中小企業のAI活用「経営層の理解不足」大きな障壁に ラクスル調査
生成AIの活用が企業の競争力を左右する要素となる中、中小企業では経営層の理解や推進体制が十分に整っていない実態が明らかになった。ラクスル株式会社(本社:東京都港区)は、従業員数2~100名規模の中小企業300名を対象にAI活用に関する実態調査を実施。経営層がAIを利用していない企業では、組織的な活用方針や推進体制が整備されていないケースが多く、AI活用の遅れにつながっているとの調査結果を報告した。
調査概要
調査期間:2026年5月29日~2026年6月1日
対象者:従業員数2~100名の中小企業経営者・従業員300名
調査方法:第三者機関インターネット調査
出典元:経営層がAIを使わない中小企業、85.7%が「AI活用の方針・体制なし」(ラクスル株式会社)
AI活用経験は7割超も、積極活用は3割にとどまる
本調査では、業務でAIを活用した経験がある人は73.3%に。その一方で「積極的に活用している」と回答した人は31.0%にとどまり、AIが日常業務に定着している企業はまだ限定的であることが分かった。
また、IT企業では53.0%が積極的に活用しているのに対し、IT企業以外では20.0%と33ポイントの差が生じた。
年商3000万円未満の企業では21.5%、年商1億円以上では35.1%となり、業種や企業規模による活用格差も明らかになっている。
AI導入の課題「使い方」ではなく「必要性を感じない」
AIを利用していない、あるいは利用をやめた理由として最も多かったのは「必要性を感じない(55.8%)」だった。「使いこなせる自信がない(20.0%)」や「使い方が分からない(13.7%)」を大きく上回っており、スキル不足よりも導入意義への理解不足が課題となっていることがうかがえる。
特に「必要性を感じない」と回答した人の職種では「経営・経営企画(45.3%)」が最多となったほか「総務・庶務・事務(22.6%)」「人事・労務(17.0%)」「経理・財務(15.1%)」などバックオフィス部門も一定割合を占めた。
また、自身の業務にAIをどう組み込めるか「あまり把握できていない」「全く把握できていない」と回答した人は57.3%に上り、具体的な活用イメージの不足も浮き彫りとなった。
経営層がAIを使わない企業「推進体制の未整備」が顕著
続いて、役職別の回答を集計、分析。「代表・役員」は、AIを「積極的に活用している」と回答した割合は27.2%と最も低く「全く使っていない」は22.8%で最も高かった。
さらに、代表・役員がAIを全く利用していない企業では、85.7%が「AI活用の方針も推進体制もない」と回答。一方、経営層が積極的に活用している企業では同回答は4.0%にとどまり、「経営層のAI活用が組織全体の環境整備」に大きく影響していることが示された。
また、年商3000万円未満の企業では「AIを使いこなせる人材が社内にいない」と回答した割合が55.4%となるなど、小規模企業ほど人材・体制の両面で課題を抱える傾向も見られた。
まとめ
AI活用を組織に定着させるには、現場任せではなく経営層の理解と方針が重要であることが改めて浮き彫りとなった。
社内のDXや業務改善において、部門ごとの活用事例を積み重ねるだけでなく、その効果を経営層へ伝え、全社的なルール整備や推進体制の構築を進めることが重要だろう。AI活用を組織全体で推進していきたい。












