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業務改善に一役買う「ワーク+フロー」とは?

2020.07.09

2回目となる本稿では「ワークフロー」という言葉を知っていただいたのに続いて、具体的な業務に照らし合わせてワークフローをより知っていただき、業務改善に役立てる方法についてお伝えします。

ワーク=業務、フロー=業務の流れ

 まずは前回の記事のおさらいから簡単に始めましょう。前回の記事では簡単な申請業務を例に、「ワークフロー」という言葉を説明しました。

 前回取り上げた例:申請業務の流れ(申請業務の一連の流れ=ワークフロー)
Aさんがある申請をしたいときに申請書を書く(書類作成業務)
→課長に渡して(課長は承認業務を行う)
→部長から決裁をもらう(部長は決裁業務を行う)

 図とこの例が示す通り、ワーク=業務、フロー=業務の流れのことです。申請業務ではなく「申請の“ワークフロー”」というと何か新しい仕事なのかと思うかもしれませんが、皆さんがいつもやられていることの言葉を置き換えているだけなのです。ただし言葉を置き換えただけではありますが、「ワークフロー」という言葉で業務の全体像を把握しやすくする効果があるとお伝えしました。

 今回はワーク=業務、フロー=業務の流れ、それぞれ具体的にはどのような対象があるのか、一緒に確認していければと思います。

「ワーク=業務」の具体例

 実は「~~業務」と名のつくものはほとんどすべてワークフローのワーク=業務の部分に当てはめることができます。
 
 例えば、総務であれば物品購入や資産管理(モノの管理)、経理であれば経費精算や債権管理(カネの管理)、人事であれば入退社や異動の管理(ヒトの管理)をそれぞれ行っているかと思います。こうした申請書の管理業務も一つのワークフローで成り立っています。
 
 「じゃあこの業務もワークフロー?」と興味がわいた方はぜひこちらのリンクをご覧ください。

ワークフロー申請書集(サンプルフォーム)

 これはワークフローシステムを開発・提供するエイトレッドが、業種・業界を超えて13年間専業でワークフロー事業に取り組んできた結晶と言える申請書集です。様々な企業で行われている様々な業務を定型化し、書類のテンプレートとして公開しています。
 
 これらの申請書は実際にワークフローシステムの中で使われ、業務が回っているものばかりです。社内で使っている紙に近い書類を見つけられたら、それはどこかの企業で業務としてシステムにより運用されているということです。
 
 もちろん企業によって特殊な業務はありますが、業種・業界問わずどの企業も必要な運営業務を担うバックオフィスの領域では、この中から自社の業務に近い書類を見つけられるのではないでしょうか。

 すでに一般化されて公開されている、つまり定型化されているというのは非常に重要で、定型化していく過程で業務のムダ・ムラを見つけることができ、システム化の準備にも繋がります。

「フロー=業務の流れ」の4パターン

 この段落から、フロー=業務の流れの4つのパターンについてお伝えします。
 
 前段までで、身の回りの業務はおおよそワークフローに当てはめて整理、定型化していけるということが分かりました。もう一つ重要なのはフロー=業務の流れ、つまり確認や承認、決裁と情報伝達をどのように整理するかという問題です。

 このフローを整理するためにまず、フローの分類を見てみましょう。フローはその流れ方からおおよそ次の4つに分けられます。

1. 直線型
2. 指名型
3. 条件分岐型
4. 並列型

 以下で順を追って説明していきます。

1.直線型

 直線型のワークフローは、すでにお伝えしている通り、申請者(起票、申請)→課長(承認)→部長(決裁)というシンプルな流れのものを指します。途中でルート(ワークフローの道筋とお考えください)以外の人の承認が求められるような分岐をしたり、複数人が同時に承認を行ったり、複雑な流れは発生していません。このようなワークフローの場合は役職や役割、直接個人を指定してワークフローを回付します。人数が増えても、部署等をまたいでも同じです。

2.指名型

 こちらは1の派生形と考えてください。直線型でフローが進んでいても、途中でAさんが「今回の内容であれば、Bさんにも確認をしてもらわないといけないな」と気づいたとします。その際、決められたワークフローであっても、Aさんは途中でBさんを指名してそのワークフローに入ってもらうことがあります。また単純に申請から次々指名を繰り返して承認を行うパターンも該当します。
 
 どちらかというとルーティーンの業務というよりは、毎回参加者が異なる会議の議事録を回付したり、新しい企画を申請したりする際に確認して欲しい関係者を都度追加していくパターンと言えます。

 本当は直線型や以降で説明するパターンのワークフローがすでに職務権限規定などで定義されていても、ワークフローの定義が組織内で曖昧である場合には結果的にこの指名型で運用されている場合もありえます。先にご紹介したように、定義されたワークフロー以外にも必要があれば途中で承認者を追加しても問題はないのですが、都度指名の場合には手間も増え、本当に必要な人がワークフローから漏れるリスクもあります。
 
