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就活や転職活動でよく耳にする適性検査とは?その種類・内容から対策を紹介

2020.08.21

就職活動や転職活動の際に実施されることが多い「適性検査」。入社試験の際に適性検査を導入している企業は増加傾向にあるが、その実情について詳しく知っている人は多くないのではないだろうか。この記事では適性検査の概要や実施される理由・種類・構成についてまとめている。適性検査について詳しく知りたい人はぜひ参考にしよう。

1.適性検査とは

適性検査は企業が応募者の採用選考を行う際に実施する検査のこと。企業側は応募者が自社の求める条件に一致しているか、採用後も活躍してくれる人材なのかを選考の段階で見極めるために適性検査を行っている。適性検査の具体的な判断基準は応募者の将来に対する展望や価値観、職務遂行や仕事のための技術獲得が問題なくできる一般的な知識や基礎能力、職場の風土に適応するための性格や情緒面など、3つの要素を見ている。応募者の持つこれらの要素が自社の業務内容や社風に適したものなのかを確認するのだ。

企業側はその他にもエントリーシートや面接、グループディスカッションを行い、応募者がどのような人材であるのかを見極めようとしているが、これらの方法では応募者の能力が見えにくい場合もある。そのため企業によってはEQ理論適性検査を就活生用の適性検査として導入している。これは「こころの知能指数」とも呼ばれる検査で、応募者の性格や行動を数値によって判断する内容だ。これによって面接などでは見えなかった応募者の性格や能力を判断することができる。このように適性検査は企業が人材を選考する時に、有効で的確なものとして幅広く導入されているのである。

2.適性検査の種類

適性検査とひとくちに言っても、種類は様々でそれぞれの検査によって構成内容は異なっている。この段落では企業で導入されている代表的な適性検査の種類と、これらがどのような特徴を持っているのかについて紹介する。

2-1.SPI3
SPI3はリクルートキャリアが販売している適性検査で「SPI」と呼ばれている。SPIを導入している企業は多く、商社・マスコミ・IT、その他にも化学メーカーや自動車メーカーなども使用している。SPIの構成内容は能力検査と性格適性検査の2種類。能力検査は熟語や長文読解などを行う言語と計算や確率などを非言語の2つに分かれ、性格適性検査は文字通り応募者の性格を見る内容で、これを実施することによって企業との相性を測定する。SPIは対策用の参考書も数多く出版されていることから、就活生にもよく知られた適性検査の一つだと言えるだろう。

2-2.CAB・GAB
CAB・GABは日本SHL社が販売している適性検査だが、実施する目的が異なるため2つを一緒に導入している企業はない。CABは暗算・法則性・命令表などが出題される能力検査と応募者の性格を見る性格検査から構成されている。この検査はプログラマーやシステムエンジニアなどIT関連の専門職に導入されることが多く、応募者の論理的思考や性格が企業に適しているかを判断するために行われる。GABは新卒総合職の採用に使われ、コンサルティングや金融、商社などの企業に導入されていることが多い。GABは適性検査の中でも特に難易度が高いと言われ、しっかりとした高い論理的思考が要求される検査である。

2-3.玉手箱
玉手箱は日本SHL社が販売・提供している適性検査である。SPIと並んで広く知られた適性検査で、主に医療メーカー・マスコミ・金融・ハウスメーカーで使用されている。玉手箱もSPIと同じく能力検査と性格検査の2種類で構成された検査だ。しかし玉手箱の能力検査は言語理解・計数理解・英語の3種類から出題され、問題の形式が同じ場合は1種類の問題のみ出題され続ける。さらに大きな特徴は検査時間が短いことで、1問あたりにかける時間もSPIに比べて短めになっている。

2-4.CUBIC
CUBICは株式会社CUBICが販売する適性検査。コンサルティング・自動車メーカー・医療メーカー・コーヒーチェーンなどの企業で採用されている検査だ。構成は他の適性検査と同じく能力検査と性格検査の2種類に分かれ、能力検査は言語・英語・論理・数理・理系から出題される。CUBICの特徴は個人の素質や気質、コミュニケーション能力などにフォーカスされていることだ。つまり出題される問題は中学や高校まで習ったレベルで学力や地頭のよさを競うのではなく、本人の個性がどのようなものかに着目する内容である。このような特徴があることから、特にチームで働く職種がある企業で採用されている。

