役員の86%「準備不足のまま就任」幅広い学びに課題感 グロービス調査
株式会社グロービス(本社:東京都千代田区、代表取締役:堀義人)は、国内企業の役員290名を対象に「役員育成に関する実態調査」を実施した。
調査概要
調査名:「役員育成に関する実態調査」
調査期間:2026年5月
調査方法:Webアンケート(当社と接点のある企業の役員層に配信)
調査対象:国内企業の役員層(取締役・執行役員等)※うち社外取締役経験者を含む
有効回答:290名(うち社外取締役経験者61名)
出典元:役員育成に関する実態調査―役員290名への調査で見えた、育成の“空白”と経営の設計課題―(株式会社グロービス)
※本調査は、グロービスと接点のある企業の役員層を対象としたものであり、全役員層の代表値ではなく、役員育成に関する実態や傾向を把握するための参考値として扱っている
役員の約86%「十分な準備なく就任」
本調査では、役員就任時に「体系的で十分」な準備機会があったと回答した人は14.1%にとどまった。「独学・手探り(42.1%)」「一定あったが不十分(43.8%)」と、85.9%が十分な準備機会がないまま役員に就任している実態が明らかになった。
また、企業規模を問わず「体系的で十分」と回答した割合はいずれも15%以下に。就任1年未満の役員でも約71%が準備不足を感じており、役員就任後も十分な育成機会が整っていない状況がうかがえる。
管掌を越えた全社視点にも課題
役員が難易度の高い経営課題として挙げた項目では「次世代リーダー育成・組織文化変革(68.3%)」が最多に。次いで「既存事業の再定義・収益改善」と「デジタル・AIによるビジネスモデル変革」がともに56.2%「新規事業の創出・多角化」が55.5%となっている。
さらに、管掌領域以外の経営テーマへの関与については「一部テーマに不安がある(45.2%)」「関与できていない(18.9%)」と、合わせて64.1%が何らかの課題を感じていることが判明。役職別では、管掌外のテーマに「積極的に関与できている」と回答した割合が取締役では約52%だったのに対し、執行役員では約18%にとどまった。
関与の障壁としては「該当領域に関する体系的な専門知識の不足」が39.7%で最多に。「最新トレンド・技術知見の不足(27.9%)」「他の担当役員への遠慮や、役割分担の意識(26.9%)」が続いている。
学びたい領域は複数も「多忙」が最大の壁
今後知見を強化したい領域では「DX・AIの戦略活用(64.8%)」「組織変革・次世代育成(63.4%)」が上位に。役員1人あたりの選択数は平均3.2領域に達し、幅広いテーマについて知見を深めたいニーズがあることが分かった。
一方、学びの時間を確保する際の障壁では「スケジュール確保(多忙)(61.0%)」との声が最も多く挙げられている。また、これまでの経験から成長に最も寄与した学習手法は「他流試合(58.3%)」が、参加したい学習形態では「短時間・高頻度(月1回2時間)(48.3%)」が、それぞれ最多となっている。
さらに本調査では、社外取締役経験者61名のうち約87%が、経営陣のスキル不足が取締役会での議論の質や意思決定スピードに影響すると回答。役員個人の能力開発だけでなく、取締役会や経営チーム全体の実効性を高める観点からも、役員育成の重要性が示された。
まとめ
本調査では、役員の約86%が十分な準備機会がないまま就任しており、役員就任前後の体系的な育成に課題があることが明らかになった。また、DX・AI、組織変革、次世代リーダー育成など、役員が知見を強化したい領域は複数にわたる一方、61.0%が「多忙による時間確保」を学びの障壁として挙げている。
役員への就任前後のオンボーディングから継続的な学習、管掌を越えた全社視点での対話までを一貫して設計する必要性や重要性が示唆された、本調査。限られた時間でも継続的に学べる機会を整えるなど、これまで従事していた業務の専門性だけでなく、経営陣のひとりとして活躍できる土壌をはぐくむことが求められる。









