掲載希望の方 オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

【2023年度倒産発生率(普通法人)調査】10年間で初めて9地区すべてで倒産発生率上昇

2024.06.06

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、集計した2023年度の企業倒産と国税庁の内国普通法人(292万2972件、以下、普通法人)を基に、倒産発生率を算出。2022年度から2年連続で悪化し、2015年度の0.260%に次いで4番目に高い0.257%となったことを発表した。

コストアップが影響し中小企業の倒産が増勢

コストアップが影響し中小企業の倒産が増勢

TSRによれば、企業倒産は2024年4月から25カ月連続で前年同月を上回っており、2023年度の倒産発生率は0.257%(前年度0.196%)に上昇。2022年度から2年連続での悪化となっており、2014年度以降の10年間では、2015年度の0.260%に次いで4番目の高さだという。コロナ禍が落ち着くと同時に、円安、物価高、人件費上昇などのコストアップが影響し、中小企業の倒産が増勢を強めているようだ。

TSRは2024年度の企業倒産は1万件を超える可能性が高いとして、倒産発生率の上昇を予測している。

なお地区別では、2014年度以降の10年間で初めて9地区すべて悪化したことが明らかに。都道府県別では、悪化が45都道府県(前年度40都道府県)で、改善は2県(同7県)。倒産発生率ワーストは、島根県の0.374%(前年度0.249%)で、3年ぶりのワーストとなった。

産業別では2年連続で10産業すべての倒産発生率が悪化しており、ワーストは運輸業の0.482%(同0.361%)であったという。

出典元:2023年度の倒産発生率は0.257% 10年間で初めて9地区すべて倒産発生率上昇(株式会社東京商工リサーチ)
※本調査は、国税庁の「統計年報書」の法人税課税対象の内国普通法人とTSRの2023年度の倒産集計(負債1000万円以上)を基に、都道府県別の倒産発生率(普通法人)をまとめたもの。倒産発生率は、普通法人の倒産件数÷普通法人×100で算出。分母は国税庁統計法人税表に基づく法人数、分子はTSRの個人企業等を除く普通法人の倒産件数。2023年度の普通法人数は2022年度のデータを採用。
※普通法人は、会社等(株式会社、有限会社、合名会社、合資会社、合同会社、協業組合、特定目的会社、相互会社)、企業組合、医療法人が対象。

まとめ

倒産発生率は10年間で初めて9地区すべてで悪化し、産業別でも2年連続の10産業すべてでの悪化となった。原材料価格や人件費の上昇分を価格転嫁できていない中小企業も少なくないだろう。帝国データバンクが2024年2月に実施した価格転嫁に関する実態調査(※)では、価格転嫁率は40.6%との結果が出ており、12.7%の企業が「全く価格転嫁できない」と回答している。

TSRは今後について「コロナ禍から経済活動が平時に戻り、売上増に伴う資金需要も活発になっているが、企業の過剰債務は解消されていない。このため、新たな資金調達が難しい企業を中心に2024年度の企業倒産は1万件を超える可能性が強まっており、倒産発生率も悪化をたどるとみられる」との見解を示した。

※出典元:価格転嫁に関する実態調査(2024年2月)(帝国データバンク)