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勘定科目ってなに?仕訳の分類や注意点について紹介します!

2020.07.09

経理・会計は企業に関わる金銭の流れを把握する上で欠かせない職種だ。家計簿などで日常生活の支出を管理している人も多いだろう。しかし経理・会計といった業務には「勘定科目」というやや専門的知識が必要となってくる。聞き慣れない言葉でやや戸惑うかもしれないが、紐解いてみればさほど難しいものではない。今回は勘定科目について概要や注意点をご紹介していく。

1.勘定科目とは?

勘定科目とは、企業が営業活動を行う際に生じる「収益」と「費用」を適切に分類するための仕訳基準である。この項目に従って会社の収支を「金額」と「目的」で記録していくのだ。なお、勘定科目によって仕訳した項目は企業の運営に必要となる「貸借対照表」と「損益決算表」の作成に使用される。貸借対照表とは「ある時点」での企業の財政状態をまとめた財務諸表、損益決算表は「ある一定期間」における収益と費用の関係を表す財務諸表だ。企業はこれらを参考にして経営状況の評価・分析を行う事になる。なお、勘定科目の振り分け方は法律で決まっている訳ではないため、企業ごとのローカルルールや使用する会計ソフトによって仕訳方が事なる点には注意をしておきたい。

2.なぜ勘定科目が必要なのか

経理・会計という部署を設けてわざわざ収益と費用を事細かに記録しておくのには、いくつかの理由がある。まず、勘定科目によって金銭の流れを明らかにする事により、企業の首脳陣は経営判断の材料とする事が可能となるのだ。余計な支出を抑え、必要とするところへ経費を回せるようになれば企業の業績改善へと繋げられる。また、勘定科目によって仕訳された内容は自社以外の利害関係者(主に銀行・株主・顧客など)が参照する事もあるので覚えておきたい。例えば銀行の場合は融資の可否を決めるため、株主や顧客は企業の株・商品を購入するかどうかの参考とするのだ。さらに、勘定科目は税金の計算にも使用する事があるので留意しておこう。企業が使用する経費の中には税金の対象となるものも含まれており、税金の支払い期限が近づいた際には正確な税額を算出するために勘定科目を利用するのである。

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3.勘定科目の分類

勘定科目の分類には定められたルールは存在しないものの、割り当てられる内訳にはある程度の一般的な型が存在する。ここからは経理・会計で広く使用されている勘定科目の「資産」「負債」「収益」「費用」「純資産」という5つのグループ分けについてご紹介していく。

3-1.「資産」に分類される勘定科目
通常、企業が所有している財産に関しては資産のグループに仕訳するのが一般的である。主には「現金」「商品」「土地」「建物」といったものの他に、会社が有している「権利」も資産として仕訳される。細かく見ていくと、現金の他にも「預金」「小切手」「郵便小為替」などが勘定科目として設けられている場合が多い。商品やサービスを提供した見返りとして将来的に入金される予定の「売掛金」や、現金を用いない手形取引による「受取手形」も資産のグループに仕訳られる。建物・土地以外では「車両」や「機械装置」といった有形固定資産も勘定科目となるので覚えておきたい。権利のような無形固定資産は「施設利用権」「特許権」「商標権」などが主たる勘定科目だ。

3-2.「負債」に分類される勘定科目
負債のグループに分類される勘定科目は、自社に返済の義務があるものとなる。代表的なのは仕入債務・他流動負債・固定負債などだ。仕入債務は他社から受領した商品・サービスに対して未払いとなっている「買掛金」や、手形決済を利用した場合の「支払手形」などが当てはまる。有価証券や固定資産といった物理的な商品以外を仕入れた際の「未払金」、社会保険料や所得税など従業員から一時的に徴収して将来的に返還する予定の「預り金」などの他流動負債も負債の勘定科目とするのが一般的だ。また、銀行から融資を受けた際の「借入金」も固定負債として負債の勘定科目にカウントされる。

