国内景気3カ月ぶりに悪化、小規模企業ほど厳しい状況に TDB調査

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、全国2万6765社を対象とした2025年1月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表した。ここでは企業規模別の景気動向について紹介する。
2025年1月の国内景気が前月比0.9ポイント減で3カ月ぶりに悪化

TDBの発表によると、2025年1月の景気DIは前月比0.9ポイント減の43.6となり、3カ月ぶりに悪化したという。低調な個人消費が大きく下押ししており、相次ぐ値上げの悪影響が表れた2023年1月以来2年ぶりの下落幅であることが報告された。
TDBは悪化要因として、個人消費の低迷、燃料・原材料価格の上昇や人手不足などを挙げている。ガソリン補助金の縮小はコスト増加を招き、年末年始の連休明けで需要が落ち着いた国内旅行も悪化。日本銀行による政策金利の引き上げなども悪化の要因となったようだ。一方で、好材料としては引き続き好調なインバウンド需要や、自動車部品生産の復調があるという。
TDBは今後の見通しとして、実質賃金の継続的な上昇と個人消費拡大の好循環への動きに注目しているようだ。日銀の金利引き上げにともなう借入金利の上昇や燃料価格の高騰など、企業のコスト負担の増加、家計の節約志向の高まりも懸念され、国内景気の上昇は厳しいとみられている。そのほかリスク要因として、関税を含む米トランプ大統領の経済政策や中国経済なども挙げられるが、好材料として観光産業の伸長や設備投資の拡大はに期待が寄せられている。
3カ月ぶりに全ての規模が悪化 小規模企業ほど大幅減

「大企業」(48.1):前月比0.6ポイント減
大企業ではインフルエンザの流行や家計の節約志向が要因となり、大きな落ち込みを見せた「サービス」が全体を下押ししたほか、自動車製造の厳しさは関連業種への波及をみせた。
「中小企業」(42.8):前月比0.9ポイント減
中小企業は、ガソリン補助金の縮小などによるコスト増の影響が大きかった「運輸・倉庫」や、受注量の伸び悩みや部品価格の上昇を受けた「製造」「卸売」が大きく悪化し、3カ月ぶりの悪化となった。
「小規模企業」(41.5):前月比1.1ポイント減
2カ月連続での悪化となった小規模企業。大・中小企業と比べてもその下落幅は大きく、唯一1ポイントを超える減少となっている。
調査概要
調査期間:2025年1月20日~1月31日
調査方法:インターネット調査
調査対象:調査対象2万6765社、有効回答1万1014社、回答率41.2%
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:2025年1月の景気動向調査(株式会社帝国データバンク)
まとめ
2023年1月以来2年ぶりの下落幅となった国内景気。コスト負担の増加や家計の節約志向の影響が大きいようだ。TDBは今後の注目要素として「トランプ2.0」を挙げている。第1次トランプ政権時には、景気DIが過去最高の51.1を記録したとして、第2次トランプ政権にも世界経済の上向きを期待する声が寄せられているという。
一方では、関税政策による悪影響も危惧されており、厳しい状況に拍車がかかる可能性も懸念される。TDBは今後の景気には下振れ材料が多いとしながらも、横ばい傾向での推移となる予測を発表している。各種動向に今後も注目したい。