オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

正社員対象「賃上げに関する意識調査」年収の希望賃上げ率は平均7.2%に対し実際の予想賃上げ率は平均3.0%

2024.02.27

Indeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木紘之)は、20歳~59歳の正社員の男女計2400名を対象に「賃上げに関する意識調査」を実施。本調査は、継続的な物価高と人手不足感から2024年の春闘では2023年を上回る水準の賃上げが求められる中、働く人々の賃金上昇に対する意識と実態を明らかにするために行われたもの。ここでは調査結果の概要をお伝えする。

調査結果詳細はこちら

2023年の賃上げの期待と実態

2023年の賃上げの期待と実態

同社はまずはじめに、2023年の基本給および年収が2022年と比べてどう変化したかを尋ねたところ「上がった・増えた」と答えた人が基本給で40.5%、年収では36.1%となったことを明らかにした。なお、基本給、年収が「変わらない」と回答した人は、それぞれ53.9%、51.6%となっており、「下がった・減った」人と合わせると約6割の人は賃金が上がっていない結果となっている。

また、賃金(年収)が上がったと回答した人(866名)に対して、賃金が上がった理由を尋ねたところ、1位は「自分のパフォーマンス・成果が評価されたから(45.1%)」で、2位「勤続年数に応じた自然昇給(毎年決まった額が上がるなど)があったから(43.3%)」3位「会社の業績がよかった・上がったから(42.3%)」と続いている。

さらに同社は、2023年の収入がどの程度上がることを期待していたかを尋ねており、その結果、期待賃上げ率の平均は基本給で+3.2%、年収で+3.9%となったことを明らかにした。

一方、2022年と比べた実際の賃上げ率(増加/減少割合)では、全体(2023年の賃金が上がった人、変わらない人、下がった人全てを含む)の平均は基本給で+1.1%、年収は+1.0%に。期待していた賃上げ率と実際の賃上げ率には、基本給で‐2.1ポイント、年収では‐2.9ポイントの差があり、期待ほどの賃上げが実現されなかった実態がうかがえる。

企業規模別(※)に見ると、2023年の実際の賃上げ率の平均(2023年の賃金が上がった人、変わらない人、下がった人全てを含む)は、大企業では基本給で+1.6%、年収で+1.5%。それに対し、中小企業では、基本給で+0.9%、年収で+0.6%で、大企業と比較して基本給で-0.7ポイント、年収で-0.9ポイントの差になっている。

※:大企業は従業員数(アルバイト・パートを含む人数)1000人以上、中小企業は1000人未満と定義

2024年の賃上げの希望と予想

2024年の賃上げの希望と予想

同社は続いて、2024年の予想賃上げ率を尋ねた。具体的に予想賃上げ率を回答した人の割合は、基本給では67.3%、年収では67.0%にのぼっている。一方で「そもそも賃上げをしないと思う」と回答した人は基本給で32.7%、年収では33.0%となっている。

また、2024年にどの程度の賃上げを望むかについては、年収の希望賃上げ率の平均は+7.2%という結果に。一方、実際の年収の予想賃上げ率の平均は+3.0%という結果になっている。2024年の年収の希望賃上げ率と予想賃上げ率に‐4.3ptの差があり、希望する賃上げの実現が実際は難しいと考えられている様子が明らかとなった。

なお、賃上げを望む費目・要件として最も優先度が高いのは、全社員の給料水準を一律で引き上げる「ベースアップ」が51.5%となっている。

物価上昇による影響と自身の給与への意識

物価上昇による影響と自身の給与への意識

同社によると、1年前(2023年1月)と比較して、物価上昇による生活への影響を感じたことがある人は77.3%と、8割近くにのぼっている。また、賃金(基本給または年収)が上がった人で、かつ物価上昇による生活への影響を感じたことのある人(906名)のうち「賃金が上がっても生活・家計は変わらない/苦しくなった」とする人が9割以上であることも明らかになった。

また、同社は今の給与水準への満足度を調査。満足している人(「あてはまる」と「ややあてはまる」と回答した人の合計)は27.7%と3割以下であることがわかった。さらに、仕事のパフォーマンス・成果が給与に反映されていると感じるかとの設問では「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた人の合計は25.8%と、こちらも3割以下となっている。

調査概要

調査主体:Indeed Japan株式会社
調査対象:現在就業中の20~59歳の正社員(勤務先の従業員規模が2名以上、現在の勤務先の勤続年数が2年以上) 男女計2400名
割付方法:性別×年代(10歳刻み)×勤務先の従業員規模別に均等回収
補正  :「令和4年就業構造基本調査」を用いて、性年代・従業員規模別の構成比にあわせて補正
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年1月16日~1月19日
※構成比(%)差分(pt)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合や、少数第1位までの計算とは数値が異なる場合がある

まとめ

2024年の春闘が事実上1月末からスタートし、日本労働組合総連合会(以下:連合)や産業別労働組合等からは2023年を上回る水準の賃上げ要求が打ち出されている。しかしながら、連合が2024年春闘の方針として掲げる「5%以上」の賃上げについて、達成見込みは賃上げ実施企業のうち25.9%にとどまるという調査結果も。本調査においても、希望する賃上げの実現が実際は難しいと考えられている様子が明らかにされている。

本調査では、多くの従業員が今の給与水準に満足していないこともわかっている。従業員への適切な評価と給与への反映ができているか、この機会に改めて見直してみてはいかがだろうか。

関連記事:2024年度 「賃上げ実施予定率」85.6%で過去最高も賃上げ率の最多は3%で「前年を上回る賃上げ」に届かず - オフィスのミカタ