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おさえておきたい!人事・労務の基礎知識Vol.4 求人募集の書き方のコツとNG表現

2020.06.04

 企業の採用活動にあたり、求める人材を獲得するためにも重要な「求人広告」。人事・採用担当者自らが求人広告の記載内容を考える機会もあり、「効果的な求人を行うためにはどのように書けば良いのか」「求人広告を作成するとにき気をつけることはあるのか」など、さまざまな場面で悩むこともあるのではないだろうか。

 今回は、法律により記載が定められている項目や書き方のコツと、記載が禁止されている表現などについて具体的に紹介する。求める人材に届くよう、求人募集の基礎を押さえ、採用活動を行おう。

目次

●求人広告を書く前に「希望の人物像」をイメージしよう
●求人広告に記載が必要な項目とは
●求人広告の書き方のコツ
●求人広告でNGとなる表現
●まとめ

求人広告を書く前に「希望の人物像」をイメージしよう

 実際に求人広告に記載する内容を考える前に、採用したい人物像を具体的に整理することで、求人広告に記載する内容の優先順位も明確になる。ここでは、「今回の募集により採用したい人物」をイメージするときのポイントを見ていく。


求める人物像を具体的にする
 まずは、どのような人材を求めているかをより詳細に描くことが重要だ。「資格」「知識」「業務経験の有無」など、実際に働くにあたって必要なスキルを持つことを重視するのか、または「社交性」「ポジティブ」といった、その人の性格や特性を重視して採用したいのかなど、どのような人物を採用したいかを具体的にイメージすると良い。

求める条件を整理する
 人物像と合わせて、求める条件も整理しておきたい。「同業経験の有無」「PCスキル」「未経験の応募の不可」などより具体的な条件を整理しよう。ただし、条件を多くするほど対象者が絞られ応募者が減る可能性もある。条件の優先順位を決め、どこまでが本当に入社時に求められる条件なのかを明確にしておきたい。

求人広告に記載が必要な項目とは

 求人広告では、記載が必要な項目が予め決められている。それぞれの項目を記載するときは、求職者が実際の仕事内容をイメージしやすいような工夫が必要だ。ここでは、求人広告への記載が必要な項目とそれぞれの記載例を紹介する。

具体的な記載が必要な項目
 まずは具体的に記載が必要な項目を見ていこう。

(1)業務内容
 求職者が採用後に行う業務内容は、なるべく具体的にしておくことが重要だ。そうすることで、ミスマッチを防ぎ、採用に結びつく応募にもつながりやすいだろう。

(2)契約期間
 契約期間の有無を記載しよう。無期契約の場合は「雇用期間の定めなし」、有期契約の場合は「3ヶ月毎に更新」などと記す。

(3)就業場所
 実際に就業する場所を記載しよう。〇〇線△△駅など、最寄り駅やアクセス方法を記載するとイメージが湧きやすい。

(4)労働時間
 就業時間や休憩時間を記載する。フレックスタイム制を設けている場合はその旨と、コアタイムを記載しよう。

(5)賃金
 求人広告に賃金を記載する際は、なるべく実際の支給に近い値で記載しよう。試用期間中の給与が異なる場合はその旨も記載が必要だ。賃金に関して求職者とのトラブルを避けるためにも、記載は慎重に行うよう心がけよう。

(6)保険
 どのような社会保険に加入しているかも記載が必要だ。その他、加入条件などがあればそれについての記載もしておきたい。

2017年から追加された項目
 2017年に職業安定法や省令・指針が改正され、求人広告には以下の項目と内容の明示が必要になった。自社の賃金制度や雇用形態に合わせて、必要に応じて項目を追加しよう。

(1)試用期間
(2)募集者の氏名又は名称
(3)派遣労働者として雇用する場合はその旨
(4)固定残業代の適用(詳細を記載)
(5)裁量労働制の適用(詳細を記載)

具体的な記載例
上述した項目についての記載例は以下の通りだ。

 

