会計事務所のAI活用進まず「セキュリティ」に課題 ミロク情報サービス調査

財務・会計システムおよび経営情報サービスを開発・販売する株式会社ミロク情報サービス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:是枝周樹)は、全国の会計事務所および企業・事業主など1159名を対象に、生成AIに関する実情や考え方などを調査した。
調査概要
調査名:会計事務所白書 生成AIに関する実態調査 第2弾(会計事務所編/企業・事業主編)
調査主:株式会社ミロク情報サービス
調査対象:合計1159名(会計事務所(職員含む) 210名/企業のバックオフィスまたはIT担当者、事業主 949名)
調査期間 :2024年11月15日~2024年12月1日
調査エリア:全国
調査方法 :インターネット調査
出典元:生成AIの導入・活用に関する実態調査 第2弾【会計事務所白書】(株式会社ミロク情報サービス)
会計事務所と企業・事業主の生成AI活用状況

本調査結果を見ると、生成AIを使ったことがある会計事務所は39%(前回調査時37%)となっている。生成AIを使ったことがある企業・事業主は55%(前回調査時50%)で、会計事務所における生成AIの導入・活用が進んでいない様子がうかがえる。
続いて本調査では、未利用者を対象に今後の活用意向を尋ねており、会計事務所からは「いずれは使ってみたい(67%)」「すぐにでも使ってみたい(10%)」企業・事業主からは「いずれは使ってみたい(73%)」「すぐにでも使ってみたい(8%)」との回答が寄せられたことを報告した。
また、利用したことがある生成AIは会計事務所、企業・事業主ともに「ChatGPT」が最多であったという。なお、今後生成AIを活用したい業務としては、会計事務所の場合「データ分析(58%)」「文書や画像などのコンテンツ作成(45%)」「顧客対応(43%)」が上位に挙げられている。企業・事業主の場合は「データ分析(62%)」「文書や画像などのコンテンツ作成(59%)」が半数を超える回答となったことがわかった。
会計事務所・職場で生成AI利用にあたり困っていること

本調査では生成AI利用にあたり困っていることとして、会計事務所では「どのような生成AIを使用すればよいか分からない(50%)」「生成AIが業務でどのように活用できるか不明(48%)」との声が多く寄せられている。
また、企業・事業主では「生成AIが業務でどのように活用できるか不明(50%)」「職場で生成AIのルールが整備されていない(44%)」が上位に挙げられており、会計事務所、企業・事業主ともに導入を推進するための体制構築への悩みがうかがえる。
さらに本調査では生成AIを利活用するために取り組むべき課題について質問。会計事務所は「データのプライバシーとセキュリティの確保(55%)」がトップに。企業・事業主は「データのプライバシーとセキュリティの確保」と「従業員のスキルアップと教育」がともに61%でトップとなったことが判明。会計事務所、企業・事業主ともに「データセキュリティ対策」を課題として認識しているようだ。
まとめ
本調査結果からは、会計事務所において生成AIの導入にやや遅れがある様子がうかがえる。一方で今後の利用意向は高いことから、導入の障壁となっている体制の構築やセキュリティ面の課題を解消する取り組みがより重要となるだろう。
会計事務所と比較すればやや高い利用率となった企業・事業主だが、45%は未利用の実態も明らかになっている。生成AI導入に向けたさらなる支援が、社会全体の人手不足解消や生産性向上、経済成長へとつながっていくのではないだろうか。
経済産業省が2024年10月に公開した資料では、日本がデジタル投資に出遅れたことによるデジタル赤字が年々拡大しているとの指摘がなされている。経済・産業の将来の成長には、生成AIの社会実装が不可欠であり、複数年度に渡り大規模かつ戦略的な支援に取り組んでいくとの記載も見られた。今後政府がどのような支援策を打ち出していくのか、その動向についても注目したい。
参考:デジタル社会の実現に向けて(経済産業省)