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ワーケーションとは。概要やメリット・デメリット、導入事例

2022.08.23
オフィスのミカタ編集部

ワーケーションとは、仕事と休暇を組み合わせた「新しい働き方」のスタイルで、企業や自治体から注目を集めている取り組みだ。どのような働き方を指すのかを知り、導入を検討したいと考える企業もあるだろう。今回は、ワーケーションの概要やメリット・デメリット、企業や自治体の導入事例を紹介する。

目次

●ワーケーションとは
●ワーケーションの種類
●ワーケーションのメリット
●ワーケーションのデメリット
●ワーケーションの導入事例
●まとめ

ワーケーションとは

近年、「ワーケーション」という言葉を耳にする機会が増えたが、その意味や概要について知らないことも多いのではないだろうか。まずは、ワーケーションの定義を解説する。

ワーケーションの定義
ワーケーションとは、 「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語のこと。観光地や帰省先などの休暇先で余暇を楽しみながら、テレワークなどを利用し仕事を行うことを指す。ワーケーションは、有給取得率の向上や長期休暇の促進を目的として2000年頃にアメリカで誕生した、「新しい働き方」である。

ワーケーションが注目されている背景
ワーケーションは、国が推進している「働き方改革」や、新型コロナウィルス感染症の対策を進める中で、近年注目されている施策だ。その背景としては、テレワークの導入が進み、時間や場所に縛られない多様な働き方が実現しやすくなったことが挙げられる。

また、各省庁ではワーケーションの推進事業や助成事業を実施したり補助金を支給したりしており、国を挙げてワーケーションに取り組んでいることも、ワーケーションが注目されている理由の1つだろう。

参考:国土交通省 観光庁『「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー
関連記事:『今月の人事・労務トレンドVol.9 コロナ禍で注目されるワーケーションとは

ワーケーションの種類

ワーケーションは、目的や働く場所の違いにより、大きく2つの種類に分類される。ここでは、種類ごとの特徴を解説する。

休暇型
休暇型とは、有給休暇を活用し、リゾート地や観光地に滞在してテレワークを行うワーケーションのこと。休暇を主な目的としており、福利厚生の一環として取り入れている企業も多い。そのため、「福利厚生型」とも呼ばれている。

業務型
業務型は、仕事を主体としたワーケーションであり、以下の3タイプに細分化することができる。

・地域課題解決型:地域関係者と交流を行い、地域課題の解決策を一緒に考えるワーケーション
・合宿型:オフィスとは異なる場所で、職場のメンバーと議論を交わすワーケーション
・サテライトオフィス型:サテライトオフィスやシェアオフィスなどで勤務するワーケーション

業務型のワーケーションを選ぶ際は、業務内容や従業員のニーズに応じて検討するとよいだろう。

参考:国土交通省 観光庁『「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー 企業向けパンフレット(簡易版)

ワーケーションのメリット

ワーケーションは企業にどのような効果があるのだろうか。ワーケーションを導入することで得られるメリットについて解説する。

年次有給休暇の取得率が上がる
ワーケーションを導入することのメリットは、社員の年次有給休暇の取得率が上がることだ。2018年に「働き方改革関連法案」が制定され、企業には、すべての労働者に対して年5日間の有給休暇を取得させることが義務付けられた。しかし、業務の状況などによっては、有給取得に対する社員の心理的ハードルが高く、有給休暇・長期休暇を取りにくいというケースもあるだろう。

しかし、ワーケーションを利用すれば、休暇を取りながらその合間に仕事を行うことができるため、社員が有給を取得しやすくなる。その結果、企業全体の有給取得率が上がるため、企業の社会的信頼性や社員のエンゲージメントを高める効果も期待できるだろう。

社員満足度が向上する
社員満足度が向上することも、ワーケーションの導入で得られるメリットだ。仕事以外の時間は家族と一緒に思い思いの時間を過ごせるため、リフレッシュしながら仕事を行うことができる。仕事のストレスも軽減され、仕事に対するモチベーションも向上するだろう。また、オフィスとは異なる環境下で気分転換をしながら仕事を行うことで、仕事の生産性向上も見込める。

ワーケーションのデメリット

ワーケーションの導入にはメリットがある一方でデメリットもある。ここからは、事前におさえておきたいデメリットを解説する。

コミュニケーションが取りづらい
ワーケーションの場合、オフィスでの仕事に比べ、社員同士のコミュニケーションが取りづらいという懸念がある。業務の中で確認したいことがあっても、確認に時間がかかったり、対応ができなかったりするケースもあるだろう。休暇中なのか仕事中なのか分からず、スケジュールを把握することに難しさを感じることもあるかもしれない。

また、管理者は仕事の様子を直接確認することができないため、業務の進捗状況を管理しにくいといった課題もある。そのため、「コミュニケーションツール」や「スケジュール管理ツール」を活用する、1日の業務終了後に作業報告を行うなど、デメリットを解消するための対策を講じるとよいだろう。

就業環境が整っていない場合がある
ワーケーション先によっては、就業環境が整っていない場合があることもデメリットだ。例として、「Wi-Fiの通信環境」や「机や椅子などの設備」が揃っていなければ業務を行うことが難しく、仕事の効率に影響しかねない。

「就業環境が整っている施設をリストアップしておく」、「保養所の環境を整備する」など、企業がワーケーションの枠組みをしっかり作った上で、導入することが大切だ。

ワーケーションの導入事例

企業や自治体では、ワーケーションに関するさまざまな施策を行っている。ワーケーションを実施している企業の事例と、ワーケーション誘致に積極的に取り組む自治体の事例をそれぞれ紹介しよう。

【企業】日本航空(JAL)
日本航空(JAL)は、有給休暇取得率の向上を目指し、2017年7月にワーケーション制度を導入した。デスクワークなどの間接部門社員を中心に、有給休暇を活用しリゾートや観光地でテレワークを行う、福利厚生型のワーケーションを実施。トライアルツアーの企画や、社内イントラネットでの特設ページ開設など、社内でワーケーションへの理解を深めるための施策を推進中だ。

さらに、滞在先で集中討議する「合宿型ワーケーション」を取り入れているほか、ワーケーションとアクティビティを融合させ、地域で感性を養い自己成長へ繋げる取り組みも行っている。ワーケーションの実施者からは、仕事へのモチベーションが上がったなどポジティブな意見が寄せられており、ワーケーションの利用者数も年々増加しているそうだ。

参考:国土交通省 観光庁『「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー 日本航空株式会社

【自治体】和歌山県
和歌山県では、全国の自治体に先駆けて2017年度にワーケーションの推進を決定。ホームページ上で県内でのワーケーション実施例や体験プログラム、ワークプレイスなど、ワーケーションに役立つ情報を掲載し、さまざまな誘致施策や環境整備を進めている。

地域とビジネスのコラボレーションもワーケーションをきっかけに生まれており、和歌山県は、ワーケーションのモデルとなる「ワーケーション先進地」と呼ばれている。

参考:和歌山県 情報政策課『WAKAYAMA WORKATION PROJECT

まとめ

ワーケーションは、国が推進し各企業や自治体でも積極的に導入していることもあり、今後の活発化が期待される取り組みだ。

ワーケーションを導入すれば、企業には「有給休暇の取得率が上がる」「社員満足度が向上する」といったメリットがある。一方、「コミュニケーションがとりづらい」「滞在先の就業環境が整っていない場合がある」といったデメリットもあるため、ツールを活用するなど、デメリットに対する対策も検討しておくとよいだろう。今回の記事を参考に、ワーケーションの導入を検討してみてはいかがだろうか。

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