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パートタイム労働者の有給休暇取得の仕組みと、その課題・解決法を解説

2022.09.27
オフィスのミカタ編集部

働き方改革に伴う労働基準法改正で、2019年4月から有休取得の義務化が始まった。それにより、年次有給休暇管理簿の作成・保存も義務付けられ、人事・労務担当者の負担となっている。特に、パートタイム・アルバイト従業員を多く抱える企業では、週所定労働時間や労働日数によって変動する有休付与日数の煩雑な管理に頭を悩ませている担当者も多いだろう。そこで、この記事ではパートタイム労働者の有給休暇取得の仕組みやその課題・解決法について詳しく解説する。

年次有給休暇の付与日数と要件

まずは、年次有給休暇の付与の要件と付与日数について説明しよう。

パートタイム労働者における付与日数

年次有給休暇の付与日数は、上の表のように所定労働日数によって異なり、また勤続年数が長くなると増加する。また、週所定労働時間が30時間以上の場合は、労働日数にかかわらず週5日(年間217日以上)と同じ扱いになるため注意したい。この付与日数は正社員・パートタイムに関係なく、次に紹介する付与要件を満たした従業員全員に適用される。

年次有給休暇の付与要件
年次有給休暇が付与される要件は次の2つだ。
・雇入れの日から6ヶ月継続勤務していること
・全労働日(所定労働日)の8割以上出勤していること

「継続勤務」は勤務の実態に即して実質的に判断され、例えば契約更新を行った場合でも継続勤務として扱われる。また、法律上の育児休暇や介護休暇などの期間も出勤とみなされる。

以下の記事では2019年4月から義務付けられた有休取得に関する内容を詳しく紹介している。ぜひ確認してほしい。
おさえておきたい!人事・労務の基礎知識Vol.6 年5日の取得が義務化された有給休暇 付与日数や計画有給制度の活用方法を詳しく解説

有給休暇に対する賃金は3つの方法から選択できる

次に、有給休暇を取得した日の賃金の計算方法について説明しよう。計算方法は以下の3通りあり、就業規則で採用している算出方法を明記することが義務付けられている。部署や従業員によって算出方法を変えることはできないため注意しよう。

①労働基準法で定める平均賃金
1つ目は、平均賃金から算出する方法だ。

過去3ヵ月の賃金の総額÷過去3ヵ月間の暦日数にて算出される。
ただし、過去3ヵ月間の労働日数が通常に比べて少ない場合には、
・過去3ヵ月の賃金の総額÷過去3ヵ月間の暦日数
・過去3ヵ月の賃金の総額÷過去3ヵ月間の労働日数×0.6
の高い方を選んで支給する。

②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
2つ目は、所定労働時間の労働に対して支払われる賃金から算出する方法だ。事務処理が容易で、多くの企業で採用されている。
時給制の場合であれば、時給×所定労働時間で算出される。

③健康保険法に定める標準報酬月額の30分の1に相当する金額
3つ目は、健康保険料計算で用いられる標準報酬月額から算出する方法だ。
標準報酬月額÷30を標準報酬日額として支給する。

ただし、この算出方法だと有給休暇時の賃金が少なくなる可能性があるため、労使間での協定が求められる。

パートタイム労働者の有休取得義務化への罰則

有休取得の義務化には罰則規定が設けられており、違反した場合には従業員一人あたり30万円以下の罰金が課せられる。有給休暇の取得義務の対象となるのは、年に10日以上の有給休暇が付与された従業員で、年5日以上取得しなければならない。仮に従業員が有休の取得を希望しない場合でも、労働基準監督署の監督指導において法違反かどうか判断されるので注意が必要だ。

有給休暇付与で注意すべきポイント

ここで有給休暇の付与に関して注意すべきポイントを3つ紹介しよう。

有給休暇は発生後、2年で消滅する
使わなかった有給休暇は次年度に繰り越せると定められている。ただし、付与日から2年経過すると権利が消滅するため、繰り越せるのは前年分のみということになる。

パート従業員は時季指定権を持つが、会社は時季変更権を持っている
労働基準法では、「使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」と定められている。同時に、「事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」ことも明記されている。これが時季指定権と時季変更権の根拠である。とはいえ、有給休暇は従業員の自由な取得を基本とするものであるため、時季変更権はむやみに行使せず、有休を取得しやすい環境を整えることが重要だ。

契約更新をした場合にも休暇日数は引き継がれる
パートタイム従業員であれば、半年や1年単位で契約更新を行ったり、途中で正社員に切り替えたりすることも多いだろう。こうした場合でも、有給休暇は引き継がれ、勤続年数も通算して計算される。

有給休暇を管理する上での課題

有給休暇の付与や取得、時季指定、管理簿作成など、有給休暇まわりの業務は煩雑さを増している。ここでは有給休暇を管理する上での課題を紹介しよう。

パートごとに付与日数が違うため、管理が煩雑
パートタイム従業員の場合、上述のように所定労働日数によって付与日数が異なるため、付与日数の管理は煩雑になりやすい。有給休暇管理システムを導入するなど、人手に頼らない体制構築が求められるだろう。

管理表の作成業務が負担となり、人的ミスが起こる
有給休暇の取得義務化に伴って、年次有給休暇管理簿の作成と3年間の保存が義務付けられることとなった。有休の付与・取得は従業員ごとの個別管理が求められるため人的ミスも起こりやすい。できるだけ自動化するなどして、ミス削減と効率化を図ろう。

パートも正社員も一元管理するおすすめ有休管理システム

最後に、煩雑な有休管理業務の効率化に役立つシステムを3つ紹介しよう。

ジョブカン勤怠管理
あらゆる勤務形態に対応し、必要な機能だけを組み合わせて導入できる点が魅力の「ジョブカン勤怠管理」。有給休暇の管理に特化した機能も搭載しており、イレギュラーな有休日数の付与や自動計算、取得促進メール、管理簿作成まで行える。利用料金は1ユーザーあたり月額200円〜。30日間の無料お試しも可能だ。
https://jobcan.ne.jp/

オフィスステーション 有休管理
有休管理に特化したシステムとして、2万社以上の導入実績を持つのが「オフィスステーション有休管理」だ。雇用形態に応じた付与や前渡し、時期繰越にも対応し自動付与される他、有休未取得者の自動抽出や自動メールなど、機能が満載。料金は、登録料11万円、月額利用料が1ユーザーあたり110円。無料トライアルも実施している。
https://www.officestation.jp/yukyu/

Touch On Time
クラウド勤怠管理システムとして人気の「Touch On Time」は、打刻から勤怠管理、シフト管理、有休管理機能まで付いて、1ユーザーあたり300円という安さが魅力。有休の自動付与や取得日数・残日数の確認、管理簿のEXCEL出力も可能だ。30日間の無料トライアルも行っている。
https://www.kintaisystem.com/

まとめ

有給休暇の管理は、コンプライアンス遵守のためだけでなく、働きやすい環境づくりのためにも欠かせない業務だ。個別の管理が求められる煩雑な事務業務への対応として、有休管理システムを導入するなど、体制構築を進めて欲しい。まずは、無料トライアルで自社に合うシステムを見つけるところから始めてみてほしい。