求人広告の書き方のコツ

 実際に求人広告の項目を記載するときは、どのようなポイントを押さえておくと良いだろうか。ここでは、各項目やキャッチコピー記載のコツを紹介していく。

職種名
 職種は仕事内容を簡潔に説明するもので、求職者が最初に注目する項目だ。誰が見ても明確に伝わるよう一般的な言葉を選び記載しよう。社内や業界のみで通用する専門用語で記載しないよう気をつけたい。

<職種記載例>
「営業」「事務・経理スタッフ」「社員食堂の調理員」「化粧品の販売」「システムエンジニア」等

業務内容
 業務内容は、職種をさらに具体的に説明するものと考えるとよいだろう。業務にあたって、企業独自の特徴がある場合は、それも記載することで求職者とのマッチングがうまく行えるので、強調して記載しよう。また、「一日の流れ」や「大まかな組織構造」を記載すると企業の中の位置付けや、職場の雰囲気が伝わりやすくなる。

<業務内容記載例>
・ITエンジニア:ITシステムの設計・製造・テスト/クライアントとのミーティング/開発データ管理など
・カスタマーサポート:顧客の電話対応/メールやチャットでのサポート/商品の注文確認/など
・一般事務:データ入力/顧客からの問合せメールや電話対応/WordやExcelソフトを利用した書類作成など

応募条件(資格・経験など)
 募集条件の記載は、「絶対に譲れない条件」のみを記載しよう。条件が多すぎると「一つでも当てはまらないと応募できないのではないか」と、求職者の応募のハードルを上げてしまうためだ。「できれば欲しい」条件は、「~~歓迎」といったニュアンスで書くと良いだろう。
<応募条件の記載例>
・学歴:大卒以上、学歴不問など
・資格やスキル:
・経験:必要な経験や従事した年数、未経験可など
・その他重視する特性:週末出勤可能、人とのコミュニケーションが好き、Word/Excelソフト経験者歓迎など

給与・待遇
 トラブルを避けるためにも、給与や待遇の記載は特に慎重に行おう。無理に金額を多く見せることで、一旦採用が決定しても、会社への不信感や早期離職に繋がるケースもある。入社時点の待遇が競合他社に比べ劣る場合は、勤続〇年後の年収例を補足提示するなど、キャリアプランをイメージできるような工夫を行うと良い。

<給与・待遇の記載例>
・月給:35万円(基本給:30万、資格手当:5万円)など
・年収例:400万円(入社1年目)
     450万円(入社3年目)
     500万円(入社5年目)など

キャッチコピーの考え方
 キャッチコピーを考える上では、次のような点を意識したい。

・メリットを具体的に伝える
・情報量を的確に
・ターゲットに響く言葉を使う
・誰にでも分かる言葉を使う

<キャッチコピーの記載例>
・未経験者OK!(応募者層が広がる)
・1日3H~・週1からOK(就業条件を簡潔かつ具体的に記載)
・新築で洗練されたオフィス環境(働く環境の良さをアピール)
・夏季休業連続10日取得可、独身寮完備(福利厚生の充実度をアピール)
・専門スキルを身につけキャリアアップ(身に着くスキルや将来のキャリアをイメージ)
・20代~30代が活躍中(職場で就業する年齢層や人物像を連想させるとともに、ターゲット人材層へアピール)など

応募後の流れ
 求人広告には、応募後採用までのフローも記載しておこう。求職者が採用までの流れや日程をイメージしやすくなり、中途採用など、働きながら求職活動を行う人も応募しやすくなる。また、オンラインでの採用活動の有無なども記載しておくとより間口が広がるだろう。

<応募後の流れの記載例>
・面接可能な曜日や時間帯の記載:火13:00~18:00、木11:00~17:00など
・面接回数を明記:一次試験(録画面接/キャリア診断)、二次試験(オンライン面接)、最終試験(対面での面接、説明)

写真
 視覚情報を利用することで、文字よりも実際の職場の雰囲気が伝わりやすくなるだろう。特に掲載すると良い項目として「一緒に働く仲間」や「実際のオフィス」などが挙げられる。入社後のミスマッチを防ぐことにもつながるため、写真選びも慎重に行おう。