2-5.TG-WEB
TG-WEBはヒューマネージ社が販売している適性検査である。出題が増加傾向にある自宅受験型のWEB適性検査でテレビ局・飲料メーカー・化粧品メーカーなどが主に採用し、難易度は他の適性検査と比較しても高めだ。構成は能力検査と性格検査の2種類で、能力検査は言語・計数があり、企業によっては英語が出題されることもある。さらに大きな特徴は言語と計数は従来型と新型に分かれていることだ。どちらが出題されるかは企業によって異なるが、従来型が出題される確率は高い。しかし従来型は問題が抽象的で難解な内容が多く、新型は解答時間が少ないが問題数が多い、という傾向になっている。

3.適性検査の構成

適性検査はどのように構成されているのか疑問に感じる人もいるだろう。実施されている適性検査の多くは能力検査と性格検査を区切って実施することが多い。適性検査を構成するものとして必要な能力検査と性格検査だが、その主な内容はどうなっているのかをそれぞれ紹介する。

3-1.能力検査
能力検査は一般常識や論理的思考を問う内容になっている。その特徴からは国語力や数学力、英語力などの基礎学力を出題する検査も多い。この検査を実施することで、採用後に現場で働く際に必要な基礎的能力を測定することができるが、問題の正答率が高ければ採用につながるとは限らない。能力検査は企業との適性やマッチングを確認するための検査であり、企業側がどのような水準を想定して実施しているのか、その水準にどれくらい適しているのかが重視されるのである。

3-2.性格検査
性格検査は応募者の個人としての人となりを見るための検査だ。この検査を行うことで、採用された人材が入社後に企業風土に適しているか、社内で調和を保てるようなチームワークを有しているのかを判断することができる。つまり、性格検査は一般常識や学力ではなく応募者が個人としてどのような思考を持ち、どのように行動することが多いのかを多角的に判断する検査だと言えよう。性格検査は「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3択から選んで解答するYG性格検査、数的な処理を必要とする質問を行い、その解答内容によって応募者の処理能力に対するレベルや性格・行動を判断する内田クレペリンテストなどがある。性格検査は能力検査として対策はほとんど必要なく、むしろ企業に合わせずに自分に正直に解答することが大切だが、内田クレペリンテストに関しては予習をしておいた方がいいだろう。

4.適性検査の方法

能力検査と性格検査はどのような方法を使用してそれぞれ判断するのか疑問に思う人もいるだろう。ここでは適性検査の方法について紹介していく。

4-1.能力検査
能力検査は主に4つの方法を使用して検査を行う。1つ目に行われるのは一般能力テストと呼ばれる検査で、基本的な語彙・論理的思考・演算・推測・知覚の速さなどで測定される。このテストは過去の学習経験が個人差として露骨に現れることが多い。2つ目に行われるのは設問A・B形式で行われる検査だ。Aは言語を用いた質問形式、Bは図形を用いた問題で空間把握の速さと正確さを図る試験となっている。3つ目の試験はパワーテスト・スピードテスト。パワーテストは1問あたりの時間が長いことから高度な能力とパワーが必要とされる内容である。スピードテストは定型的作業の速さ・正確さが判断される。4つ目の試験は客観式・記述式と呼ばれる検査だ。客観式は択一的な設問を行い、記述式は文章の表現力や拡張能力が判断される。

4-2.性格検査
性格検査もいくつか種類があり、質問紙法・投影法・作業検査法の3つが多く採用されている。質問紙法は最も利用実績が多く、設問に対して「はい」「いいえ」の二者択一で答える検査方法だ。設問の内容は回答者の情緒面に関して診断するための関連問題が多いのが特徴だと言えよう。投影法はスイスの精神科医ロールシャッハ氏が考案した「ロールシャッハ・テスト」と呼ばれる心理学的アプローチに基づいて行われる。このテストを行うことで回答者の心理的内面や性格がどのようなものかを割り出すことができる。作業検査法はひとつの作業を長時間続けさせることで個人の作業能力パターンを分析する方法だ。このテストを行うことによって個人の適性と傾向を見出すことが可能である。

十分に対策すれば適性検査は怖くない

適性検査は様々な企業が採用しているため、就活中の学生や転職活動中の社会人は避けて通ることができない検査と言っても過言ではない。しかし、適性検査の参考書は一般書店でも取り扱われているため、事前にしっかり対策をしておけば無闇に怖がる必要はないのだ。適性検査を受けて出た結果は真摯に受け止め、自分自身を正しく分析して今後の仕事などにつなげていこう。

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