 ワークフローシステムを使うと、全員が予め決められたワークフローのルートと承認・決裁者を把握することができます。その上で、それでも必要な場合には指名型のパターンを使うとよいでしょう。

3.条件分岐型

 条件分岐型は、金額や起案する申請内容によってワークフローのルートが複数用意されているパターンです。図がまさにそれを表しているのですが、大きい金額になればより高い職位の方の承認が最終承認前に必要になる例です。職務権限規定で定められた範囲に沿ってワークフローを分岐させて決裁するイメージです。
 
 図では決裁までに1人~3人の承認で完結するワークフローになっていますが、大企業や大規模なプロジェクトにおいてはより複雑で人数も多いルート設定が必要になることもあります。
 
 この分岐の条件は申請者の属性や申請内容のキーワードなどにより、細かな要件が存在します。それをシステム化しないで実現しようとすると、コミュニケーションが混乱しないように都度誰かが交通整理をしながら申請や稟議を回さないといけません。

4.並列型

 組織が大きくなり複数の部署などが関わるような場合では、ワークフローのルートが同時に複数走る場合があります。X部署、Y部署、Z部署すべての部署の決裁が次に進めるには必要という場合(合議)があります。または、例えば2/3以上の部署の決裁があれば進めてよいという多数決で承認される場合、3部署のうちいずれかの承認があれば進めてよい(OR承認)という場合もありえます。
 
 このように複数のルートで同時に申請や稟議が回るワークフローを並列型と分類します。これくらいの段階になると、今どこの部署でどれくらい申請や稟議が進んでいるのか確認して回るのは一苦労です。内部統制の観点からも、誰からいつ承認されたのか確認できなくなる、あるいは改ざんされる可能性がある手渡しや、チャットツールでのやりとりではリスクも高まります。

4つの大分類以外にもいろいろあるワークフローの分類方法とパターン

 この他にも意思決定の仕方、決裁の方法の切り口でいくつかワークフローのパターンがあります。
 
 例えば申請の却下や差し戻しです。却下は申請や提案自体がNGであるという決定がされたということですが、差し戻しの場合は途中の承認者や時には申請者にまで戻って再度ワークフローを開始してもらう場合を指します。情報の抜け漏れ、内容の変更が必要な時には差し戻しで対応することがあります。こういった条件であれば稟議を通せそうだということで、担当者間で調整をしながらワークフローを進めるイメージです。
 
 また出張やその他の理由で申請者または承認者が不在の場合、代わりの人が代理で申請をする、または代理で承認をする場合もあります(代理申請・代理承認)。

「ワークフロー」を業務改善に活かすには?

 ここまで具体的なワーク=業務、フロー=業務の流れのパターンを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。皆さんの周りでは様々なワークフローが日々動いていることをお気づきいただけたでしょうか?

 業務改善を進める際には今自分たちがやっている仕事を可視化し、無駄を見つけ、ある程度定型化して改善していくというやり方が定石かと思います。今回ご紹介した「ワーク+フロー」という2つに分解していつもの業務を理解していただければ、業務改善に取り組むひとつの着眼点となるでしょう。

ワークフローを電子化し、ワークフローシステムを使うメリット

 最後に、ワークフローに沿って整理した業務を電子化、つまりシステム化することのメリットをお伝えします。
 
 ワークフローシステムを使うと、例えば書類が今どこの部署の誰で止まっているのか、またどのような状態にあるのかステータスや記録を一括管理できるようになります。リマインドをするためにわざわざその人のデスクに行くことはなく、また最近のテレワークの状況下では、システム上やメールで通知を送るといったことができますので、ムダ・モレがなくなります。

 また内部統制の観点から、情報へのアクセス権限の管理やアクセス・変更記録が管理でき、企業運営のリスクを低減することにつながります。
 
 ノウハウの蓄積という観点では、過去の決裁や決裁までの記録を残せることは重要です。過去の失敗も成功も含めて意思決定を一元管理でき、情報資産として残すことができます。情報資産として蓄積していった意思決定、また意思決定に至るまでの議論の内容は全て検索することができ、将来的には集計・分析をして企業の意思決定がどのように下されているのか、会社全体の意思決定プロセスを振り返ることが可能になります。
 
 こうした管理・運用は紙書類と手作業でもできないことはありませんが、短期的には作業効率、中長期的には情報活用の観点から、電子化・ペーパーレスを進めたほうが圧倒的にメリットは大きいでしょう。システムに慣れる時間や運用のメンテナンスの多少の手間を加えても生産性は高くなると言えます。人手不足が叫ばれ、生産性向上が求められる日本の環境においては、バックオフィスの皆さんも例外なく業務の効率化を進めていくことが求められています。

 ワークフローの具体例、そしてワークフローの活用方法をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。業務改善にどう着手してよいか分からずお悩みの皆さんは、ぜひご自身の周りの業務を「ワークフロー」で分類し、整理してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。