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1年以内に倒産する可能性が高い企業が全国で12万社以上 TDB調査

2025.02.04

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、今後1年以内に倒産する確率を個別企業ごとに算出したリスク指標を基に、全国の「高い倒産リスクを有する企業」について調査・分析を行った。

倒産リスクが高い企業群は全国で12万6960社

倒産リスクが高い企業群は全国で12万6960社

TDBの報告によれば、2024年の倒産件数は9901件となり、前年の8497件を1404件上回っている。融資返済や物価高、人手不足など様々な環境の変化により、3年連続前年を上回る倒産が発生。休業・廃業、解散した企業も6万9019件と、前年に比べて9914件・16.8%の大幅増加であったという。

そうした中でTDBは、現地現認の信用調査と、独自のネットワークによる変動情報などを集積した帝国データバンクが保有するビッグデータから、倒産に関係が深い要素だけに焦点を当て、独自の統計モデルにより「倒産予測値(※)」を算出。企業が1年以内に倒産する確率を10段階のグレードで表す指標「倒産予測値」算出の147万社のうち、2024年12月時点で高リスク企業(グレード8~10)は全体の8.6%にあたる12万6960社であったことを発表した。なお、2023年12月時点の12万7280社と比較すると320社の減少となったことも報告されている。

TDBは売上高別の分析結果について「1億円未満:8万1430社」「1~10億円未満:4万1168社」と「10億円未満」の企業で全体の96.5%を占めたことに着目。従業員数別も同様の傾向がみられており「5名未満:7万9873社」「5人~10人未満:2万886社」となったことから、高リスク企業は小規模企業が圧倒的に多いことを指摘している。

※倒産予測値とは:今後1年以内に倒産する確率を個別企業ごとに算出したリスク指標

出典元:全国企業「倒産リスク」分析調査(2024年)(株式会社帝国データバンク)

業種別「建設業」が最多 次いで「製造業」「小売業」

業種別「建設業」が最多 次いで「製造業」「小売業」

TDBは業種別の分析結果についても報告。高リスク企業数は『建設業:2万8817社』が最も多く、前年と比較すると4445社増加したという。次いで『製造業:2万8571社(3303社増)』『小売業:2万6464社(2197社減)』が続いた。

さらに業種を細かくみると「職別工事業:1万4301社」「運輸業:1万1828社」「総合工事業:1万785社」「飲食店:1万134社」「飲食料品小売業:9159社」が上位に並んでいる。

高リスク企業の割合としては「飲食店(44.4%)」「飲食料品小売業(39.8%)」が、業界全体の4割前後が高リスク企業の業種であることが判明。「出版・印刷・同関連産業(34.6%)」は、近年のペーパーレス化・デジタル化の波を受け3社に1社が高リスク企業となったことが報告された。

TDBは注目業種の高リスク企業割合について、過去からの推移も報告しており「飲食店」「飲食料品小売」「運輸業」は2023年と比較すると低下したという。しかし、コロナ禍前の2019年と比べると高リスク企業の割合は2倍以上に増え、高止まりしている実態があるようだ。

まとめ

物価や人件費の高騰が続く中、企業にとっては厳しい状況が続いており、倒産リスクが高い企業数はほぼ横ばいで推移していることが明らかになった。業種によっては高リスク企業の割合が4割を超えており、コロナ禍前と比較するとその割合は2倍以上にも及ぶという。

今後の見通しとしてTDBは「あきらめ倒産」の増加や「ゾンビ企業」の淘汰が進むとの見解を示しており、市場の新陳代謝が加速すると予測する。市場の変化を新たなビジネスチャンスとできるかどうかが、今後の生き残りを左右するひとつのポイントとなりそうだ。