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ステークホルダーに経営状況を伝える財務会計の仕組みと業務効率化のポイントを解説

2022.08.08
オフィスのミカタ編集部

企業外部に経営状況を伝えることを目的とする財務会計。企業活動を行う上で必ずすべき義務の一つだ。今回は財務会計の仕組みから業務効率化のポイントについて解説する。

企業外部のステークホルダーに財政状態を開示する財務会計

まずは財務会計について概要や機能について解説する。

財務会計と管理会計の違いは活用目的や対象者が内部か否か
財務会計と管理会計を比較すると以下のようになる。

大きな違いは、「活用目的や対象者が内部なのか、外部なのか」ということ。また、財務会計は全ての企業に必要な会計で、管理会計は任意であり内容も企業ごとに異なるのもそれぞれの大きな特徴だ。

財政状態と経営成績を報告する目的で行う会計
財務会計は株主や債権者、税務署など、企業外部に対して財政状態と経営成績を報告するために行われる。財政状態とは決算日において企業の所有する資産・負債状況を指し、経営成績とは決算日が含まれる会計期間内にどれだけの利益を獲得できたかを示す指標だ。

財務会計は「情報提供」と「利害調整」の機能を有する
財務会計は2つの機能を有しており、そのうちの「情報提供」は、ステークホルダーに対して投資や融資(貸付)の判断材料を提供するために行われる。「利害調整」は、株主と経営者、株主と債権者といった利害関係者間の利害を調整する機能だ。経営者が適切に資金を運用しているのかを財務諸表の開示により確認することができる。

財務会計は全ての企業が従うべき規範「企業会計原則」を遵守する義務

財務会計には「企業会計原則」という規範がある。詳しく見ていこう。

企業会計原則は3つの原則
企業会計原則には3つで構成されており、それぞれ「一般原則(7つの原則)」「損益計算書原則」「貸借対照表原則」という。

「一般原則」
企業会計における理念や指針で、7つの原則で構成されている。ほかの2つの構成要素の上位に位置づけられている。詳しくは次の項で説明する。

「損益計算書原則」
損益計算書における計上方法や表示方法について記載している。基本的には発生した時点で計上する「発生主義」を原則としているが、収益については出荷基準や検収基準など、販売の実現によって計上する「実現主義」を原則としている。

「貸借対照表原則」
貸借対照表における、資産や負債、資本の計上方法や表示方法を記載している。

企業会計原則の一般原則に設けられた7つの原則
企業会計原則のうち、一般原則には7つの原則がある。内容は以下の通りだ。

「真実性の原則」 … 企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない

この原則は7つの原則の中で特に重要性が高く、情報改ざんされていない正確な財務諸表の作成が求められる。

「正規の簿記の原則」 … 企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない

すべての取引を正規の簿記で行うことが規定されている。正規の簿記とは、一般的に複式簿記を指す。

「資本取引・損益取引区別の原則」 … 資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない

企業財務の健全性を保つために重要な原則で、利益隠しなどを防止する役割を果たす。

「明瞭性の原則」 … 企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない

ステークホルダーにも分からない名称があったり、わかりにくい事柄に対して説明を入れたりして明瞭に表現することを促す原則。ステークホルダーの誤解を招くような表現は行わないようにしたい。

「継続性の原則」 … 企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない

会計処理や手続きの方法は基本的には一度採用したものを適用するとされている。正当な理由がある場合には変更が可能だが、その旨を財務諸表に注記する必要がある。

「保守主義の原則」 … 企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない

財務上で不利益が生じる可能性がある事象は慎重に会計処理を行う必要がある。

「単一性の原則」 … 株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない

財務諸表は税務申告、金融機関、株主など開示目的や提出先によって複数のパターンで作成されるが、元となる会計帳簿は1つであり、計算方法も表示方法も同じでなければならない。

財務会計の業務の流れ

次に財務会計の業務ワークフローを見ていこう。

日々発生する取引を処理する日次での会計業務
経費の仕訳や売上・仕入れ、未払金や立替金の処理など、日々発生する取引を処理する。具体的には消耗品費や通信費、従業員の旅費交通費、接待交際費、雑費などについては日々の会計で処理する。

月単位で発生する売上や仕入れ、給与などの会計処理
給与の仕訳を筆頭に、売上と仕入れ、立替金など、日次の処理とならなかった経費や月単位で発生するものを行う。

年末調整や期末決算で1年間の取引を集計した決算書を作成する年次の業務
年に一度行われる年末調整や期末決算が年次の会計業務となる。業務が1年で1番忙しくなるのがこの年次業務の時期だ。

決算整理仕訳を行い、税引き前利益を確定させた後、確定申告書の作成や決算書を作成する。年次会計業務は年に1回しか処理しない会計業務であるため、業務の際には注意が必要だ。

財務会計の業務効率化を進めるためには会計システム導入が不可欠

財務会計は業務量が多く煩雑だ。業務の効率化を進めるには会計システムの導入が不可欠だろう。会計システムを導入した際の主なメリットは以下の通り。

人的負担が軽減され、ヒューマンエラーの軽減にもつながる
システム導入によって自動化が進んで人的負担が軽減されることにより、ヒューマンエラーの軽減にもつながる。

ツールの連携でバックオフィス業務全体のデータをもとに効率化できる
バックオフィス業務において、他にもシステムやツールを導入している場合、ツール同士を連携させることで業務全体のデータを集約し、効率的な業務を行うことができる。

ペーパーレス化が進み会社の経費も削減できる
会計システムを導入することで帳票や帳簿、財務諸表などを電子データとして運用できるようになり、ペーパーレス化を推進できる。それにより、印刷にかかる費用や書類の保管場所、管理に係るコストが削減できる。

データの電子化によりフレキシブルな場所を問わない働き方改革も推進できる
電子データにすることによって、業務担当者たちは出社せずとも業務が可能になり、働き方改革を推進できる。

以下の記事では会計システムについて、網羅的に解説している。ぜひ参考にしてほしい。
会計システムとは?導入のメリットや主な機能、選定のポイントを紹介

財務会計システムには財務分析機能や予実管理のできる経営管理機能が必要

財務会計システムとして利用できるプラットフォームを紹介する。

Manageboard
Manageboard(マネージボード)はアジャイルな経営を支援する予算管理プラットフォームとして提供されている財務会計システム。計画的な経営を実現させ、データを活用して経営解像度向上を目指すことができる。
https://service.manageboard.jp/

勘定奉行クラウド
業務制度・企業の生産性を向上させる経理DXとして、人気がある。多くの業務をデジタル化し、業務時間を9割削減するという。
https://www.obc.co.jp/bugyo-cloud/kanjo

MJSかんたんクラウド会計
誰でも簡単に使える会計システムとして支持されるかんたんクラウド会計。幅広い業種に対応している。会計事務所と連携することができる。
https://www.mjs.co.jp/topics/lp/kantan-cloud/

まとめ

ステークホルダーに開示するために作られる財務会計は重要な役割を担っているが、多くの企業にとって業務の負荷が高くヒューマンエラーが発生しやすい。財務会計システムを上手に活用し、企業会計原則を遵守した信頼性の高い財務会計が行えるようにしてほしい。