求人広告でNGとなる表現

 男女雇用機会均等法や職業対策法では、求人広告に記載してはいけない内容が定められている。ここでは、記載が認められていない表現と、例外となるケースについて詳しく見ていこう。

性別を限定する表現
 男女雇用機会均等法では、性別を問わず平等な雇用機会を設けることを目的として、男女を限定した求人を禁止している。以下に、NG表現と例外となるケースを紹介する。

<NG例>
・「営業マン」「〇〇レディ」など性別を限定した表現
・「女性向けのお仕事です」など、一方の性別のみを優遇する表現
・「女性は既婚者不可」など男女間で異なる条件の提示
・「総合職:男性5名、女性2名」など、男女の採用枠を予め決めて募集・採用活動を実施すること
・「女性の募集です」など、一方の性別に限定した募集
・ 写真やイラストで一方の性別に偏った職場を強調する表現を行うこと

<例外>
・「女優」「巫女」「警備員」など、性別の偏りに合理性がある場合
・ 男女格差解消のため、あえて一方の性別を優遇する措置を講じる場合

年齢を限定する表現
 年齢に関わらず均等に雇用機会が与えらるようにするため、年齢を限定する表記は職業対策法により禁じられている。業務内容と人材のミスマッチを防ぐためにも、求人では年齢不問とした上で、仕事内容と必要な能力がはっきりと伝わるように記載方法を工夫しよう。以下に、NG表現例と例外となるケースを紹介する。

<NG例と望ましい表記例>
・「長距離トラック運転者 40歳以下」
→「札幌・大阪間を定期的に移動」「荷物(約30kg)の上げ下ろし作業を伴う」など、業務内容を具体的に記すことで、体力が必要である旨を伝える

・「アパレルスタッフ 29歳まで」
→「20代をターゲットとした婦人服の販売」と顧客層を伝えることで求める人物像が想像しやすくなる

・「介護職員 若い方限定」
→「食事・入浴・排泄等介助」「夜間業務月〇回程度」「パソコンを利用した日誌入力」など、業務内容の具体的説明を加える。特定の資格が必要な場合はその旨も記載。


 また以下の場合に限り、年齢を制限した募集・採用が認められている。

・60歳定年年齢未満を上限とした、期限の定めが無い(無期雇用)募集
・労働基準法やその他の法令の規定により、年齢制限が設けられている場合
・長期の勤続によりキャリア形成を図る観点から、若年者を無期雇用契約の対象として、募集・採用する場合
・技能やノウハウ継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、無期雇用契約の対象として募集・採用する場合
・芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
・60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する、国の施策の対象となる者に限定して募集・採用する場合

求人広告の内容と実際の労働契約内容が異なるときは
 また、2017年度の職業安定法改正により、当初示した労働条件からの変更については、労働契約締結前に、求職者にその旨を通知することが義務付けられた。次のようなケースは通知が求められるので、注意しよう。

(1)当初の条件が変更になる場合
 例:基本給30万円/月 → 基本給29万円/月
(2)条件の範囲を具体的に指定する場合
 例:基本給20万~25万円/月 → 基本給22万円/月
(3)元々あった条件を削除する場合
 例:基本給20万円/月、営業手当3万円/月 → 基本給20万円
(4)新たな条件を追加する場合
 例:基本給20万円/月 → 基本給25万円/月、営業手当3万円/月

 なお、変更は求職者に分かりやすい方法で行うよう求められている。変更前後の労働条件を比較対照可能な書面の交付、または、労働条件通知書で、「アンダーライン・着色・脚注の添付等」で変更部分を提示する、のどちらかの方法で行おう。なお、労働条件通知書は、労働条件を記した文書で労働契約締結の際に労働者に対して通知する書類を指すものだ。

まとめ

 求人広告を記載する際は、法律により規定された記載項目や禁止事項などのルールを遵守することが求められる。その上で、数多くある求人広告の中から、より求める人物に届くよう、記載内容を工夫することが大切だ。各項目に記載する内容を決定する際には、事前にどのような人物を求めるのかを明確にしておくこともポイントになるだろう。求人募集の基礎やコツをふまえ、人材獲得につなげたい。

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