中堅社員の意識調査、成長の役に立ったと感じる会社からの支援は?
組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー、所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は、社会人5~11年目の役職がついていない中堅社員(※)600人に対し、2023年9月に直面している困難やその乗り越え方に関して意識調査を行った。ここでは、効果的な成長支援の取り組み編として2024年3月に発表されたレポートの概要をお伝えする。
※本調査では社会人5年目以降35歳未満の役職がついていない社員を指し「ミドルキャリア」とも記載
調査実施の背景
同社は、外部環境の変化や競争の激しい昨今、組織が継続的に成長するためには「人」の成長が必要不可欠だと考えている。新入社員や管理職、次期管理職の育成に力を入れている企業は多いが、社会人5年目から35歳前後の中堅社員は、既に経験豊富で自立していると判断され、指導や育成に対する優先度が下がり、いわゆる「育成の空白地帯」となっているケースが多く見受けられるという。
同社では、こうした状況も要因の一つとなり、まさにこれから活躍が期待できる中堅社員が離職してしまう、という課題をよく耳にしていることから、中堅社員が抱える課題とその解決策を明らかにすべく、中堅社員が直面する「壁」をテーマに調査を行った。
2024年2月には第1段として、中堅社員が直面する「壁」が変遷するターニングポイントを明らかに。今回は、中堅社員の成長に役に立つ会社の支援や取り組みについて、中堅社員の時期を前期・中期・後期(※)に分け、調査・分析を実施した。
ラーニングイノベーション総合研究所「中堅社員の意識調査(直面する壁 TOP3)」
※同社で実施した上記調査より、ミドルキャリアが直面している困難(壁)にはターニングポイントがあり、このターニングポイントを軸にミドルキャリアを前期(6年目まで)、中期(9年目まで)、後期(10年目以降)と3つの期に分類
成長の役に立ったと感じること「職場の雰囲気・文化」がトップに
同社はミドルキャリアに対し、会社のどのような点が自身の成長の役に立ったと感じているかを調査するため「自分の成長の役に立ったと感じる会社の良いところ」を、上司・先輩のサポート、OJT制度・メンター制度など、16の項目から回答する方式で調査。
その結果、最も高い割合を示したのは「職場の雰囲気・文化」で27.5%となっている。次いで「先輩からのサポート(19.5%)」「上司からのサポート(18.3%)」が続いた。一方、社内FA制度、社内公募制度、メンター制度、目標管理制度など、制度面の項目は低い結果を示している。
ターニングポイント軸での分析結果
同社が前回発表した調査結果では、ミドルキャリアが直面している困難(壁)にはターニングポイントがあり、本調査ではこのターニングポイントを軸にミドルキャリアを前期(6年目まで)、中期(9年目まで)、後期(10年目以降)と3つの期に分類して分析を行っている。今回の調査項目「自身の成長の役に立ったと感じること」について、前期・中期・後期で回答結果にどのような違いが見られたのだろうか。同社によると、それぞれの上位は下記の通りとなっている。
【前期】
「職場の雰囲気・文化(21.8%)」
「先輩からのサポート(18.8%)」
「表彰制度(15.9%)」
【中期】
「職場の雰囲気・文化(29.6%)」
「上司からのサポート(19.2%)」
「先輩からのサポート(17.2%)」「配属先の仕事内容(17.2%)」
【後期】
「職場の雰囲気・文化(30.0%)」
「先輩からのサポート(22.0%)」
「上司からのサポート(21.6%)」
前期・中期・後期を比較すると、各期間でトップとなった「職場の雰囲気・文化」は特に中期・後期に回答が増加し、前期よりも7ポイント以上高くなっている。また、「上司からのサポート」「配属先の仕事内容」は、年次が上がるにつれて割合が高くなることも明らかになった。一方で「表彰制度」は前期では15.9%と高い割合になったものの、中期・後期になると7ポイント以上減少した。
調査概要
調査対象者:社会人5年目~11年目以降の管理職未満の就労者
調査時期:2023年9月28日~9月29日
調査方法:調査会社によるインターネット調査
サンプル数:600人(勤続5年目96人、勤続6年目74人、勤続7年目64人、勤続8年目79人、勤続9年目60人、勤続10年目63人、勤続11年目以降164人)
出典元:【中堅社員の意識調査(効果的な成長支援の取り組み編)】600人の中堅社員が成長に役に立ったと感じるポイント 「職場の雰囲気・文化」が全年次で第1位(ALL DIFFERENT株式会社)
※各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外とした
※構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がある
まとめ
同社が2月に発表したラーニングイノベーション総合研究所「中堅社員の意識調査(直面する壁 TOP3)」では、一言に「中堅社員」と言っても、年次ごとに感じる壁やその捉え方が異なっていることが報告された。一方で本調査では、自身の成長に役に立つと感じる会社の支援・取り組みとして「職場の雰囲気・文化」がどの年次においても最も多いことが明らかになった。
ALL DIFFERENT株式会社のCLM(最高育成責任者)は 「職場の雰囲気・文化を育むためには、組織全体でのコミュニケーション促進、社員の成功を称賛し共有する文化の構築などが挙げられます。これらの取り組みを通じて、社員が支援され、評価され、所属感を得ることができる職場を作ることが重要です」とコメントしている。
個々の社員に合わせた成長支援を提供できれば、組織全体の持続的な成長へと繋がっていくのではないだろうか。これからの育成計画を改めて考える機会としていただきたい。