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給与明細とは?給与明細の見方や確認するべきポイントを紹介

2020.08.25

社会人になって会社や公的機関などで働いていると毎月給与明細を受け取ることになる。どのくらい給料が出たのかと考えて支給額を確認する人は多いが、それ以外の部分はあまり確認しない人が多い。しかし、残業代や税金などの情報も盛り込まれているので把握しておくに越したことはない。この記事では確認すべきポイントを抽出できるようになるために給与明細の見方を紹介する。

1.給与明細とは?

まず給与明細とはそもそも何かを知っているだろうか。給与明細は給与の支払額やその内訳がまとめられている通知書である。内容としては基本給や手当、健康保険料や所得税などの控除額、欠勤や早退などの勤怠情報が主なものだ。給与の支払いが行われるときに合わせて給与を受け取る人に対して渡される仕組みになっているのが一般的である。現在ではウェブ上で確認できるウェブ給与明細書の発行をしている現場が増え、給料日になったらシステムにアクセスしてログインすることにより閲覧できるようになってきている。

2.給与明細の基本項目

給与明細に記載されている内容は三つの基本項目に分けることができる。支給、控除、勤怠の三つについて、それぞれどのような内容が記載されているのかを詳しく確認してみよう。

2-1.支給
支給の項目には基本給や割増賃金、各種手当が記載されているのが基本だ。時間外労働手当、超過勤務手当、休日出勤手当、深夜手当といった内容の割増賃金が基本給と並んでまず書かれていることが多い。それに加えて支給される手当は勤め先や役職などによって異なるが、代表的なのは通勤手当や住宅手当、役職手当だ。この他にも取得している資格に応じて資格手当が支給されたり、地域的な物価水準の違いを考慮して地域手当が出たりする場合もある。家族手当や扶養手当、育児手当などといった手当がある会社も多くなっている。そして、最後に総支給額が記載されているのが一般的だ。総支給額は本人が受け取る金額ではなく会社が支払う金額に相当するので注意しておこう。

2-2.控除
控除には会社が本人の代わりに支払った保険料や税金が記載されている。健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料に加え、40歳以上の人の場合には介護保険料が書かれているのが普通だ。ただ、パートやアルバイトなどで社会保険がカバーされていない場合には健康保険料などは会社が支払っていないので控除されないので注意しよう。一方、税金は所得税と住民税というのが一般的になっている。社会保険料合計、税額合計が記載された後、最後に沿う控除額が記載されているのが基本だ。

2-3.勤怠
勤怠は給与対象となる期間において本人がどのようにして働いていたかを記載している。労働日数、出勤日数、欠勤日数、遅刻日数、早退日数に加え、有給休暇や特別休暇などの日数についても記載されているのが一般的だ。現在では有給休暇の消化日数が問題になることが多い影響もあり、有給消化日数だけでなく有給残日数も書かれていることが多くなっている。また、残業時間や休日出勤時間も書かれているのが勤怠の項目である。勤怠で気を付けておきたいのは時間外手当の支給額と残業時間が合っているかを確認することで、不払いになっていないか、残業時間を短くつけられていないかを調べておくと良い。

3.給与明細を見るときの注意点

給与明細を見るときには最後に集計された結果が書いてあるので、いくら支給されたのかを示す差引支給額ばかりを見てしまいがちだ。しかし、既に時間外手当や残業時間について触れたが、その他の部分もしっかりと見ていないと損をすることもある。どんな点に注意して給与明細を見る必要があるのかを確認しておこう。

3-1.総支給額や課税対象額は正しいか
支給の項目は収入に関わる部分なので正しいかどうかを一つずつ確認していくのが大切である。基本給が自分のものか、時間外手当が計算的に合っているか、自分の役職に合った役職手当が出ているかという形で見ていくと良い。資格を取得したときや異動して技術職になったときなどには資格手当や職能手当などが適用されているかを確認することが重要になる。残業代については雇用形態による違いも考慮するのが必要で、裁量労働制やみなし残業時間制などの場合には自分の雇用契約を見てどのようにして支給されるべきかを調べる必要がある。管理職になったときにも注意が必要な点で、残業をしていても残業代は発生しないので手当が出ていたら誤っていることになる。

なお、通勤手当は課税対象外なので課税対象になっていないものを確認しておいた方が良い。そして、全ての支給を足したときに総支給額と一致するかを確認すれば問題はないだろう。余力があれば控除についても正しく計算されているかをチェックしてみた方が良い。よくあるミスとして知られているのが40歳未満なのに介護保険料が控除されている、あるいは逆に40歳になったのに介護保険料が控除されていないというものだ。この場合には担当者に連絡して訂正と支払いをしてもらうようにするのが良い方法である。

3-2.勤務日数や残業代は正しいか
勤怠についても正しい内容になっているかを一つずつ確認していくことが大切だ。勤怠では出勤日数や欠席日数、遅刻日数や早退日数に誤りがないかを確認していくのがまず必要になる。何かのミスで欠席になっていたために給与が差し引かれている場合もないわけではないからだ。通常の残業時間や、休日出勤および深夜残業の時間についても同様で、日数も時間も正しいかどうかを調べてみることが重要である。残業時間について正しいことがわかったら、それぞれの残業代も計算して支給の項目に記載されている金額が合っているかを確認しておこう。

このようなチェックをするためには自分自身で勤怠記録を付けておくことが欠かせない。情報システムによる勤怠管理をしている場合にはそのシステムから勤怠実績を参照できるかもしれないが、その情報が誤っているリスクもあるので別に記録を作っておこう。そして、誤りがある場合には担当者に連絡をして訂正を求めるのが大切だ。

4.給与明細を保管しよう

給与明細は受け取ったらすぐに捨ててしまう人もいるかもしれない。古いものについては破棄してしまっても問題があるわけではないが、勤務実績や給与額の確認をする貴重な資料なので可能であれば全ての給与明細を保管しておくのが良いだろう。どうしても邪魔だから捨ててしまいたいという場合にも、少なくとも2年分は保管しておくようにするのが賢明だ。2年という数字は未払いの給与があったときに請求できる期間であり、残業代が実は間違っていたというときに遡及的に支払ってもらうことができる。また、もし退職することになった場合には失業給付を受けることができるが、その確認期間が2年になっているので給与明細を残しておいた方が良いのである。

この他にも借り入れをするときの収入証明書として使用したり、離婚調停のときの収入や勤怠状況を示す証拠書類として使ったりすることもできるのは給与明細の特徴だ。このような場合にも新しいものから数ヶ月分の提出を求められるため、まとめて管理しておくといざというときに困らない。ウェブ上で確認できるようになっている場合もサーバーが故障してデータが消える可能性があることを考慮し、プリントアウトして自分で保管するようにした方が安心である。

給与明細を見る習慣をつけよう

社会人になって給与明細を渡されるとつい支給額ばかり見てしまいがちだが、重要なのは内容が本当に正しいのかどうかを見ることである。正しい見方を理解して、受け取ったら必ず詳細を確認するようにしよう。勤怠記録なども付けておくことで確実に合っているかを毎月確認する習慣をつけるのが社会人にとって重要なことである。