オフィスのミカタとは
従業員の働きがい向上に務める皆様のための完全無料で使える
総務・人事・経理・管理部/バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」

車両管理とは?目的や管理のステップ、効率化の方法を解説!

2022.12.01
オフィスのミカタ編集部

車両管理とは、企業が所有する社用車やレンタル車両などを管理する業務だ。しかし、具体的な管理項目や目的を理解できていない場合もあるだろう。本記事では、車両管理の概要や目的のほか、車両管理業務を効率化する方法などをまとめて解説する。車両管理を行っている人は参考にしてほしい。

目次

●車両管理の目的
●車両管理に必要な内容をステップで紹介
●車両管理を行うメリットとは?
●車両管理業務を効率化する方法
●まとめ

車両管理の目的

車両管理とは、会社が所有する社用車やレンタル車両の管理業務を指す。車両管理の主な目的は、「リスク回避」と「コスト管理」の2点だ。

<リスク回避>
車両の運転は事故や違反などのさまざまなリスクをはらんでおり、一旦事故を起こせば、会社の責任問題にもつながるだろう。そのため、「従業員が社用車を運転中に巻き込み事故を起こした」といったことにならないよう、事前にリスクを予測して、それを回避するための対策が求められる。リスク回避は、車両管理の最も重要な目的といえる。

<コスト管理>
従業員が事故を起こしてしまった場合、賠償金や保険金が必要になることもある。「コスト管理」の観点からも、ドライバーが安全に運転を行える仕組みづくりや、トラブルが発生した際のダメージを最小限に抑えるための施策が必要となる。

車両管理に必要な内容をステップで紹介

具体的に、車両管理業務ではどのような作業が必要になるのだろうか。ここでは車両管理の実務をステップごとに見ていこう。

<ステップ1>車両管理にまつわる項目の洗い出し
まずは、車両管理において管理すべき情報を整理し、自社の実情に合わせた項目を洗い出そう。車両管理を行う際には、「自動車管理」、「ドライバー管理」、「運行管理」の視点を取り入れて項目を洗い出すのがよいだろう。それぞれの管理項目は下記の通りだ。

<自動車管理の項目>
・車両の保管場所や管理方法の決定
・車両の維持管理(自動車損害賠償責任保険・任意保険への加入/自動車税の納付/車検対応/契約更新など)
・燃料、消耗品の管理

<ドライバー管理の項目>
・安全運転教育
・ドライバーの勤務状況の把握
・ドライバーの行先、社用車の使用目的の把握
・ドライバーの健康管理

<運行管理の項目>
・車両使用台帳
・運転日誌への記録
・車両管理台帳への記録
・車両の配置、稼働台数の適正化
・事故、災害時の対応マニュアルの整備

項目の洗い出しとともに、誰がどの業務を行うのかや、どの部署が管理を行うかなどを決めておくことで、運用上の混乱を防げるだろう。これらの項目をあらかじめ決めておくことが、スムーズな車両管理の第一歩だ。

<ステップ2>車両管理規程の作成
次に、自社の「車両管理規程」を作成しよう。道路交通法において、企業は社用車の運用についての規則を設けることが課されている。車両管理規程には以下の項目を盛り込み、実際に運用できるものとすることが重要だ。

【車両管理規程の項目例】
・安全運転管理者の選任について
・車両管理台帳の作成
・運転日誌の作成
・安全運転の確保
・車両の保守点検および整備
・保険の付保
・社用車の私的使用について
・マイカーの業務私用
・事故時の対応

<ステップ3>安全運転管理者の選任
続いて、安全運転管理者の選定を行おう。安全運転管理者は「道路交通法施行規則」において、乗車定員11名以上の自動車1台、またはその他の自動車を5台以上所有する事業者は選任が義務付けられている。安全運転管理者の資格要件と業務内容は下記の通りだ。

