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仕事と休暇を組み合わせた新しい働き方「ワーケーション」。メリット・デメリットや導入する際の4つのポイント

2019.12.03

 「ワーケーション」という言葉を聞いたことのある人事担当者はいるだろうか。ワーケーションとは、仕事と休暇を組み合わせた新しい働き方のことだ。大手航空会社が導入されたことをきっかけに、日本でも働き方改革の一環として注目されるようになった。2019年に入ってからは、ワーケーションの拡大に向けた自治体間連合設立の動きも進んでいる。

 ワーケーションにはどういった効果が期待できるのだろうか。今回は、ワーケーションの定義やメリット・デメリット、導入する際の4つのポイントなどを見ていく。

目次

●ワーケーションとは
●ワーケーションのメリット・デメリット
●ワーケーションを導入する際の4つのポイント

ワーケーションとは

 働き方改革の3本柱の1つである「多様な働き方の実現」に向けた企業の取り組みの1つとして、近年注目されている「ワーケーション」。ワーケーションとは、一体どのような働き方なのだろうか。ワーケーションの広まりや、ワーケーションに似た働き方との違いと併せて見ていこう。

ワーケーションの定義

 ワーケーションとは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語。「休暇先で仕事をする」「旅をしているのに出勤扱い」といった新しい働き方を意味する。

ワーケーションの広まり

 ワーケーションは元々、有給取得率の向上を目的に、アメリカで2000年頃に誕生した。当時のアメリカの有給取得率は国際的に見ても低い方だったが、ワーケーション導入により、有給取得率が改善したようだ。「働き方の多様化」の流れと共に、ワーケーションは各国に広まっていった。

 日本では、2017年にJALがワーケーションを導入したことをきっかけに、注目を集めるようになった。「大手企業がワーケーションという新しい働き方を取り入れた」というインパクトが大きかったのだろう。2019年に入ってからは、ワーケーションの先進県である和歌山県と長野県が中心となり、「ワーケーション・アライアンス・ジャパン(WAJ)」という自治体間連合設立の動きが進められている。現状では、ワーケーションを導入している日本企業はそう多くはない。しかし、働き方改革の推進やWAJの活動により、ワーケーションは今後広まっていくだろう。

リモートワーク・プレジャーとの違い

 ワーケーションに似た働き方に「リモートワーク」と「ブレジャー」がある。

 リモートワークとは、自宅やコワーキングスペース、カフェなどオフィス以外の場所で働くこと。「オフィス以外での仕事」という点では共通しているが、「働く場所」や「いつ働くのか」が異なる。ワーケーションでは休暇中に休暇先で仕事をするのに対し、リモートワークでは休み以外の日に自宅やその周辺などで仕事をする。リモートワークに「休暇」の要素を取り入れたものが、ワーケーションだと理解すると良いだろう。

 ブレジャーとは「business(ビジネス)」と「leisure(レジャー)」を組み合わせた造語で、出張の際に併せて休暇を取る働き方のこと。「仕事と休暇を組み合わせる」という点では同じだが、「どちらかメインなのか」が違う。ワーケーションは「休暇」をメインとしている一方、ブレジャーはあくまで「仕事(出張)」がメインだ。仕事をメインにしている分、ブレジャーはワーケーションよりも取り入れやすく、今やブレジャーは世界的なトレンドになりつつあるようだ。

ワーケーションのメリット・デメリット

 ワーケーションを導入することで、どのような効果や課題があるのだろうか。ワーケーションのメリット・デメリットを見ていこう。

メリット

 一番のメリットは、「有給休暇や長期休暇が取得しやすくなる」ことだ。「5日間の休暇の内、1日はワーケーションとして働く」「1日1時間、Web会議のときだけ仕事する」といったことが可能なため、有給休暇・長期休暇を取得する際の心理的ハードルが軽減される。仕事以外の時間は休暇先で家族と一緒に過ごすこともできるため、家族との時間が確保しやすくなり、ワークライフバランスが向上する。また仕事をする環境が一変することで、「オンオフの切り替えがしやすくなり、適度にリフレッシュできる」「仕事を早く終わらせたいと思うようになり、作業効率やモチベーションが向上する」「刺激的な環境の中で、イノベーションにつながる新しいアイディアが浮かぶ」といった効果も期待できる。

