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下請取引の適正化について経産省と公正取引委員会が関係事業者団体に要請

2024.11.18

経済産業大臣及び公正取引委員会委員長は、連名による文書で「下請取引の適正化について」関係事業者団体約1700団体に要請した。公正取引委員会及び経済産業省は、従前から、下請代金支払遅延等防止法(以下:下請法)に違反する行為に対して迅速かつ効果的に対処するとともに、下請法の普及啓発を実施している。物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響が国内景気を下押しするリスクとなっており、特に外的要因の影響を受けやすい立場である中小企業・小規模事業者に大きな影響があると推察。下請事業者と親事業者との間で積極的な価格交渉と価格転嫁を行うとともに、下請事業者への不当なしわ寄せが生じないよう、親事業者となる会員に対して周知徹底を図ることなどについて要請した。

親事業者の遵守すべきこととは?

今回出された要請文書には、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針や、約束手形の現金化までの期間短縮の推進、フリーランスと発注事業者間の取引適正化に向けた取組などが記載されている。その中から、ここでは「親事業者の遵守すべき事項」について紹介する。

出典元:(令和6年11月15日)下請取引の適正化について(公正取引委員会)

親事業者の義務
まず下請法第3条では、下請事業者に物品の製造や修理、情報成果物の作成又は役務提供を委託する場合、直ちに注文の内容、下請代金の額、支払期日、支払方法等を明記した書面(注文書)を下請事業者に交付することが義務付けられている。

さらに、下請法第5条では注文の内容、物品等の受領日、下請代金の額、支払日等を記載した書類を作成し、これを2年間保存することと定められている。

また、下請法第2条の2によれば、下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者から物品等を受領した日から60日以内において、かつ、できる限り短い期間内に定めなければならない。支払期日を守れなかった場合については下請法第4条の2で記されており、下請事業者から物品等を受領した日から起算して60日を経過した日から支払をするまでの期間について、その日数に応じ、未払金額に年率14.6パーセントを乗じた額を遅延利息として支払う必要がある。

親事業者の禁止行為
次に、親事業者に禁止されている行為についてだ。親事業者には下記の行為が禁じられている。

◾️受領拒否
◾️下請代金の支払遅延
◾️下請代金の減額
◾️返品
◾️買いたたき
◾️物の購入強制・役務の利用強制
◾️報復措置
◾️有償支給原材料等の対価の早期決済
◾️割引困難な手形の交付
◾️不当な経済上の利益の提供要請
◾️不当な給付内容の変更・やり直し

要請文書では下記のWebサイトが参考として記載されている。併せて確認していただきたい。

労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針(公正取引委員会)
(令和6年10月1日)手形等のサイトの短縮について(公正取引委員会)

まとめ

年末にかけて資金需要が高まる中、下請事業者においては一層厳しい資金繰りとなることが予測される。親事業者には下請代金をできるだけ速やかに支払い、下請事業者の資金繰りに支障をきたさないようすることが求められている。

親事業者にあたる企業は、ぜひこの機会に遵守すべき事項について改めて確認していただきたい。親事業者に違法性の認識がなく、それを下請事業者が了解していたとしても、法令に触れる可能性はある。十分に注意する必要があるだろう。