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「コンプラ違反」倒産が増加!2024年の件数は前年比1.6倍 TSR調査

2025.01.29

株式会社東京商工リサーチ(以下:TSR)は、2024年に令違反などによる「コンプライアンス違反」で倒産(負債1000万円以上)が判明した企業を集計し分析。その結果を発表した。

前年比1.6倍で過去最多を更新

前年比1.6倍で過去最多を更新

TSRの発表によれば、2024年の「コンプライアンス違反」倒産は、過去最多の320件(前年比66.6%増)に達したという。前年の192件と比較すると1.6倍増と大幅な増加となっている。

TSRはこの数年間のコンプライアンス違反による倒産について、コロナ禍前の2018年は224件だったが、コロナ禍は各種支援策が奏功し、2021年は99件、2022年も109件と100件を挟んで低水準に推移したことを報告。しかし2023年には「税金関連:92件」「不正受給:23件」など、支援策の終了・縮小に伴い192件と一気に増加に転じたという。

2024年の「コンプライアンス違反」倒産の内訳は、トップが税金滞納等の「税金関連:176件(前年比91.3%増)」で、次いで、詐欺・横領、偽装などを含む「その他:73件(同30.3%増)」「不正受給:39件(同69.5%増)」「粉飾決算:20件(同42.8%増)」「雇用関連:12件(同71.4%増)」が続いている。

出典元:2024年「コンプライアンス違反」倒産 過去最多の320件 件数は前年比1.6倍、「税金関連」、「不正受給」が約7割(株式会社東京商工リサーチ)

各種分析結果

各種分析結果

TSRは続いて「産業別」「負債額別」「形態別」「都道府県別」の分析結果について、それぞれ下記の通り報告した。

◾️ 産業別
産業別の分析では「建設業:各5件(構成比各25.0%)」「卸売業:各5件(構成比各25.0%)」「製造業:4件(同20.0%)」「小売業:3件(同15.0%)」「サービス業他:2件(同10.0%)」「情報通信業:1件(同5.0%)」となっている。

負債額別
負債額別の分析では「10億円以上:16件(構成比80.0%)」が大多数を占めており「10億円未満:4件(同20.0%)」は20%にとどまる。

◾️ 形態別
形態別の内訳は「破産:12件(構成比60.0%)」「民事再生法:5件(同25.0%)」「会社更生法:2件(同10.0%)」「銀行取引停止処分:1件(同5.0%)」であることがわかった。

◾️ 都道府県別
都道府県別に見ると「大阪府:5件(構成比25.0%)」が最多。次いで「東京都:4件(同20.0%)」「宮城県、福島県、神奈川県、埼玉県、新潟県、茨城県、愛知県、石川県、京都府、奈良県、兵庫県:各1件」となっている。

まとめ

2024年、倒産件数が3年連続で前年を上回る中、コンプライアンス倒産も同様に3年連続の増加となったことが判明した。粉飾決算による大型倒産も相次いでおり、TSRによれば構成比は全体の3%を超えるという。

TSRはコロナ禍が落ち着いた2023年以降、コンプライアンス倒産の増勢が目立っていると指摘する。借入金の返済猶予など、事業継続に向けた支援の要請により粉飾が発覚するケースも多いようだ。

過剰債務や物価高、人件費の高騰など、苦しい状況に陥っている企業も多い中、TSRは事業再生が本番を迎える2025年はコンプライアンス倒産がさらに増勢をたどる可能性が高いと予測する。粉飾決算による倒産増加は金融機関の融資や支援にも変化をもたらす可能性があり、今後の動向も注視しておく必要があるだろう。