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今、話題の働き方「テレワーク」特集Vol.2 経理部門のテレワーク導入率は10.9% 「ペーパー業務」が大きな課題に

2020.06.29

 働き方改革の施行や新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、企業でも普及している「テレワーク」。すでに導入・運用している企業も多いが、業種や職種によっては導入率に差がでるといった課題もあるようだ。特に「経理」部門の従業員は、営業や技術職に比べてテレワーク化に向けたハードルが高く、導入方法を模索している企業も多いのではないだろうか。今回は、経理のテレワーク導入実現にむけ、課題を整理するとともに、導入に向けたステップと、おすすめのクラウドサービスを紹介する。自社の事業内容を踏まえ、経理のテレワーク導入に向けた最適な方法を検討してほしい。

目次

1.経理のテレワーク導入における課題
2.経理がテレワークするために必要なこと
3.おすすめサービス
4.まとめ

経理のテレワーク導入における課題

 働き方改革関連法の施行により、柔軟な働き方の選択肢として注目が集まるテレワーク。しかし、業種や職種によってもテレワークの導入のしやすさには差があるのが実態のようだ。まずは、テレワーク導入状況と経理部門のテレワーク導入における障壁について確認しておこう。

業種や職種で差があるテレワークの導入率
 経済産業省が2019年に実施した「令和元年通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、テレワークを導入している企業は全体の20.1%で、およそ2割の企業がテレワークを導入していることがわかった。また、導入企業は年々増えていることも判明している。テレワーク導入企業を業種別に見ると、導入率が高いのは「情報通信業」(46.5%)や「金融・保険業」(40.7%)であったのに対し、導入率が低い業種は「運輸・郵便業」(11.7%)や「サービス業・その他」(16.3%)という結果だ。業種間で導入率に差がある様子が伺える。

 一方、平成29年度に国土交通省が実施した「テレワーク人口実態調査」では、職種別のテレワークの導入状況が明らかとなっている。企業に雇用される「雇用型」の人のうち、テレワーク導入率が最も高いのは「管理職」(33.2%)や「営業」(29.2%)、「研究職」(28.7%)で、経理部門にあたる「事務職」のテレワーク導入率は10.9%にとどまるという結果だ。
(参考:経済産業省「令和元年通信利用動向調査報告書(企業編)」
(参考:国土交通省「平成29年度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要-」

経理のテレワークを妨げる「ペーパー業務」
 経理部門のテレワークが進まない主な要因は、「紙ベースの業務」にあるとされている。実際に経理部門が行う「紙」をベースとした主な業務は「請求書や領収書の発行」「各種書類の押印業務」「証憑業務」「各種書類や資料の印刷」「給与明細の発行」など、多岐に渡る。これらはすべて書類への記入や、受け渡しといったワークフローが存在し、セキュリティといった観点からも出社が必要になることが多い。これらの業務を電子化に移行し、業務の効率化をはかることが、経理部門のテレワーク移行を可能にすると言われている。

なお、以下のコラムでは経理部門の業務をはじめとした、紙文化の電子化に関して専門家の視点から詳しく述べられているので、参考にしてほしい。
(参考:~アフターコロナの働き方~ 紙とハンコの文化からの脱出①

経理のテレワーク導入に必要なこととは

 日本の企業全体でテレワーク導入が進む中、経理部門でも導入を模索中の企業は多いのではないだろうか。経理部門にテレワークを導入するにあたり、企業に求められることを紹介する。

紙に依存する業務の電子化
 上述したように、経理部門のテレワーク実現には、まず紙をベースとしている業務の電子化が必要だ。以下に、電子化ができる業務について紹介する。

①帳票作成業務
 手書きの帳票を使用している場合は、記帳業務の電子化が必要だ。帳票の電子作成に対応するソフトにはさまざまなものがあるので、それぞれの特徴や強みを元に、自社にフィットしたサービスを選択したい。また、クラウド型のソフトを選択することで、インターネットの環境があればどこでも使用でき、複数名での同時処理も可能だ。

②帳票の保管業務
 これまで運用してきた紙ベースの書類はPDFなどで電子化し、クラウドストレージに保管しよう。帳簿や領収書、契約書など経理部門の様々な書類を電子データで保存できるようになるため、印刷コストや各書類を印刷してファイリングするといった作業が無くなり、大幅な業務改善が見込める。また2019年の税制改正では、法適用のための認証以前の書類もさかのぼって電子保存ができるようになるなど、電子保存に必要な規定は年々緩和される傾向にあり、今後も実施企業が増えると見られている。
(参考:国税庁「令和元年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要について」

③経費精算業務
 経費精算作業を電子化すれば、精算フローの中で起こるやり取りを、すべてシステム上で実施できるようになる。また、紙ベースによる運用では、申請内容に不備があると精算書の再提出が必要になるが、電子化すれば簡単に修正できるようになるなど、業務効率化にもつながる。

④勤怠管理業務
 昨今、タイムカードを廃止し、電子勤怠管理システムを導入する企業も増加している。勤怠管理を電子化することで、複雑な給与計算も自動的に行えるようになり、事務処理の時間の大幅削減も可能だ。さまざまなサービスがあるため、労務管理部門と連携し自社に合ったものを選びたい。

コミュニケーション
 社内での事務連絡のほか、社外との対応窓口となることもある経理部門をテレワークに対応させるには、オンラインでのコミュニケーションが可能となるツールの導入も必要だ。自社に合ったビジネスチャットやWeb会議システム、グループウェア等の導入を検討しよう。これにより、どこにいても社内・社外との連絡手段が構築できる。