デメリット

 デメリットとしてまず挙げられるのが、「コミュニケーションの取りづらさ」だ。オフィスで働いているときのような対面でのコミュニケーションが取りづらくなることが想定される。部下が上司の目の前で働くことがないため、「労働時間が把握しづらい」「本当に仕事をしているのか確認できない」といった課題もある。また、情報漏洩やパソコン紛失といった「セキュリティ上の問題が起こる可能性」も否定できない。この他、「導入しようと思っても職種によっては難しい」「周囲から理解を得られにくい」といったことも考えられる。

ワーケーションを導入する際の4つのポイント

 ワーケーションには、多くのメリットや効果がある一方で、デメリットや課題もある。ワーケーションを円滑に導入し効果的な運用につなげるために必要な、ワーケーション導入する際の4つのポイントを見ていこう。

ポイント①:制度やルールを決める

 企業によってワーケーションの取り入れ方はさまざまだ。主なものだけでも、休暇中に仕事をするのは最大何日と決める「ワーケーション休暇」、休暇先で企業から出された課題に対する答えを見つける「課題解決型ワーケーション」、期間や対象者を限定して行う「期間限定ワーケーション」、観光地で合宿をする「合宿型ワーケーション」などがある。企業によって、どの種類のワーケーションが適しているのかは異なる。そのため、導入目的や企業の抱える課題を考えた上で、自社にあったワーケーションを選択し、制度を構築することが重要だ。併せて、「1日何時間までワーケーション可能とするか」「勤怠連絡や進捗報告の頻度はどうするか」といったルールも決めよう。

ポイント②:お試し期間を設ける

 ワーケーションはこれまでとは全く違った働き方だ。そのため制度を導入しても、「ワーケーションでの働き方がイメージできない」「周囲の理解を得られるのか不安」といった理由から、ワーケーションを利用する人がすぐには出てこない可能性がある。社内に制度を浸透させるためには、期間や対象者を限定したお試し期間を設けるのが効果的だ。お試し期間を設けることで、徐々にワーケーションに慣れてもらおう。

ポイント③:勤怠システムやコミュニケーションツールを準備する

 ワーケーションの導入により労働時間の管理が難しくなるため、タイムカードに依存しない勤怠システムを準備する必要がある。どこにいても、PCやスマホから勤怠入力できるシステムを導入すると良いだろう。またコミュニケーションの質・量の低下を防ぐため、ビジネスチャットツールやビデオ会議システムといったコミュニケーションツールの導入も不可欠だ。ワーケーションを利用する社員やその同僚、上司などが安心できるよう、勤怠システムやコミュニケーションツールを準備しておこう。

ポイント④:仕事をすることができる施設との提携や情報共有を行う

 休暇先に「仕事をできる場所が見つからない」「Wi-Fi環境が近くにない」といったことでは、せっかくワーケーションを利用しようとしても働けない。そこで検討したいのが、観光地にあるコワーキングオフィスやレンタルスペースとの提携や施設情報の共有だ。「パソコンを置けるデスクがある」「プリンターを使用できる」「Wi-F環境がある」などの条件を満たしている施設をいくつかピックアップしておこう。

まとめ

 仕事と休暇を融合させた新しい働き方であるワーケーションには、「有給休暇・長期休暇が取得しやすくなる」「イノベーションにつながる新しいアイデアが生まれる」といった効果が期待できる。働き方改革の一環として、今後ワーケーションは日本国内でさらに浸透していくだろう。「制度・ルール作り」「勤怠システムやコミュニケーションツールの準備」などをした上でワーケーションを導入し、社員の満足度を高めてみてはどうだろうか。