【安全運転管理者の資格要件】
・20歳以上(副安全運転管理者を置く場合は30歳以上)
・自動車の運転管理に関し、2年以上の実務経験を有する者
・過去2年以内に公安委員会から解任命令を受けていないこと(道路交通法第74条の3)
・「酒酔い・酒気帯び運転」「飲酒運転にかかわる車両・酒類等の提供・同乗」「麻薬等運転」「ひき逃げ」「過労運転」「放置駐車違反」「積載制限違反」「無免許・無資格運転」「最高速度違反」「自動車使用制限命令違反」といった交通違反をした日から2年を経過していないこと

※副安全運転管理者は20歳以上で管理経験1年以上、または運転経験3年以上の人が対象

【安全運転管理者の業務】
・運転者の状況把握
・安全運転確保のための運行計画の作成
・長距離、夜間運転の交代要員配置
・異常気象時等の安全確保措置
・点呼等による過労、病気、その他正常な運転ができない可能性の有無の確認と必要な指示
・運転者の酒気帯びの有無の確認
・酒気帯びの有無の確認内容の記録および保存
・運転日誌の備え付けおよび記録
・運転者に対する安全運転指導

車両管理を行うメリットとは?

車両管理を行うことで、コスト削減などのメリットがある。ここでは、車両管理のメリットを紹介する。

コスト削減
車両は、本体だけでなく保険や車検、保管場所など、維持するためにさまざまなコストが必要になる。車両管理を行えば、余剰車両や稼働率の低い車両の洗い出しが可能だ。これにより、余剰な車両がある場合には、台数を見直すなどでコスト削減効果が期待できる。

事故削減・安全運転指導
車両管理は、事故削減やドライバーの安全運転への意識向上にもつながる。GPSや加速度センサー、ジャイロセンサーを搭載したIoTデバイスを車載させておけば、ドライバーの運転の癖などを可視化できる。これによりドライバーの運転傾向に応じ具体的な安全運転指導ができ、事故の削減につなげられるほか、運転意識向上にも効果が期待できる。

車両管理業務を効率化する方法

最後に、車両管理業務を効率化する方法を紹介する。

Excelのテンプレートを使用する
社用車の保有台数が少ない場合には、Excelのテンプレートを使用するのがおすすめだ。関数を使用して必要な情報を抽出できるほか、自社の状況に合わせ自由に編集が可能な点も活用しやすいポイントといえる。車両管理台帳や、車検のリスト、任意保険の加入をまとめるリストなども含まれているものもあり、多くは無料でダウンロードできる。

車両管理システムを導入する
車両管理業務の効率化には、車両管理システムの活用も効果的だ。車両管理システムとは、車両情報や運行情報・利用者情報などを一元管理できるシステムだ。車種やナンバーなどの基本情報から、メンテナンス情報、リース車の契約内容などもまとめて管理できるため、リスク回避や業務負担軽減に効果が期待できる。

関連記事:『おすすめの車両管理システム5選。メリット・デメリットや選び方を解説』

車両管理アプリを活用する
車両管理の効率化には車両管理アプリの活用も効果的だ。大がかりな機器の導入が不要なことや、時間や場所にとらわれず運行管理業務を行えることがアプリの特徴だ。危険運転を検知し通知する機能を備えたものもあり、安全運転管理に役立てられる。

効率化にはさまざまな方法があるため、自社が「何を効率化したいか」など、目的を明確化し最適なツールを選定するのがよいだろう。

車両管理のサービス比較・無料資料をダウンロードする

まとめ

車両管理と一口にいっても、その業務は多岐にわたる。車両管理規程の作成や、安全運転管理者の選任などの法律で定められている項目を落とさないよう、まずは車両管理の基本をしっかりと理解することが重要だ。また、管理する車両の台数が多い場合などには、業務の効率化もあらかじめ検討しておくことをおすすめする。本記事を参考に、自社に最適な方法で車両管理を行ってほしい。