「中小企業の夏季賞与」物価高と人材確保のために約3割が増額 エフアンドエム調査
株式会社エフアンドエム(本社:大阪府吹田市、代表:田中康二)が運営する中小企業総合研究所は、中小企業2712社を対象に2026年夏季賞与の支給実態を調査した。8割超の企業が夏季賞与を支給しており、昨年度から「ほぼ変わらない」が約6割を占める一方、増額した企業は約3割となった。背景には業績だけでなく、物価上昇や人材確保、ベースアップへの対応があることが分かった。
調査概要
調査期間:2026年6月1日〜6月30日
有効回答数:2712社
調査対象:エフアンドエムクラブ会員企業
出典元:中小企業の2026年夏季賞与支給に関する実態調査(株式会社エフアンドエム)
夏季賞与は8割超が支給 増額理由は物価高や人材確保
本調査では、2026年夏季賞与を支給した企業は8割を超え、正社員1人当たりの支給額は20万円台から30万円台が中心だった。10万円台から50万円超まで幅広く分布しており、企業ごとの差が大きい実態も明らかとなった。
昨年度と比べた支給額は「ほぼ変わらない(61.9%)」が最多。増額した企業は約3割で、減額した企業を大きく上回った。
増額理由は「物価上昇など経済環境への対応(52.9%)」「人材確保・定着(48.5%)」「基本給のベースアップ(47.4%)」が上位に挙がり「業績が好転したため(39.1%)」を上回っている。
減額は業績悪化が最多 評価基準の整備も課題
一方、賞与を減額した企業では「業績が悪化したため(72.3%)」が突出して多く、増額時よりも業績が賞与額へ与える影響が大きいことが示された。また、非正規従業員への賞与支給は「支給する」「支給しない」がほぼ半数ずつに分かれている。
賞与の支給方法は「個人評価によって変動(57.6%)」が中心だったものの、運用上の課題では「賞与査定基準の設定(35.1%)」が最多に。評価制度を導入していても、従業員が納得できる基準づくりや説明の難しさを感じる企業が多いことがうかがえる。
まとめ
今回の調査から、中小企業では業績だけでなく、物価高や人材確保への対応を目的として賞与を増額する動きが広がっていることが分かった。一方で、業績悪化時には賞与が見直されやすく、継続的な待遇改善には経営状況が大きく影響することも明らかになっている。
企業としては賞与額も含めた評価制度や人事考課の基準を明確にし、従業員へ納得感のある説明ができる仕組みづくりを進めることが重要だろう。また、賃上げや福利厚生を含めた人材定着施策との整合性を確認し、採用競争力を高める制度設計を検討することも欠かせない。
賞与は従業員のモチベーションや定着率に直結する重要な制度である。経営状況と人材戦略の両面を踏まえた制度運用と、従業員が納得できる評価・説明体制を整えていきたい。














