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新入社員の指導・育成は「理解させるな、覚えさせろ」

 新年度に入り沢山の新入社員がみなさんの職場にも入ってきた頃だと思います。
街中で新入社員が名刺やチラシを配っている光景を目にして、「こういう季節が来たな」と昔を懐かしんでしまいます。しかし、そんな彼らを教育する立場の先輩社員のみなさんはこれからが大変ではないでしょうか?

 最近の流行りの言葉で、「老害」という言葉があるそうです。「老人が害をまき散らしている?」と思いがちですが、先輩社員が新入社員にアドバイスしただけでこのように受け止められてしまうそうです。

 「もしかして、あなたも老害行為をしていませんか?」
 これは受け止める側の問題なので、いくら親切心で丁寧にアドバイスをしても老害認定されればアウトです。そうなれば職場の雰囲気も悪くなりますし、職場の生産性も向上しません。業績の向上も見込めません。

 そこで今回は職場の生産性向上を、”やり方”や”ツール”ではなく別の角度からお伝えしたいと思います。

教える側にとって最も大切なこと

 デジタルネイティブな新入社員にとって、みなさんの職場は古臭く感じるかもしれません。スマホひとつで何でも出来てしまう彼らにとって、IT化されていない職場環境には衝撃を受けるかもしれません。これによって、シャドーIT (*1) の問題が出てくる可能性が増えてしまいます。

 しかし、与えられた環境で仕事をするのがプロである社会人です。では、どのようにしてこのジェネレーションギャップのある彼らに仕事を教えるのか?

 それは、「覚えさせる」ことです。

 また答えが簡単すぎてすみません。よく言われているのは、「相手は理解しないと動かない」「納得させてから指示を出せ」なんて言われますが、そもそも経験もなく仕事のやり方が分からない新入社員に対して理解してもらうことが不可能なのです。当然、何でこの作業をするのかを考えたり、全体を見回して必要性を感じたりすることは大事です。その人の腑に落ちることが望ましいです。

 しかし、その為にあの手この手を使って相手に理解させようということ自体が違っていたのです。親切心から相手にわかってもらおうと過去の成功事例や「俺の若い頃は~」が始まってしまうと完全に「老害」に陥ってしまいます。

 教える側のやることは作業を覚えさせること。そして、教わる側は「先ず覚えること」、そしてその先で「理解すること」、さらにその先で「効率を上げること」、と繋がっていきます。

 若手に限らず教わる側に必要な要素は、「素直さ」と「謙虚さ」です。よく言われているのが、「バカは育つ」と。賢い人は素直に物事を受け入れることができず、自分のフィルターを通してしまいます。多くのフィルターを持っている人は素晴らしい人ですが、教わる立場になった時にそのフィルターが弊害になります。

 それに比べて何も知らない人は、何も分からないので全てを実行し、吸収しようとします。従って、自然と成長していきます。歳を取れば取るほど素直に人の話を聞き入れにくくなりますが、小さなプライドを捨てて相手に耳を傾けることが、教わる側の必要な要素になります。

IT化が進む現代。今後の会社の在り方とは

IT化が進む現代。今後の会社の在り方とは

 さて、話を戻しますと、いい人ほど「老害」に認定されてしまうことが残念ですが、現実から目を逸らすこともできませんので、職場の生産性アップの為に第一段階として「老害」に気を付けてください。

 そして、職場のIT化が進めば無駄なやり取りも減りますし教育も楽になります。何故なら、最近の若者は電話でのコミュニケーションを嫌うそうです。ITツールを使って無駄なやり取りを少しでも減らすことが、コミュニケーションにとっても労働生産性にとっても大事な時代になっています。

 そんな中、一番の痛手はこの人手不足の時代に退職者が出てしまうことです。如何にしてこの最悪の事態を防ぐか?下の図をご覧ください。

 あなたの会社は今どのフェーズまで出来ていますか?

 うちは2.5くらいです。(笑)
 第2段階くらいからセキュリティー対策も考えましょう。

 この図は、今後の会社の在り方を簡単に纏めています。最近の大手銀行のニュースを見て分かる通り、何千人分の作業量が減りました。来年度はさらに何千人分の単純作業を減らします。なんていう話は必然的な流れです。この図でいうとまだ第2段階です。AIやRPAで人間の仕事がなくなると言う人がいますが、人間の「無駄」な仕事が無くなるだけで、大事な仕事は残ります。(何れ無くなるかも笑)

 気にしなければいけないのは将来を不安に思うのではなく、自分も進化していけばいいだけのことです。今後、この図のように進化していくことは間違いありません。

 人間は変化を嫌う動物です。この図の流れに沿って生きていくと考えると面倒です。しかし、時が流れればみんな慣れていきます。慣れて追いつくよりも時代に先駆けて自分を成長させることの方が自分の価値が上がります。

 この会社の環境づくりは、経営者から発信され総務部が担っていくことになります。みなさんの役割は重大です。会社の仲間の為により良い環境作りを頑張ってください。

これからの時代に必要な考え方とは

 最後に、図の第5段階に書きました「全従業員が経営者目線でビジネスを考える」に触れます。

 俗に言われているビジネスマンとサラリーマンの違いは分かりますか?
 サラリーマンは、読んで字のごとくサラリー(給与)を持って帰る人です。
 どういうことか?給与の為、生活の為に働いている人です。至極当たり前です。

 しかし、上記にあった通り単純作業がなくなり、簡単な作業をお金の為にする時代が終わります。これからの仕事はビジネス(事業、商売)を意識して、全従業員が採算を考えながら仕事をしていく時代になります。

 今まで会社の数字はなかなか全従業員に行きわたらずブラックボックス化していました。しかし、ITの発達によりあらゆる情報が見える化できるようになりました。これからの経済、会社の環境、仕事の在り方、働き方がもの凄い速いスピードで変化していきます。変化はチャンスなのでみんなで頑張ってチャンスをつかみましょう!

さて、第5段階に到達した時に世の中がどうなっているのか不安です。(笑)


[注釈]
(*1) シャドーIT・・・企業側が把握していない状況で従業員がIT活用を行う事を指す。 アクセスを許可されていない自宅のPCなどで、会社の情報にアクセスをしたり、仕事をしたりすること。

<岡田 郁二 氏:その他コラム記事>
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