3-3.「収益」に分類される勘定科目
企業の事業によって生み出された売上などは収益というグループに分類する。商品やサービスを提供して得た収入はシンプルに「売上」という勘定科目になるが、気をつけておきたいのは営業外で得た収益に関してだ。例えば企業の預金に対して付与された利息や貸付の返済に上乗せされた利息は「受取利息」という勘定科目で処理する事が多い。株式の配当金及び株式投資信託の収益分配金に対しては「受取配当金」と呼ばれる勘定科目が一般的だ。手数料・補助金・奨励金など事業性が低い少額の臨時収入については「雑収入」の勘定科目にまとめる。

3-4.「費用」に分類される勘定科目
費用として分類されるのは企業が事業運営するにあたって使用した金銭である。分かりやすいところでは商品の生産に必要な材料費や運送料を含む「仕入高」や、棚卸し時の在庫繰越に使用される「期首商品棚卸高・期末商品棚卸高」などの売上原価に関する勘定科目だろう。販売管理費としては「給料手当」「役員報酬」「外注費」といった勘定科目が代表的だ。なお、販売管理費に関してはこの他にも「交際費」「水道光熱費」「広告宣伝費」など幅広いものが含まれているため、自社のルールをよく確認しておくのが良いだろう。

3-5.「純資産」に分類される勘定科目
事業を起ち上げるにあたって用意された元手の資金は純資産として分類される。具体的な勘定科目としては自前の貯蓄・銀行からの融資・パソコン・不動産などを含む「資本金」や、自己資金のうち資本金として活用しなかった「資本準備金」などはしっかり押さえておきたい。自己株式の売却や減資、資本金または資本準備金の取り崩しによって生じた資金は通常「資本剰余金」という勘定科目として処理する。純資産に関する勘定科目は特に事業会計・経理に関する知識を要するので確実に学習を進めておきたいところだ。

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4.勘定科目の注意する点

勘定科目による仕訳は企業経営の実態を掴むために正確さが重要となる。実務で失敗を繰り返して成長するという類の仕事ではないため、ここで実際の業務で気をつけておきたいポイントを把握しておこう。

4-1.同じ勘定科目を使用する
勘定科目には「一度仕訳したものには同じ勘定科目を使用し続ける」という原則がある事を覚えておこう。企業会計原則では「継続性の原則」と呼ばれる法則が定められており、毎期同様の勘定科目を使用する事が求められている。経理・会計担当者が処理する度に仕訳先の勘定科目が異なるようでは、企業の経費使用状況を正確に掴む事が出来ないのだ。首脳陣が的確な経営判断を下すため、また利害関係者が企業の実態を正確に把握するためにも同一の勘定科目を使用する事が重要となる。

4-2.勘定科目を確認する
勘定科目は経理・会計担当者が独断で分類して良いものではない。繰り返しになるが、勘定科目の仕訳ルールは企業によって異なる。重要なのは「ルールに沿って全担当者が同様の仕訳を行う」という統一性を持たせる事だ。特に転職で勤務先が変更となった場合、以前働いていた企業と転職先企業の会計ルールが同一とは限らないので注意しておきたい。例えばボールペンひとつの勘定科目をとっても「消耗品」とする場合もあれば「備品」とする企業も存在するのだ。判断に迷った場合は自分以外の経理・会計担当者に確認を取り、企業のルールに従った正確な勘定科目を使用する事が重要である。

ルールを決めよう!

経費や収入の勘定科目を決める作業は担当者が主観的な判断で行うものではなく、企業内のルールに沿って処理するものである。従って、ルールがしっかり作られていればさほど困難を伴うものではないのだ。勘定科目による仕訳けは企業経営の透明性を向上させるために重要なポイントとなる。明確なルールを作った上で適切な勘定科目を用いて、自分の仕事を企業経営に役立てていこう。

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