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内定通知書とは?採用通知書との書き方の違いや、記載事項などを解説

2022.08.23
オフィスのミカタ編集部

内定通知書は、人事採用の採否を応募者に通知するために送付する書面のことだ。採用する側の企業は、応募者に対し採否を電話やメールで連絡をするだけでなく、書面で内定を正式に伝えることが望ましい。しかし、記載する内容や、送付のタイミングなどに迷う担当者もいるのではないだろうか。本記事では、混同しがちな「採用通知書」との違いや、内定通知書の作成方法、送付方法などを解説するので、採用に関わる担当者は参考にしてほしい。

目次

●内定通知書とは
●内定通知書の記載事項
●内定通知書に同封したい書類や送付方法
●まとめ

内定通知書とは

内定通知書とは、企業が採用内定者に対し内定を正式に伝えるための書面だ。内定通知書の発行は企業に義務付けられてはいないものの、トラブルを避けるためにも通知は書面で行うことが望ましい。まずは、内定通知書の概要などを解説していく。

そもそも内定は何を意味するのか
そもそも「内定」とは、「採用や昇進などが決まること・決めること」を意味する言葉だ。採用活動における内定とは、「入社後の雇用契約について合意ができた状態」を指し、内定者が内定を受諾すると成立する。内定が成立すると、労働者と企業の間で労働条件の合意が結ばれ、就労開始予定日からの労働契約が成立しているとみなされる。そのため、内定取り消しは解雇に相当する。一方で、内定者側からの内定辞退は可能とされている。

関連記事:『新卒採用の内定~企業人事が入社に向けて準備すべきこと、できること - オフィスのミカタ』

内定通知書とは
内定通知書とは、内定を決めた応募者に内定の事実を知らせる書類のこと。オファーレターとも呼ばれ、新卒採用では送付する場合が多い。内定通知書は、「労働契約の申込の承諾」を示す書類と認識され、法的な送付義務はないが新卒採用の場合は送付を行うのが一般的だ。中途採用では内定から採用までの期間が短いことが多いため、送付を省略する場合もある。

採用通知書との違い
内定通知書と混同しがちな書類のひとつに「採用通知書」がある。採用通知書は、応募者に対して正式に「採用」を決定したことを伝える書類を指す。企業側が応募者を採用しようと決めたときに採用意思を通知する書類であり、応募者がその企業に入社したいかどうかは別として、企業側の意思を一方的に通知するものだ。採用通知書は、応募者側との労働条件の合意が無い状態であるため、法的な拘束力はない。

労働条件通知書との違い
労働条件通知書も内定通知書と混同しやすい書類といえる。労働条件通知書は内定者に対し、企業が労働条件を提示するための書類だ。労働基準法で労働条件の通知は義務とされており、内定者に必ず通知しなければならない。法的義務があるかどうかが、内定通知書と異なっている。

参考:『採用時には、どのような労働条件をどの程度明示しなければならないのですか?|事業者・労務管理担当の方のQ&A』

内定通知書の記載事項

内定通知書の具体的な記載事項をみていこう。内定通知書の記載事項は主に以下の7項目があげられる。

1.日付、応募者の氏名、社名、タイトル
2.採用試験への応募のお礼
3.内定した旨の通知
4.同封書類の内容・返送書類の提出期限
5.入社日
6.労働条件の通知
7.連絡先(問い合わせ先)

ここからは、それぞれの項目ごとの記載のポイントと記載例を紹介する。

1.日付、内定者の氏名、社名、タイトル
一般的なビジネス文書と同様に、まずは、右上に日付を記載する。段落を空け、内定通知書の送り先である内定者の氏名も記載しよう。なお、日付は内定通知書を送付する日付、応募者の敬称は「殿」、「様」を使用する。

一段下げて、右端に社名および代表者氏名を記載し、その下段で中央に「内定通知書」と記載する。

2.採用試験への応募のお礼
ここから先が本文となる。まずは、自社へ応募してもらったことへの感謝を伝えよう。「頭語」「相手の繁栄を喜ぶ言葉」「応募への感謝の言葉」の順序で書くのが一般的だ。

<例>
謹啓 ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。この度は、数ある企業の中から当社にご応募いただき、誠にありがとうございます。また、選考時には度々ご足労をいただきましたこと、重ねてお礼申し上げます。


3.内定した旨の通知
続いて、内定したことを簡潔に伝える文面を入れる。また、後日入社日や手続きなどについて改めて連絡することを予定している場合は、その旨も記載しておこう。最後に、「〇〇様と共に働く日を、心よりお待ち申し上げております」など、気持ちを込めたメッセージを添えると、良い印象を持ってもらいやすくなる。

