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社内規程の策定方法をステップで紹介。押さえておきたい注意点とは?

2022.12.04
オフィスのミカタ編集部

社内規程の策定は、会社のルール作りのため重要な業務だ。既存の社内規程を更新したい場合や、これから新たに社内規程を作りたい場合などに、何から手を付けてよいかわからないという人も多いのではないだろうか。本記事では社内規程の策定ステップや策定時に注意したいポイントなどを解説する。社内規程の策定に関わる担当者は役立ててほしい。

目次

●そもそも社内規程とは?
●社内規程の策定ステップ
●社内規程の策定時に注意したいポイント
●取り入れたい注目の社内規程
●まとめ

そもそも社内規程とは?

そもそも社内規程とは、どのような役割があるのだろうか。まずは社内規程の概要や目的を見ていこう。

社内規程とは
社内規程とは、会社が独自に定めた会社内の規則・ルールの総称だ。例えば「業務マニュアル」や「組織構造」「企業理念」なども社内規程に含まれる。社内規程を周知することで、社内秩序の統制が可能となるため、組織の体制や運営において重要な役割を持つ。

社内規程は原則的には従業員との合意が不要で、会社側が一方的に決めることができる。ただし、就業規則のように、法律の定めによって必ず作成しなければならない規定もあることを覚えておきたい。

「規程」と「規定」の違い
一般的に「社内規程」とは、社内規程の「全体」を指す言葉だ。対して「社内規定」は個々の条文を言う。規程と規定は混同してしまいがちだが、本来は異なる意味を持つため覚えておきたい。

社内規程に含まれる内容
一般的に、社内規程に含まれる代表的内容は下記の通りだ。

・基本経営・会社の運営に関する規定(定款・企業理念など)
・組織権限に関する規定(組織図、職務権限規定など)
・人事労務規定(就業規則、賃金・給与規定など)
・総務関連の規定(安全衛生管理規定、文書取扱規定など)
・その他の社内規定(個人情報管理規定、ハラスメント防止規程など)

関連記事:『社内規程とは?作成のポイントや、注意事項を解説!』

社内規程の策定ステップ

ここでは、社内規程の策定方法をステップごとにみていこう。

<ステップ1>責任者を決定する
まずは社内規程の策定にかかわる責任者を決定しよう。責任者を選出しておくことで、その後の策定作業をスムーズに進めることが可能だ。また一般的には、社内規程を策定する際には、責任者に加え、規程を管轄する部署(所管部署)と改廃権限者(取締役会や代表取締役など)を定めることが多い。

<ステップ2>策定するべき規定項目を洗い出す
次に、策定するべき規定項目の洗い出しを行う。策定するべき内容は、会社規模や業務内容、会社の現状などによっても異なる。このステップでは、策定する規定項目を洗い出し、盛り込む内容を確定していこう。この際、社内の各部署からヒアリングを行うなど、社内で課題となっている業務やリスク要因を把握することで、作成するべき項目のヒントが得られることもある。そのため、各部署へヒアリングは欠かさず行おう。

<ステップ3>規程の作成
他社の規程や書籍などを参考に規程を作成していく。作成した規程は草案の段階で各部署と共有し、問題がないかどうかを予め確認しておこう。各部署と連携し、細部の調整をしながら社内規程の作成を進めていくのがよいだろう。

<ステップ4>専門家に内容確認を依頼する
作成した社内規程は一度、専門家に目を通してもらうことをおすすめする。社内規程は従業員との合意は不要で会社が一方的に決められるが、当然、法律に違反している内容にはできない。そのため、専門家の目を通し、法的な問題の有無を確認するとよいだろう。

<ステップ5>社内に周知する
法的な問題が無ければ、作成した社内規程を従業員に向け周知する。この際、従業員の誰もが規程を見られるようにする必要がある。

関連記事:『社内規程とは?作成のポイントや、注意事項を解説!』

社内規程の策定時に注意したいポイント

ここでは、社内規程の策定時に注意すべきポイントを解説する。

整合性が取れているか
社内規定の項目が多くなると、各規定同士に矛盾が生じがちになる。各規定で矛盾が生じないよう、必ず、すべての規定の整合性が取れているかを確認しよう。

現場の実態との乖離はないか
現場の業務を行うメンバーの意見を取り入れ、各規定と現場の意識とが乖離しないよう注意したい。社内規程が理想論となってしまうと意味をなさない。そのため必ず現場の意見を聞くようにしよう。

定期的な修正、改定が必要
社内外の環境変化や法改正などで、各規定の内容が現実に即さないものとなってしまうケースもある。そのため、定期的に内容を見直し、必要な修正や改訂を行おう。

取り入れたい注目の社内規程

働き方の多様化などを受け、社内規程に盛り込む規定項目も増えてきている。ここでは近年注目が集まる規定の項目を紹介しよう。

SNSに関するガイドライン
社員によるSNSトラブルを防止するため、ガイドラインを設ける企業も多くなっている。SNSが広く普及する今、個人が誰でも手軽に情報発信できる時代となっているが、その一方で、トラブルも増加しているのが現状だ。社員のSNSトラブルは会社にとっても大きな損害となるケースもある。SNSに関する項目を盛り込むことで、SNSとの正しい付き合い方を呼びかけることも可能だろう。

テレワーク
テレワークに関する規定も注目の項目のひとつだ。テレワーク規定は、労働時間の管理方法・業務の遂行方法のほか、通信費、光熱費負担に関することなどを定めるものが一般的だ。テレワークでの働き方を定めておけば、非常事態などでもスムーズなテレワークが推進できるだろう。

副業・兼業
副業や兼業に関する規定にも関心が高まっている。副業や兼業は、労働時間外の活動となるため、企業側の決まりを押し付けることはできない。そのため、副業・兼業を「許可制」や「本業に支障が出る場合は禁止」などの条文を盛り込んでおくことが望ましい。この場合には、従業員の希望を聞きながら策定していくのがよいだろう。

まとめ

社内規程は、会社の経営理念から、SNSのガイドラインなどさまざまな種類がある。原則は会社側が一方的に決めることができるが、一部、就業規則のように、法律に従って策定が義務付けられているものもあるため注意しよう。また、社内規程の策定時には、違法なものとなっていないかどうかを専門家に確認するのがよいだろう。さらには、近年注目が高まる規定項目も増えている。本記事で挙げた例を参考に自社の社内規程策定を進めてみてはいかがだろうか。