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人事業務のアウトソーシングとは?期待できる効果や、注意点などを解説!

2022.05.26
オフィスのミカタ編集部

人事業務のアウトーソングは、定型業務の効率化に効果的な手段だ。アウトソーシングすることで、自社の人材がコア業務に注力できるほか、外部のノウハウを活かしたアウトプットが得られるなどの効果も大きいと言える。一方で、情報漏洩などのリスクが生じる場合もあり、導入を迷う担当者もいるだろう。本記事では、人事労務業務でアウトソーシング可能な業務の紹介のほか、得られるメリットやデメリットなどについて解説する。アウトソーシングを検討材料に役立ててほしい。

目次

●人事業務のアウトソーシングとは
●人事部門でアウトソース可能な代表的業務は?
●アウトソーシングで得られるメリット
●アウトソーシングのデメリットとは
●人事アウトソーシング先選定のステップ
●人事業務の効率化には、クラウドシステムの活用も有効
●まとめ

人事業務のアウトソーシングとは

人事業務のアウトソーシングとは、企業における人事・労務分野の業務を外部委託すること。人事労務業務は煩雑な作業を伴う性質があるため、人出不足による長時間労働や特定の人に業務が偏る業務属人化などが課題となっている。そのため、アウトソーシングは人事部門が抱える課題解決策として有効な手段と言えるだろう。

人事部門でアウトソース可能な代表的業務は?

まずは、人事部門においてアウトソースが可能な代表的な業務について紹介していく。

給与計算、勤怠管理
給与計算や勤怠管理は、アウトソーシングできる業務のひとつだ。社会保険や税金などに関する法的な専門知識を要する給与計算や勤怠管理は、内製化すると工数もかかる。アウトソーシングでは、専門知識を持つエキスパートに、給与計算から明細の作成・給与振り込みまでの一連の工程を委託することが可能だ。

社会保険業務
社会保険料の算定に関わる標準報酬月額の改定や賞与支払届、育児休業給付金などの申請などに代表される社会保険業務もアウトソーシングが可能だ。これらの業務は法改正に対する的確な対応が求められる。専門知識を有する専門職などに委託することで、正確な処理が期待できるだろう。

面接、採用
社員の採用業務も委託可能だ。採用業務は求人掲載や説明会の実施、選考・面接などのざまざまな工程があり、採用数の多い企業ほど事務作業も煩雑になる傾向にある。採用業務を代行してもらうことで、業務効率化を図ることができるだろう。

人材育成
社内の研修運営や人事評価制度の構築を委託することも可能だ。研修代行では計画、運営、評価(フィードバック)までの、一連の業務を請け負ってくれるサービスもある。研修の運営業務をアウトソーシングすることで、人材育成計画の立案や評価など、より本質的な業務に注力できる。

アウトソーシングで得られるメリット

ここでは、アウトソーシングにより得られるメリットを解説する。

担当者がコア業務に専念できる
人事業務をアウトソーシングすることで、人事部門社員の負担軽減が期待できる。それにより、人事制度改正やマネジメントなどのコア業務に注力できる余力が生まれ、業績の向上に繋げることもできるだろう。

法令への対応
弁護士や社会保険労務士などの専門職などへのアウトソーシングで、法令改正に対応する正確かつ迅速な対応が期待できる。働き方改革が推進されている今、社会保険関連法や労働基準法の改正が頻繁に行われ、法改正への対応をおろそかにしていると、法律違反で罰せられるリスクもある。専門職の知見を活用することで、これらのリスクを低減できることもメリットと言えるだろう。

コスト削減
アウトソーシングするにあたり、既存の業務フローの見直しを行うことで、ムダな業務削減のきっかけを生むことにつながる。加えて、労務担当者を自社で雇用すると、業務遂行のための教育コストなども必要になる一方、アウトソーシングでは余計なコストはかからない。そのため、担当者を雇用するのに比べて安価に労務業務を委託できる場合もある。

人材不足解消
定型業務をアウトソーシングすれば、コア業務に必要な人員だけで組織運営が可能となり、人材不足の解消が期待できる。労働人口の減少が課題になっている中、既存の人材を最大限に活用することで生産性の向上につなげることもできるだろう。