チームで業務を行う
 経理部門でのテレワークを実現するためには、業務のチーム化も重要だ。細かく煩雑な業務フローが多い経理業務は、業務の属人化が起こりがちと言われてる。煩雑なフローを電子化により標準化することで、誰もが対応できる体制を構築しよう。また、特に煩雑な分野は部分的にアウトソースするという手法も有効だろう。

出勤で行う業務とテレワーク可能な業務を分ける
 経理部門の各業務は元々出社を前提として組み立てられたもののため、全てをテレワークで賄おうとしても難しいこともあるだろう。その場合は、出社を基本とするものとテレワークで対応可能なものに分類しよう。経理部門でもテレワークを導入しやすい業務には「会議」や「各種資料作成」などが挙げられる。また、テレワークは一度に導入するのではなく、段階的な導入方法を検討しよう。そうすることで、導入によって明らかとなるさまざまな課題にも対応しやすくなるだろう。

 以下コラムは、これらについて図版を用いて分かりやすくまとめているので、参考にしてほしい。
(参考:テレワークの専門家による 「リモートでのコミュニケーション術」 ~全部リモートで!は間違い?上手なテレワークの始め方~

経理のテレワーク実施に向けたおすすめサービス

 経理部門でテレワークを導入するにあたり、おすすめしたいサービスを紹介する。メリットやデメリットを踏まえ、最適なサービスを選ぶ際の参考にしてほしい。

経費精算

マネーフォワード クラウド経費
 経費精算にかかる時間を短縮可能な、クラウド型経費精算システム。スマートフォンによる手続きが可能で、手入力の手間を省く「レシートの自動読み取り機能」「仕分けデータの自動登録、申請チェック機能」「キャッシュレス送金」「電子帳簿保存法対応」など、経理と従業員双方の手間の大幅削減が叶う。

②楽楽精算
 「交通費精算」「出張費精算」「経費精算」「支払依頼」「各種事前申請」「自動仕分」「振込データ作成」等の各種機能を搭載したクラウド型経費精算・交通費精算システム。導入社数6,000社を突破するなど、業界でも最大手のひとつ。専任スタッフが導入前の設定から導入後の運用の課題までのサポートを請け負ってくれることも魅力だ。

BtoBプラットフォーム 請求書
 企業間で発生する請求書発行作業・帳票の受け渡し業務の全てをクラウド上で完了。取引先が発行ボタンをクリックすれば即座に請求書が発行され、社内承認もWeb上で完結。学習機能により自動仕訳された会計データを自社会計システムと連携、正確な経理処理、月次決算の早期化が可能だ。

電子契約

①NINJA SIGN
 定額制で無制限の電子契約ができるクラウド型電子契約システム。標準的な契約書のひな型を搭載しつつ、契約書毎にワークフローの設定と履歴の閲覧が可能、内部統制強化も叶う。オンライン上で締結した契約書と紙ベースの契約書を一括で管理し、いつでも検索・閲覧可能だ。

paperlogic電子契約
 作成・承認、発行・調印、保存・活用といった文書サイクルの全過程のクラウド化によりペーパーレス化を実現。PKI基盤を利用した電子証明書による電子署名とタイムスタンプを併用し、エンタープライズ向け電子契約の仕組みをクラウド経由で提供する。電子署名法・会社法はもちろん、e-文書法や電子帳簿保存法の保存要件へも完全対応し、安全な電子保存が可能。

③クラウドサイン
 日本の法律に特化した弁護士監修の電子契約サービス。契約書の準備、取引先への確認依頼と押印という契約にまつわるすべてのワークフローを全てクラウド上で完結。スタンダードプラン以上の利用では、Slack・kintone・Hubble、Salesforceとの連携が可能で、送信した契約書類の進捗状況を確認できる。またサポート体制の充実度も特徴のひとつだ。

勤怠管理・給与明細

マネーフォワードクラウド勤怠
 基本勤務制、シフト制、裁量労働制などの労働形態と正社員、アルバイトなどあらゆる雇用形態に対応したシステムをもち、Web上で部署異動や休暇の管理も可能。同社が提供する「クラウド給与」との連携により、Web上で打刻すると、給与計算まで自動算出できる。また、会計システムでは経費用クレジットカードを連携させることで、明細を自動取得、仕訳の自動入力が叶う。

AKASHI
 シンプルなデザインで見やすさと操作性の高さを兼ね揃えた、ユーザーファーストなクラウドサービス。パソコンをはじめとし、スマートフォンやタブレット、FeliCaカードにネットワーク対応ICカードリーダーなどの多様なデバイスからの打刻が可能だ。従業員の勤務実績や残業状況、出勤状況などが、ワンクリックで簡単に確認でき、従業員の雇用条件や労働条件などを細かく登録すれば個別の管理もスムーズに実施できる。

まとめ

 経理部門にテレワークを導入するための課題のひとつに、経理部門における「紙」を媒体とする業務の多さが挙げられる。さらに、精算や決済までの複雑なワークフローも障壁のひとつだ。これらの課題をひとつずつ整理し、新たなシステム導入やワークフローの確立を行うことで経理部門のテレワーク化が実現できるだろう。さまざまなクラウドサービスの利用を含め、経理部門のテレワーク導入を検討してみてはいかがだろうか。

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