AI活用は4割超も「研修未受講」65%、ガバナンスに課題 NAVEX調査
NAVEXは、日本のビジネスプロフェッショナル500名を対象に、職場におけるAI活用とガバナンスに関する調査を実施した。調査では、AI活用の広がりに対してガバナンス体制の整備が追いついていない実態が浮かび上がった。
調査概要
調査名称:AI活用とGRC体制に関する実態調査
調査対象:日本国内の企業・団体で働くビジネスパーソン
勤務先の業種:製造、流通・小売、サービス、IT・通信、金融、不動産・建設、医療・ヘルスケア、公共・教育
有効回答数:500名(管理職150名、非管理職350名)
管理職定義:課長相当以上、または同等の職位
調査方法:インターネット調査
調査期間:2026年5月26日~2026年5月28日
調査主体:NAVEX
出典元:NAVEX の調査結果が明らかにした、日本における職場での AI 活用と GRC フレームワークの実態(NAVEX)
AI利用は4割超、管理職では6割に迫る
職場でAIを「毎日利用している」「週に数回利用している」「月に数回利用している」と回答した人は合わせて43%となった。一方「めったに利用しない(21.6%)」「全く利用しない(35.4%)」と、57%は日常的にAIを利用していないことが判明している。
ただし、管理職に限るとAI利用率は59.4%まで上昇し、非管理職の36%を大きく上回った。役職によってAI活用の浸透度に差が生じているようだ。
また、AIの安全な利用に関する研修について、何らかの研修を受けた人は16.2%にとどまり、65.2%は「研修を受けていない」と回答した。管理職でも研修を受けた割合は24.6%で、非管理職の12.5%を上回るものの、十分に高いとはいい難い結果となった。
AIガイドライン「知らない・ない」が67%
さらに本調査では、AIが生成したアウトプットの倫理的妥当性について、何らかの確認を行っている人は66.3%だった。AIの誤情報や情報漏洩などのリスクを踏まえると、生成された内容を人が確認するプロセスを明確にする必要がありそうだ。
また、AI利用のリスクについて「十分に理解している」「ある程度理解している」と回答した人は46.2%と半数を下回っている。管理職では62.7%に上る一方、非管理職では39.1%にとどまった。
AI利用に関するガイドラインについては「ガイドラインは提供されていない(37%)」「存在するかどうか分からない(30.2%)」という結果に。合わせて67.2%が「ガイドラインを利用できる状態にある」と認識していないことが判明している。
「シャドーAI」の経験は管理職で36.7%
続いて、勤務先の許可を得ずにAIを使用した経験について質問。その結果「常に」「頻繁に」「時折」と回答した人は合わせて22%だった。さらに管理職では36.7%に達し、非管理職の15.8%を大きく上回っている。
AI利用に関する承認・確認プロセスについても、72%が明確なプロセスの存在を認識していないと回答。管理職ではプロセスが確立・運用されている、または策定中と回答した割合が39.4%だったのに対し、非管理職では23.1%にとどまった。
さらに、組織内の不正行為や新たなリスクの早期兆候を深刻化する前に見抜けることについて「非常に自信がある」「ある程度自信がある」と回答した人は16.2%だった。管理職では27.3%だった一方、非管理職では11.4%にとどまり、リスクへの対応力についても役職間で認識の差が見られる結果となった。
まとめ
AIの活用そのものが急速に進む一方で、研修やガイドライン、承認プロセスといった「安全に使うための仕組み」が十分に整っていない実態が明らかになった。特に、非管理職ではAI利用やガバナンスに関する認識が管理職より低く、経営層や管理職が把握しているルールが現場まで届いていない可能性がある。
総務部門としては、AI利用に関するルールを作成するだけでなく、実際にAIを利用する従業員が「何をしてよく、何をしてはいけないのか」を具体的に判断できる環境を整えることに注力したいところだ。AIへの入力情報や生成物の取り扱い、利用可能なツール、承認が必要となるケースなどを明確にしたうえで、研修や社内周知を通じて継続的に浸透させることが重要だろう。
また、許可を得ない「シャドーAI」の利用が管理職でより多く見られたことから、単に利用を制限するだけではなく、業務効率化につながるAI活用を安全な範囲で促す仕組みづくりも必要だと考えられる。AIの活用を止めるのではなく、現場の利便性と情報管理、コンプライアンスを両立できるGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)の体制を構築していきたい。