アウトソーシングのデメリットとは

人事業務をアウトソーシングすることで得られるメリットがある一方で、デメリットもあることを覚えておきたい。ここではアウトソーシングで想定できるデメリットを紹介する。

自社のノウハウ蓄積が困難になる
人事業務に限らず、業務を外注することで自社に業務ノウハウが蓄積されにくくなる点がデメリットとして考えられる。社員のノウハウが乏しくなると、業務委託を中止したり、内製化に移行したりした際の業務遂行に支障が出るリスクがある。そのため、予め内製化する業務と委託する業務の線引きを行い、ノウハウを蓄積できるよう対処しておくことも必要だろう。

データ連携やチェック作業などの手間がかかる可能性
例えば、「給与計算」のみをアウトソーシングした場合には、関連する社会保険や税務などの業務と分断されてしまい、再集計が必要となる場合もある。このように、業務の切り出し方によっては、内製化している業務との重複情報が多く、余計な手間が生じる可能性も考えられる。また委託先のミスを防止するための「結果チェック」も行う必要があり、追加の手間が生じかえって業務負担になるという可能性があることも覚えておきたい。

情報漏洩のリスクがある
アウトソーシングは、外部企業に個人情報などのデータを渡すことになるため、情報漏洩のリスクが避けられない。人事業務では特に慎重に扱うべき情報が多いため、委託先のセキュリティ対策などを確認し情報漏洩リスクに備えることをおすすめする。

人事アウトソーシング先選定のステップ

実際にアウトソーシングの検討を行う場合に、知っておきたい委託先選定のステップを紹介する。

<ステップ1>人事業務・課題の整理
まずは、自社の人事業務の内容を整理する必要がある。業務を洗い出して整理することで、どのような部分がボトルネックになっているのか、部署が抱える課題が見えやすくなる。この作業を行うことで、アウトソーシングすることでより効果が望めそうな業務が明確になるだろう。委託先選定の基準を明確にするためにも、最初に取り入れたいステップだ。

<ステップ2>アウトソース業務範囲の設定
続いて、アウトソースする業務範囲の明確化を図る。例えば採用業務をアウトソーシングする場合などは、計画立案・面接・内定者フォローなど、どの工程を委託するのかを検討する必要がある。その際は、アウトソーシングすることでより高い効果が望めるかどうかを、ステップ1の結果も踏まえながら検討しよう。自社で行う業務とアウトソースする業務の線引きを行うことで、効果的なアウトソーシング活用につながるだろう。

<ステップ3>業務フローの整理
アウトソーシングしたい業務範囲が決まったら、業務フローの整理を行う。このステップでは委託先との連携手段や、イレギュラー事案発生時の対応方法、既存システムの見直しなどの検討を行うことが望ましい。必要に応じ業務フローの再設計を行うなどし、スムーズなアウトソーシング導入を目指すのがよいだろう。

<ステップ4>委託先企業の選定
最後に、委託先企業の選定を行う。候補に挙がった委託先企業の強みや実績の比較検討を行いたい。自社の求めるニーズに合う企業を複数選び、実際に担当者からのヒアリングを行うとよいだろう。ここで大切なのは、自社の将来展望も視野に入れておくことだ。委託先に任せきりせず、業務改善を自社で行うことができるよう、委託先担当者を通し自社にもノウハウを蓄積できるようなスキームを構築しておくことも大切だ。

人事業務の効率化には、クラウドシステムの活用も有効

人事業務の効率化を図るにはアウトソーシングは有効な手段だ。しかし、さまざまな理由でアウトソーシングが難しいケースもあるだろう。その場合には、人事業務を効率化できるクラウドシステムの活用も有効な手段と言える。例えば、給与計算や労務管理などでは、制度や法改正に対応可能なサービスも多くある。比較的安価で導入できるサービスや、サポート体制が整っているものもあるため、活用を検討してみるのもよいだろう。

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まとめ

人事アウトソーシングは人出不足の解消や専門職からの高い成果が得られるなどのメリットがあり、業務効率化に有効な手段と言えるだろう。一方で、アウトソーシングには懸念すべきデメリットもあることを覚えておきたい。実際のアウトソーシング導入フローなども参考にしながら、導入を検討してほしい。