<例>
採用選考を重ねた結果、貴殿の内定を決定いたしましたのでご連絡いたします。
つきましては同封の書類をご確認いただき、必要事項をご記入の上、期日内にご返送ください。
なお、入社日や入社手続き等につきましては、別途ご案内を送付いたします。ご不明な点等がございましたら、末尾に記載の弊社担当連絡先までお問い合わせください。

〇〇様と共に働く日を社員一同、心よりお待ち申し上げております。


4.同封書類の内容・返送書類の提出期限
内定通知書に同封した書類がある場合には、その書類について明記をしておきたい。この際、同封した部数も忘れずに記載しておこう。また、その書類を返送してもらう必要がある場合には、返送期限も明記しておこう。

<例>
提出書類:内定承諾書 1通(提出期限:20××年〇月〇日)


5.入社日
入社日が決まっている場合は、入社日も記載しておこう。入社日が未定の場合は、いつまでに案内するのかを記載しておきたい。

<例1>
入社日は〇〇年〇月〇日です


<例2>
入社日や入社手続きについては◯月◯日頃に別途ご案内を送付いたします。


6.労働条件の通知
内定通知書内で労働条件を記載する場合は、下記の事項について明記しなければならない。内定通知書とは別に労働条件を送付する場合は、内定通知書には労働条件を記載しない場合もある。

<書面の交付により明示しなければならない事項>
(1)労働契約の期間に関する事項
(2)期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
(3)就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
(4)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
(5)賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期に関する事項
(6)退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

参考:『採用時には、どのような労働条件をどの程度明示しなければならないのですか?|事業者・労務管理担当の方のQ&A』

7.連絡先(問い合わせ先)
最後に、内定者が質問や問い合わせをしやすいよう、担当者名・電話番号・メールアドレス等を記載する。

<例>
人事担当〇〇 〇〇 TEL〇〇〇‐〇〇〇〇‐〇〇〇〇 MAIL〇〇〇〇@〇〇.〇〇.〇〇

内定通知書に同封したい書類や送付方法

内定通知書は、面接日から10日以内を目途に送付するのが目安だ。結果通知が遅れると内定者を不安にさせてしまいかねない。また、内定者は自社以外にも採用選考を受けている場合が多く、他社から内定をもらっている可能性もあるため、他社に先を越されないためにも速やかに送付することが望ましい。ここでは、内定通知書に同封したい主な書類や、送付方法を紹介する。

内定通知書に同封したい主な書類
内定通知書に同封したい主な書類には「入社(内定)承諾書」と「労働条件通知書」の2つがある。

・入社(内定)承諾書
入社(内定)承諾書は、応募者が内定を承諾し、入社を表明する書類を指す。入社(内定)承諾書を返送してもらうことで、内定辞退を避ける効果も期待できるため、内定通知書に同封するのが望ましい。

・労働条件通知書
労働条件通知書は、先述の通り内定者への通知が義務とされている書類だ。内定通知書に労働条件を明記していれば、別途、労働条件通知書を送付する必要はない。しかし、内定通知書の送付は義務ではないため、内定通知書を作成しない場合や、内定通知書に労働条件の明記を行わない場合には、別途労働条件通知書を送付する必要がある。

<内定通知書の送付方法1>メールでの送付
メールで送付する場合は、郵送よりも早く内定通知書を送ることができる。また採用活動においてもオンライン化が進んでおり、メールでの送付を行う企業も増えている。ただし、メールで送付する場合は、メールの見落としなどが発生するリスクもある。メールでの通知を行う場合には、事前に「合否はメールで通知する」旨を伝えておく必要がある。また、内定承諾書や身元保証書など、別途郵送や返送が発生する書類がある場合も、メールに明記しておくことをおすすめする。

<内定通知書の送付方法2>郵送での送付
郵送する場合は、内定承諾書などの書類を一度に同封できるメリットがある。ただし、メールで送るよりも時間がかかるため、速やかに内定を通知したい場合には、速達や簡易書留を使用するがよいだろう。また、返送書類がある場合には、返送用封筒も同封するのがマナーとされているため覚えておきたい。

まとめ

内定通知書は、内定が決まったことを伝える書類だ。採用通知書や労働条件通知書などと混同しやすいため、しっかりと理解しておきたい。また、内定通知書は法的に義務付けられた書類ではないものの、トラブル防止の観点からも作成することが慣例だ。本記事の記載例などを参考に、一般的な記載事項を漏れなく記載し、内定の通知を行えるようにしよう。