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雇用契約の電子化。雇用契約書・労働条件通知書の電子契約の効率的な進め方を解説

2022.05.13
オフィスのミカタ編集部

リモートワークの導入やDX化が進む中で、「人」を相手にする人事業務に限ってはアナログなままになっているという企業も多いのではないだろうか。人事業務のDX化の基盤を整える上で手始めに着手したいのが雇用契約書類の電子化だ。この記事では、雇用契約書・労働条件通知書の電子化を効率的に進める方法やおすすめのサービスについて紹介する。

雇用契約に必要な書類の定義と目的

電子化の話に入る前に、まずは雇用契約に必要な書類について簡単に解説しておこう。

雇用契約について労使合意を証明する雇用契約書
雇用契約書とは、雇用主と労働者の間で交わされる労働契約の内容を明らかにする書類のことをいう。民法623条では、「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」と定められており、その合意を証明するのが雇用契約書だ。

労働契約の期間や場所・業務内容や報酬を定義する労働条件通知書
労働条件通知書とは、雇用契約を結ぶ際に、雇用主側から労働者に通知する義務のある事項について記載した書類をいう。

労働基準法では「労働条件の絶対的明示事項」として
・労働契約の期間
・有期労働契約を更新する場合の基準
・就業の場所及び従事すべき業務
・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換
・賃金に関する事項
・退職に関する事項
の6項目を定めている。

雇用契約書・労働条件通知書の法律による交付義務の違い
雇用契約書には法律上の作成・交付義務はなく、口頭でも契約は成立する。一方で、労働条件通知書は書面(電磁的方法を含む)で明示することが義務付けられている。上述のように記載すべき項目は決まっているものの、書式は決まっていないため、雇用契約書と労働条件通知書を兼ねて一枚の書類にすることも可能だ。

雇用契約の電子化への必須条件

2019年4月に施行された労働基準法施行規則によって、労働条件通知書の電子化が認められるようになった。ただし、電子化にはいくつかの条件も定められている。以下で詳しく見ていこう。

労働者が電子化を希望していること
改正後も、労働条件は原則、書面での明示が必要なことに変わりはなく、「当該労働者が希望した場合」のみメール等の方法も可能とされている。そのため、電子化をする場合には個別に合意を得る必要がある。

本人のみ閲覧できるように送信すること
明示する方法として認められているのは、「受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信の方法」とされているため、本人のみが閲覧できる方法をとる必要があると考えられる。つまり、共有フォルダなどで共有するだけでは条件を満たさないということだ。

書面として出力できる状態であること
電子化にあたっては、「電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る」と定められており、書面でプリントアウトできる必要がある。印刷を前提としていないSNSなどで送信する方法ではこの要件を満たせないので、注意が必要だ。

雇用契約を電子化することのメリット

上述のようにいくつかの条件をクリアする必要がある中でも、企業が積極的に雇用契約を電子化するメリットとは何だろう。ここでは主要な3点について詳しく見ていこう。

オンラインでの契約対応が可能になる
1つ目のメリットは、リモートワークに対応し、オンラインでの契約対応が可能になることだ。対面での契約と異なり時間を合わせる必要もないため、企業側・労働者側双方にとって手間が少なく、採用決定から勤務開始までの時間も短縮できるだろう。

契約書の管理効率が上がる
雇用契約書類は入社時だけに交わされるものではなく、契約更新や労働条件の変更のたびに必要になるものだ。電子化にすれば、保管場所の確保も必要なく、更新時期の管理なども容易になるため、管理コストを大幅に削減できる。

印刷代や郵送費などの事務コストが削減できる
従業員が増えれば、印刷代などの事務コストも軽視できない。また、複数の店舗・支社を構える企業であれば、現場から本社への郵送代がかかっているケースも多いだろう。こうした利益を生まない管理業務にかかるコストは積極的に削減したいところだ。

雇用契約の電子化を導入する際の注意点と対策

ここで、雇用契約を電子化する際の注意点とその対策についても触れておこう。

改ざんが防止でき原本性が主張しやすい電子署名で効力を担保
1点目は、合意内容の法的証拠としての効力を担保することだ。企業が交わす契約の中でも、雇用契約は紛争が起きやすい契約である。そこで万が一の時に備え、電子契約サービスの中でも原本性が主張しやすい電子署名タイプのものを選んでおくと安心だ。改ざんを防止する機能がついており、手書きの署名と同様の効力が認められる。

本人の希望を確認の上フォーマットに準拠した労働条件通知書を交付
「雇用契約の電子化の必須条件」の項でも述べた通り、労働条件の明示を電子対応できるのは本人の希望があった場合に限られる。電子化の運用を進める際は、本人の希望確認のフローを必ず実施し、明示事項に漏れのないようフォーマット化した書類を用いるようにしたい。

書類の安全保存・管理を含む改正電子帳簿保存法への対応
3点目は改正電子帳簿保存法への対応だ。電子契約で雇用契約を結んだ場合には、電子帳簿保存法に則した形で保存をする義務がある。主な要件となるのは、真実性・見読性・検索性の3点を確保することである。電子契約サービスを導入する際には、改正電子帳簿保存法に対応したサービスを選ぼう。

改正電子帳簿保存法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考いただきたい。

関連記事:2022年1月に改正される電子帳簿保存法とは?概要と改正内容のポイント

雇用契約書・労働条件通知書を電子化する方法

雇用契約書類を電子化する方法としては、以下の3パターンが挙げられる。書類の内容自体は紙ベースの運用で使っていたものから変える必要はないものの、これを機により効率的な方法を模索してみるとよいだろう。

