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2024年度「後継者難」による倒産が過去2番目の454件に TSR調査

2025.04.17

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2024年度(2024年4月-2025年3月)の「人手不足」関連倒産(負債1000万円以上、後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)のうち「後継者難」を抽出し、分析。過去2番目に多い454件にのぼる倒産件数となったことを報告した。

代表者の健康リスクが鮮明、今後も高止まりの予測

TSRは2024年度の後継者不在が一因の「後継者難」倒産(負債1000万円以上)について集計・分析を行った結果、過去2番目の454件(前年度比0.8%減)と高止まりとなったことを報告した。

原因別の分析結果を見ると、代表者などの「死亡」が過去最多の251件(同14.6%増)となったほか「体調不良」が149件(同6.8%減)と、経営者の高齢化が進んでいることによる影響がうかがえる。2024年の代表者の平均年齢は過去最高の63.59歳(前年63.35歳)に延びており「代表者の健康状態」は大きな経営リスクとなっているようだ。

また、資本金別では「1000万円未満(272件/前年度比0.3%増)」が約6割(59.9%)を占めるという結果に。形態別では「破産(428件/同2.1%増)」が全体の94.2%を占めた。

代表者が経営の根幹を掌握していることが多い小・零細企業においては、突然の代表者不在が経営に大きな影響をもたらす可能性が高い。TSRは政府が「円滑な廃業」を打ち出し、金融機関やファンドによる第三者承継の支援も動き出していると解説する。しかし、物価や人件費などのコストアップで、過剰債務の解消が遅れている企業が多い現状にあるとして、代表者が突然不在となったことによる倒産は今後も高止まりが続くと予測しているようだ。

出典元:2024年度の「後継者難」倒産 過去2番目の454件 代表者の健康リスクが鮮明、消滅型倒産が96.6%に(株式会社東京商工リサーチ)

まとめ

倒産件数が増加傾向にある中、後継者難による倒産も高止まりとなったことが判明。前年比ではわずかに減少したものの、過去2番目に多い水準となった。特に注視すべきなのが、原因別で最多となった「代表者などの死亡」だろう。

TSRでは社長の平均年齢に関する調査も実施しており、2024年の社長の平均年齢が調査開始以来最高となったほか、70代以上の社長の構成比についても過去最高を記録したと報告している。事業承継の遅れが代表者の高齢化を招き、結果として代表者の健康状態が経営リスクとなっている企業の増加につながっている。

国は「事業承継・引き継ぎ支援センター」を設置し、中小企業の事業承継に関するあらゆる相談に対応している。中小企業においてはこうした支援機関等も活用し、事業承継に向けた早期の準備に取り組んでおくことが重要となるだろう。

出典元:社長の平均年齢 過去最高の63.59歳 最高齢は秋田県66.07歳、最年少は広島県62.45歳(株式会社東京商工リサーチ)
参考:事業承継・引継ぎポータルサイト(独立行政法人中小企業基盤整備機構)