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AI OCR とは?導入するメリットや選定のポイント紹介

2022.01.23
オフィスのミカタ編集部

AI ORCとは、AIを活用して手書きや印刷した文字を自動認証し、データ化できる技術のこと。バックオフィス業務を行っている部門では、AI OCRを導入・活用したいと考えている場合もあるだろう。今回は、「AI OCR」の基礎知識や導入のメリット、選定のポイントなどを紹介する。

目次

●「OCR」と「AI OCR」とは
●AI OCR導入で得られるメリット
●AI OCRで業務効率の向上が見込めるHR分野の業務例
●AI OCR選定のポイント
●まとめ

「OCR」と「AI OCR」とは

社会のデジタル化が進む現代において、「OCR」や「AI」を活用した技術は、生活のさまざまな場面で導入が進んでいる。まずは、「OCR」と「AI OCR」の概要について、見ていこう。

OCRとは
OCR(Optical Character Reader)は、「光学文字認識」と訳され、手書きの文字や紙に印刷されている文字を、データ化する技術のこと。スキャナやカメラなどで文字情報を読み込んでデータ化し、処理を行う。従来手入力で行なっていた作業が、OCRの活用により自動でデジタルデータに変換できるようになる。郵便番号や宅急便の伝票のデータ化などを想像するとわかりやすいだろう。

AI OCRとは
AI OCRとは、従来のOCRにAIの機能を加えた技術のこと。従来のCCRでは文字認識の精度に課題があったが、AIによるディープラーニング機能によって文字認識の精度が向上。規則性や関連性を認識し、筆跡パターンがそれぞれ異なる手書き文字も正確に認識できるようになった。

さらに、読み取り位置の調整などもAIが自動で行うことが可能だ。これにより、罫線や取り消し線など、文字以外の情報と文字の識別ができる、帳票フォーマットの設計無しでも項目を自動で抽出できるなど、従来の技術では認識困難とされてきた文字や帳票なども問題なく読み取れるようになる。

AI OCR導入で得られるメリット

AI OCRを導入することでどのようなメリットが得られるのだろうか。

入力業務やデータ化業務の削減
まず挙げられるのが、入力業務やデータ化業務の削減だ。今までは人が読み取り、手作業でデータ入力をしていたものが、AI OCRの活用で自動化できる。これにより、入力にかかっていた時間や手間などのコスト削減につながる。

データ共有や活用の効率化
稟議書や請求書など、これまで紙で取り扱っていた帳票類をデータ化することで、必要な書類の検索が容易になることもメリットだ。また、紙と違って確認のために書類を回覧する必要がなくなり、チームや社内での情報共有と活用が進むことが期待できる。

外部システムやRPAとの連携による業務効率化
AI OCRでは、文字情報の読み取りだけでなく、OCRでは人が行っていた情報の区分け・意味付けなども自動化できる。そのため、例えば会計システムと連動させれば、フォーマットの異なる複数の請求書を自動で処理するといったことも可能だ。

また、人が行なっていた業務をソフトウェアロボットにより、代行・代替する「RPA(Robotic Process Automation)」と連携させれば、PCで手作業で行なっていた作業の自動化や、文字データを自動で読み取りデジタルデータ化させるなど、業務効率を向上させることもできる。

業務の品質向上
今までは、担当者が紙の文書を見ながらデータ入力していく方法が主流であった。そのため、打ち間違いや見間違いなどのミ人為的なミスを減らし、正確さを確保するためのダブルチェックが欠かせないものであった。AI-OCRでも認識の誤りを完全に無くすことは難しいが、手作業によるミスやムラを省くだけでなく、品質の向上にもつながる。

AI OCRで業務効率の向上が見込めるHR分野の業務例

AI OCRで業務効率の向上が見込める業務には、以下のようなものがある。

社内申請のデータ化
一般的に社内申請は必要な書類を印刷して押印し、上司などに承認を得るという承認フローとなっている場合が多い。それらの書類を決済した後にデータ化することで、紙ではなくデータとして保管や管理ができるようになる。

勤怠管理のデータ化
会社の勤怠管理をタイムカードなどで行っている場合、AI OCRを導入するとデータとして保存できる。労働基準法の改正により、出勤日やタイムカードなどの勤怠に関する記録は5年間の保管が必要となっている。長期保管するような場合も、紙ではなくデータとして管理できるため、保管場所の省スペース化や、管理の手間を削減することにつながるだろう。

AI OCR選定のポイント

さまざまなメリットが期待できるAI OCRだが、多くのサービスがあるなかで、どのツールを選定すればよいか選定の基準を知りたい担当者もいるだろう。ここでは、AI OCR選定のポイントを見ていこう。

読み取り精度の確認
AI OCRの導入を検討する際、対象の文章がきちんと読み取り可能か、確認しよう。さらに、これからAI OCRで対応していきたい書類があれば、どの程度読み取り可能か事前に確認することが必要となってくる。

また、レイアウトを自動で認識できるかどうかによって、データ化に必要な工数は異なる。AI OCRには、対象文書の範囲を特定して行うものと、レイアウト設定など事前準備を行えば、柔軟に複数の対象文書の読み取りを行えるものがある。自社での活用目的に合わせて、必要な精度や機能を備えたものを選びたい。

システムのセキュリティ
AI OCRでは、個人情報を含む会社の機密情報を扱う場合も多い。そのため、AI OCRを導入する上では、システムのセキュリティ面も重要だ。第三者認証である「Pマーク」や「ISM」を取得しているかどうかは、セキュリティ対策のひとつの基準になるだろう。

外部システムとの連携可否
AI OCRのみで完結する業務は少ないため、社内で利用している他のシステムやRPAといったものと連携ができるかもポイントになる。導入したいAI OCRと、すでに導入しているシステムやこれから導入しようと考えているシステムとの相性は事前に確認しておこう。

サポート体制
優れている製品だとしても、トラブル時に対応できるサポート体制が整っているか、利用時にどのようなサポートサービスがあるのかなどを確認することも重要だ。もし、スピード感を大事にしている企業ならばそのサポート、全国に支社を持つ企業の場合、全国に散らばっている社員のために説明会を実施するなど、自社にあったサポート体制が整っているかを確認したい。

まとめ

AI OCRを活用すれば、これまで手動で行なってきた入力作業や仕分け業務を自動化させることで業務を効率化させ、帳票などの保管や保存をデジタル化できるといった、メリットが期待できる。人が手作業で行うことで発生していたミスやムラを防ぎ、業務の品質を向上させることにもつながるだろう。AI OCRは、製品によって特徴やサポート体制などが異なるため、自社での目的に合わせて、使いやすいものを選びたい。長期的な費用対効果も見据えて、AI OCRの導入を検討してみてはいかがだろうか。

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