労働条件通知書のみを電子化して交付する場合
1つ目は、労働条件通知書のみを電子化して交付する方法だ。雇用契約書の交付は法律で定められていないため、労働条件通知書の交付だけで法律的には問題ない。

ただし、就業規則などを含めて労働者が合意したという証拠が残らず、トラブルを引き起こしかねないため、合意の証拠が残る契約書を交わしておくことをおすすめする。

雇用契約書・労働条件通知書を電子化して交付する場合
2つ目は、雇用契約書と労働条件通知書の2つの書類を電子化する方法だ。コンプライアンスを重視する企業では、個別の労働条件を労働条件通知書に明記した上で、全社員共通となる就業規則の中でも重要な項目を雇用契約書に明記して運用するケースもある。
ただし、2つの書類を作成・管理する手間が生じる。

雇用契約書兼労働条件通知書を電子化して交付する場合
3つ目の方法は、雇用契約書と労働条件通知書を一つの書類にまとめて交付する方法だ。労働条件通知書に記載すべき内容を網羅した上で、「その他は当社就業規則による」などの文言を加えておき、労働者に署名してもらうことで就業規則の内容についても合意した証拠を残すことができる。

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雇用契約の電子化に適した国内主要の電子契約・電子署名サービス

クラウドサイン|弁護士ドットコム株式会社
弁護士ドットコム株式会社が提供しているクラウドサインは、導入者数・実績数とも国内屈指を誇る電子契約サービスだ。紙と印鑑を使った従来の契約業務を、PDFのアップロードとメールでの通知という方法に変換させることで、1週間ほど必要だった契約までの作業時間を、早ければ数分で完了できる。契約書一通あたりのコストは300円と、人件費や郵送・収入印紙代に掛かっていたコストを大幅に削減することも可能だろう。月額固定費用は10,000円~利用できる。

公式HP:『 クラウドサイン』
関連記事:『クラウドサインとは?メリット・デメリットから適法性までをわかりやすく解説』

電子印鑑GMOサイン|GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
電子印鑑GMOサインは、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が運営するクラウド型の電子契約サービスだ。契約印タイプ(立会人型)の送信料は、1件あたり110円と格安で利用できる。電子帳簿保存法に準拠しており、権限設定や閲覧制限機能で、大事な⽂書を管理することが可能だ。また、月間5件までなら無料で試せるフリープランもあるため、導入を迷っている企業も試しやすいだろう。

公式HP:『電子印鑑GMOサイン』

BtoBプラットフォーム契約書|株式会社インフォマート
株式会社インフォマートが運営している電子契約サービスが、BtoBプラットフォーム契約書だ。タイムスタンプ、電子著名が付与され、自社の会社を含めた最大5社間契約まで実施可能で、過去に"紙"でやり取りしていた文書もクラウドで管理・共有ができる。電子帳簿保存法の保存要件を満たし、税務調査対策も可能だ。契約締結が5件までなら月額使用料0円で試せるフリープランを採用しているため、契約数が少ない企業には特に導入しやすいサービスだ。

公式HP:『BtoBプラットフォーム契約書』

CONTACTHUB|日鉄ソリューションズ株式会社
CONTACTHUBは、日鉄ソリューションズ株式会社が提供している電子契約システム。2013年にサービスを開始した、業界のパイオニア的存在だ。金融や製造、小売など多様な業界の大企業を中心に導入されており、2022年5月現在で50万を超えるユーザーが利用している。電子契約を取り巻く環境変化に対応し、継続的なバージョンアップを実施。また、定期的なユーザー会・勉強会の開催などを通し、顧客ニーズを継続的にサービスに反映する取り組みを実施している。

公式HP:『電子契約サービスCONTRACTHUB』

paperlogic電子契約|ペーパーロジック株式会社
ペーパーロジック株式会社が展開しているpaperlogic電子契約は、文書に応じて「立会人型」と「当事者型」の署名を使い分けることができる、電子契約サービスだ。電子契約のほかにも、電子稟議、電子書庫にも対応しているため、ワークフローの複雑さや文書管理に課題を持つ企業にもおすすめしたい。請求書や納品書なども全て電子化できるため、事務作業の効率化につながるだろう。フラットな固定料金制(20,000円/単一プラン)を採用しているため、契約数の多い企業ほど、一件あたりのコスト削減につながる。

【無料】資料DLはこちら:『paperlogic電子契約 - オフィスのミカタ』

かんたん電子契約forクラウド|セイコーソリューションズ株式会社
かんたん電子契約forクラウドは、セイコーソリューションズ株式会社が提供する、電子契約と電子帳簿保存法に対応した書類の保管ができるクラウドツールだ。電子契約はじめ、捺印業務の電子化、文書保管などの電子化用途でも利用できる。

最大30名に対応した三者間契約や立会い型署名のほか、契約ステータス確認昨日やアカウント管理機能、契約書のひな形登録など多数の機能を搭載しており、契約業務の効率化を実現できるだろう。電子帳簿保存法に対応した電子契約を1カ月間月額使用料無料(別途送信料100円/件・アップロード代20円/件他)で試せるほか、月額10,000円~で利用できる。

【無料】資料DLはこちら:『かんたん電子契約forクラウド - オフィスのミカタ』

まとめ

DX化の大きな波が訪れる中で、雇用契約書類の電子化も例外ではない。人事担当者がコア業務に注力できるようにするためにも、電子契約サービスなどを活用して業務効率化を目指していってほしい。無料トライアルなどを活用して使い勝手を試すところから始めてほしい。

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