最多。
女性のキャリアアップ支援

女性のキャリアアップ支援の「必要性を感じている」との回答が8割強に達するものの、そのうち6割弱が「十分取り組めていない」と回答している。最も注力すべき対象・取組は、「若手の正規女性職員の能力・意欲向上」(28.3%)が最多となった。
仕事と育児の両立

両立推進の「必要性を感じている」との回答が8割強となったが、そのうち約半数が「十分取り組めていない」と回答した。課題は、「人手不足のため、子育て中の社員の仕事のカバーが難しい」(44.2%)が最多となっている。
政府等には、「保育の質・量の拡充」を求める声が約半数で最多。「子育て中社員の業務をカバーする社内体制整備支援」(40.6%)が続く。
男性育休について、対象者がいる企業だけで見ると、取得率「0割」は6割を超え、取得日数は「1カ月未満」が全体の7割を超えた。
外国人材の受入れ

外国人材の受入れを「拡大すべき」「業種・地域を限って拡大すべき」を合わせると約7割。課題は「日本語による円滑なコミュニケーションが困難」が6割を超え、最多。政府等に求める取組としては、「受入制度に係る手続き・書類の簡素化・迅速化」が5割を超え最多となった。「受入れに係るコスト負担の軽減」(45.5%)が続く。
調査概要
調査地域:全国47都道府県
調査対象:中小企業 6013社
調査期間:2023年7月18日~8月10日
調査方法:各地商工会議所職員による調査(訪問、メール等)
回収商工会議所数:425商工会議所
回答企業数:3120社(回答率:51.9%)
まとめ
女性のキャリアアップ支援や仕事と育児の両立推進の支援を必要だと考えているものの、十分に取り組めていない企業が多いようだ。中小企業における人手不足は過去最大となっており、対応は急務と言えるだろう。