約8割の企業がメンタルヘルス管理を重視も、約5割で課題が顕在化 jinjer調査

クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供しているjinjer株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:桑内孝志)は、企業の人事担当者の計360名を対象に「従業員のメンタルヘルスとエンゲージメントの測定・改善」に関する調査を実施。多くの企業が従業員の健康を重要な経営課題と捉える一方で、休職や離職といったメンタルヘルス起因の問題が依然として顕在化している現状があると同社は指摘。さらに、エンゲージメントの向上についても多くの組織で重要なテーマとなっているとの考えから、企業におけるメンタルヘルスとエンゲージメントの測定・改善の現状を明らかにした。
調査概要
調査概要:従業員のメンタルヘルスとエンゲージメントの測定・改善に関する実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年3月28日~同年3月30日
調査対象:企業の人事担当者 計360名
出典元:jinjer株式会社
従業員のメンタルヘルス管理を約8割が重視 把握方法は「ストレスチェック」が最多

本調査では、人事制度において従業員のメンタルヘルス管理をどの程度重視しているか質問。その結果「非常に重視している(30.8%)」「ある程度重視している(46.7%)」を合わせた77.5%の企業が「重視している」と回答したことが明らかになった。
従業員のメンタルヘルスの把握方法については「ストレスチェック(法定)(70.0%)」「健康診断の結果分析(49.7%)」「定期的な1on1面談(46.7%)」「職場の心理的安全性評価(31.1%)」が多いようだ。
また、直近1年間で、メンタルヘルス関連の課題が顕在化したことがあるか尋ねる項目では、49.4%の企業が「はい」と回答したことが判明。また「どちらとも言えない」と回答した2.2%の企業からは 「上が取り上げてくれず、揉み消されるので、顕在化しない」「ストレスを我慢し過ぎて体調を崩す社員を散見した」といった声も寄せられたという。
従業員エンゲージメントの測定・把握方法と向上のための施策

続いて本調査では、従業員エンゲージメントの測定・把握方法について質問、「アンケート・サーベイを通じて把握(従業員満足度、組織診断サーベイ、eNPS等)(53.1%)」「面談や目標の進捗を通じて把握している(45.0%)」が上位となった一方「現時点では特に測定していない(26.1%)」との声も一定数みられている。
エンゲージメント向上のために実施中の施策としては「メンタルヘルスサポートの充実(カウンセリング・相談窓口の設置等)(46.7%)」「柔軟な働き方の導入(リモートワーク・フレックス制度等)(42.2%)」「評価制度の改善(360度評価・キャリアパスの明確化等)(31.9%)」「社内コミュニケーションの促進(社内イベント・交流機会の増加等)(31.9%)」が上位に。一方この設問においても「特に実施していない(21.1%)」との回答も一定数寄せられていた。
メンタルヘルスやエンゲージメントに関するデータの活用方法と課題

次に本調査では、メンタルヘルスやエンゲージメントに関するデータの活用方法について質問。「個別フォロー・ケア(従業員のサポート・1on1)(41.1%)」「人事分析・データの可視化(メンタルヘルス関連の休職・離職率の推移分析等)(40.0%)」「施策の実施・環境改善(ストレス対策、職場環境改善)(36.9%)」が多いようだ。
一方で、メンタルヘルス×エンゲージメントの取り組みを進める上での課題として「収集したデータをどのように分析・活用すべきかわからない(30.6%)」が最も多く挙げられている。次いで「社内リソース(時間・予算・人員)の不足(29.4%)」「メンタルヘルスやエンゲージメントに関するデータの取得方法が確立されていない(26.9%)」「適切なKPI設定が難しく施策の効果を測定できない(25.6%)」が続いている。
今後のメンタルヘルス×エンゲージメントの取り組みで、データを活用するために期待することの最多意見は「メンタルヘルスとエンゲージメントを統合的に向上させる施策の具体例(36.9%)」となったという。
まとめ
本調査では多くの企業がメンタルヘルスケアを重要視しているにも関わらず、半数近い企業で関連する課題が顕在化することが明らかになった。ストレスチェックや健康診断の結果を分析し、メンタルヘルスを把握しているという企業が多いが、分析後のデータの活用まで十分に取り組めていない可能性があると推察される。
メンタルヘルス×エンゲージメントの取り組みを進める上での課題としても「データの分析・活用方法がわからない」との回答がトップとなっており、データの取得方法やKPI設定への課題感もみられた。
メンタルヘルスとエンゲージメントの可視化・分析は、今や組織の改善において欠かせない取り組みとも考えられる。特に重要なのは、可視化した後にどう改善へ繋げるかだろう。厚生労働省は2024年「働く人のワークエンゲージメント向上に向けた支援事業」に取り組み、企業の先進的な取組事例について紹介するハンドブックを公開した。併せて参考にしていただきたい。
参考:働きがいのある職場づくりのための支援ハンドブック(厚生労働省)